ドラゴンボールZ~孫悟空の娘~
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第84話
前書き
マジでセルって悟空達とフリーザの細胞があるからパワーアップを考えるのは簡単だった。
橙のオーラを纏った拳と蒼のオーラを纏った拳が激突する度に地球全体が揺れる。
オレンジピッコロとなったピッコロとブルーセルとなったセルは凄まじい攻防を繰り広げていた。
互いの拳と蹴りを同時にぶつけ合い、その衝撃の余波で超を揺らし、周囲を吹き飛ばしてしまう程だ。
「ふむ、中々だなピッコロ。やはり闘いはある程度の実力が相手になければ面白くない」
拳と蹴りが激突する度にセルは機嫌を良くして笑みを浮かべる。
「チッ!余裕な面をしやがって、貴様…実力の半分も出していないな…っ!!」
「だからテストだと言ったではないか」
見た限りではピッコロとセルは互角の闘いを演じていたが、ピッコロの表情は険しく、セルは余裕の笑みを浮かべていた。
「くそ…フリーザと言い貴様と言い…少し間を置くとあっさりと何倍も強くなりやがって…!」
かつて地球に4ヶ月そこらでゴールデンフリーザと言う神の領域に到達したフリーザがやってきたことを思い出し、ピッコロの表情が更に険しくなる。
「私には孫悟空達サイヤ人とフリーザの血が流れているのだから当然だろう。ふむ、では…オレンジピッコロの強さに敬意を表し、特別サービスで私の本気を少しだけ見せてやろう…はあっ!!」
笑みを浮かべながらセルが気合を入れるとブルーセルのオーラに蒼いスパークが混じる。
「なっ!?」
まるで超サイヤ人2のような姿にピッコロは驚く。
「私にはサイヤ人だけではなくフリーザや貴様の細胞もあるのだ。私は力の大会の後に試行錯誤を繰り返した。どのようにすれば私の力をより引き出せるのか…私の中の細胞で強大な力をもって孫悟空達サイヤ人とフリーザだ。この2つの力を結び合わせ得た力がこれなのだよ。超サイヤ人2に倣ってブルーセル2と言ったところかな?言っておくがこの姿の私を…先程の私だと思うな」
手のひらをピッコロに向けると気合砲を撃ち込み、ピッコロの巨体を容易く吹き飛ばした。
吹き飛ばした直後にセルは気弾を連射する。
「ぐっ!?」
吹き飛ばされながらも何とか体勢を立て直したピッコロは追撃の気弾が迫っていることに気付き、回避に撤する。
「どうした?逃げるだけではつまらんぞピッコロ!!」
岩山に着地したピッコロに勢いを付けた蹴りを放ち、ピッコロは何とかそれに反応して飛び上がる。
「チッ!スピードは奴の方が上か…!」
距離を取ろうとしてもあっさりと距離を詰められてしまう。
こうなれば真っ向から打ち合おうとピッコロはオーラを纏いながら突撃する。
「ほう」
凄まじいスピードで迫り、真っ向勝負を挑んでくるピッコロにセルは笑みを浮かべる。
確かに今のピッコロは姿に相応しいほどのパワーを持っている。
しかし、サイヤ人で言う超サイヤ人ゴッドを超えた超サイヤ人2の領域に立ち、フリーザの細胞を持つセルの進化がそんな柔なはずがなく、ピッコロの拳のラッシュは全て受け流された上に真上を取ったセルが組んだ拳をピッコロの背に叩き込んで地面に叩き付ける。
「ぐっ!…ぬっ!?」
拳を構えて急降下してくるセルにピッコロは何とかジャンプでかわすが、セルは地面に拳が突き刺さった状態でそれを支えにしながらピッコロの腹に蹴りを入れる。
「ぐあっ!!」
あまりの威力に血反吐を吐くピッコロ。
地面から拳を抜くとセルはラッシュを繰り出す。
それをピッコロは何とか捌こうとするが、鳩尾にセルの拳が入って悶絶する。
「終わりだなピッコロ。貴様と貴様の弟子の技でやられる気分はどうかな?」
嘲笑と共に蹴り上げられたピッコロは勢い良く吹っ飛んでいき、そのピッコロに魔閃光を放った。
「っ!!」
威力はかめはめ波に劣るものの速射性に優れた気功波をピッコロはまともに受けるのであった。
一方のトランクスと悟天は少しずつ流れが自分達に向いてきていると感じていた。
アップグレードしたドラゴンボールで強化された超サイヤ人の力は2人の想像を超えていて変身の際に自分達の限界の天井が取り払われ、その上で強化された超サイヤ人の力の上昇に驚く。
まるでフュージョンし、初めて超サイヤ人3に変身した時のような…いや、それ以上の感覚だ。
最初は力に振り回されていたが少しずつ慣れてきた。
父親達も超サイヤ人ゴッドに初めて変身した時もきっとこんな感じだったのだろう。
「「だあっ!!」」
2人の拳が同時に相手のセルジュニアの腹に入り、悶絶する2体に2人は目配せする。
「悟天!!」
「OK!!」
フュージョンのパートナーだけあり、僅かなやり取りで互いの意図を読み取る。
トランクスは未来トランクスから教わった両手で複雑な印を結んで拡散した気を突き出した両手に集めて自身の気と合わせて凝縮する。
「バーニング!!」
「かめはめ波ーーーっ!!」
トランクスの気弾にかめはめ波を合わせると、絶大な破壊力を誇る一撃となってセルジュニア達に迫る。
「「波ーーーっ!!」」
セルジュニア達もかめはめ波で迎え撃つが、あっさりと押し返されてまともにバーニングかめはめ波を喰らって消滅した。
「や、やった!フュージョンしなくても勝てたぞ!!」
「やったねトランクス君!ドラゴンボール様々だよ!!」
セルジュニアはドラゴンボールでの潜在能力解放と超サイヤ人の強化が無ければフュージョン無しでは絶対に勝てない相手だった。
そんな相手にフュージョン無しで勝てたのだからドラゴンボールでのパワーアップの威力は凄まじい。
「ドラゴンボールもそうだけど、今まで積み上げてきた修行の成果あってのものだよ。鍛え上げられた肉体と潜在能力があったからこそだよ。これからも時々で良いから修行は怠るんじゃないよ」
「あ、姉ちゃん!残りの奴は?」
「私が倒した」
残っていたセルジュニア達を一撃で倒していた悟林だが、数が合わないことに気付く。
「…あれ、セルジュニアって確か10体じゃなかったかな?9体しかいないよ?」
「え?逃げちゃったんじゃないの?」
「そんなことをセルが許すと思う?きっとどこかに隠れ…え?」
凄まじい気の威圧感を感じ取った3人。
そしてピッコロにとどめを刺そうとするセルは指を額に当てて気を集中し、その気を集中させた指先をピッコロに向けた。
「少しは楽しませてくれた礼だ…魔貫光殺砲…貴様の最高の技だ。この技で死ぬのなら本望だろう?」
「ば、化け物め…!」
ドラゴンボールで手に入れた力を以てしても目の前の神々しくも禍々しい蒼いオーラを纏う怪物には届かない。
いや、寧ろ…。
「(こんな付け焼き刃のパワーアップを当てにし過ぎた俺が馬鹿だったか…)」
セルのことは気に入らないがブルーセルの力はセルが過酷な修行で進化させ続けてきた力。
付け焼き刃の力と研鑽してきた力のどちらが上かなど分かっていたはずだ。
「じゃあな」
必殺の一撃が放たれようとした瞬間、咆哮と共に凄まじい気が爆発した。
振り返るとそこには超巨大なセルのような怪物がいた。
見た目はセルの第二形態の体色を真紅にしてそのまま巨大化させたような感じだが、放たれる気は今の悟林でも厳しいのではないかと思わざるを得ない。
「ほう、あれがセルマックス…私の劣化コピーか。知性の欠片も感じられないが仕方がないことだ。私と言う完璧で最強の人造人間が造られてしまっては他の人造人間が出来損ないになってしまうのも無理はない」
セルが嘲笑いながらセルマックスを評価するその姿にピッコロは表情を険しくする。
暴走し、暴れ回るセルマックスの気は今の自分よりも大きい。
そんなセルマックスに余裕を崩さないセルはまだまだ上の力があるのだろう。
目の前の怪物の底が知れないことにピッコロは歯軋りをする。
そしてセルマックスに対して笑みを浮かべるのはセルだけではなかった。
「へえ、中々のパワーだね…久しぶりに楽しめそうじゃない。まずは挨拶代わりの10倍と行こうかな!?」
究極神化状態で10倍界王拳を発動し、セルマックスの顔面を殴る。
顔面に強烈な一撃を喰らったセルマックスはいくらか後退するが、持ち直して悟林に殴り返した。
「うおっ!?」
何とか受け止めた悟林は想像以上のパワーに驚くのと同時に笑みを深めた。
「姉さん!」
パンとガンマ達とヘドを安全な場所に移動させて戻ってきた悟飯がセルマックスに気弾を放つが、10倍界王拳のパワーに耐えきれるほどの耐久力を持つセルマックスは直撃を受けても微動だにしない。
「よし、悟天!俺達もやるぞ!!」
「うん!」
「「波ーーーっ!!」」
同時にかめはめ波を撃ち、セルマックスに直撃させたが、やはり頑丈なのか大したダメージはない。
「ほう、流石は私を基にしただけのことはある。頑丈さだけは大したものだ。さて、見物するとするか」
セルは少し離れた場所で見物に撤するようだ。
そんな姿にピッコロは悔しげに舌打ちしながら加勢するために合流する。
「待たせたな…」
「あ、ピッコロさん。随分とボロボロにやられたね」
「ああ…セルの奴め…力の大会の時よりも大きくパワーアップしていやがった。」
まるであの時のようだ。
神と融合してパワーアップし、超パワーを得たと思ったらセルはそれ以上のパワーアップをして現れたのだから。
「へえ、それは楽しみが増えたね!まずは目の前のセルの偽物を倒そうか」
そして目の前でそれを聞いて喜ぶ弟子が頼もしく感じるのと同時に悔しくもあった。
「本当に何時からこんなに差がついちまったんだろうなお前とは…」
「…?それより、ピッコロさん。仙豆あるんでしょ?食べたら?」
「そうさせてもらう…」
セルとの闘いでダメージを受けたピッコロは仙豆を食べて全快する。
「残りの1粒は私が持ってるよ」
誰かが死にかけたらこの1粒を使おうと悟林は仙豆を預かる。
「取り敢えず、このセルのデカブツは私達が止めるから悟飯はとどめね」
「え!?僕がですか!?」
「当然でしょ?お前もしかして殴りかかるつもりだったの?お前のパワーじゃダメージはろくに与えられないし…それに一発でやられそうなのを守るのは神経がいるんだからお前は離れた場所で気を高めて…そうだね…頭…かな?」
確かセルの再生能力の基であるナメック星人は頭に核があるらしい。
ならばナメック星人の血を引くセルの頭にも核はあるだろうし、セルの後継型のセルマックスもそうかもしれない。
「頭って…でも、父さんがかめはめ波で頭を吹き飛ばしてもセルは復活したし…」
「その時は全身吹き飛ばせば良いでしょ!良いからさっさと気を溜めなさい!!」
「は、はい!!」
悟林に怒鳴られた悟飯は慌てて気を溜める。
しかし、どの技を使うべきか。
魔閃光では威力が足りないし、かといってかめはめ波でも頭部を吹き飛ばせるか分からない。
だが、まずは気を溜めなければどうしようもないので悟飯は気を溜め始めた。
「トランクス君、悟天、ピッコロさん。行くよ!!」
界王拳を20倍まで上げると悟林はセルマックスに突撃する。
「(50倍までは平気だけど100倍からはキツいから少しセーブしないとね)」
再び顔面に拳を殴るとセルマックスはバランスを崩して大きく後退した。
「今だ!!」
「「はーーーっ!!」」
ピッコロとトランクスと悟天が気功波を放ってセルマックスを転倒させる。
「魔閃光!!」
追撃の魔閃光を放ち、セルマックスに直撃させるとセルマックスは起き上がるのと同時に体の斑点のような物から全方位に光線を放ってきた。
「はあっ!!」
悟林はバリヤーを張って攻撃を無力化すると回し蹴りを放って再びセルマックスを転倒させ、セルマックスの指を掴むと勢い良く上空に投げ飛ばした。
「こいつでどうだ!ギャリック砲!!」
渾身のギャリック砲を撃ち、上空のセルマックスに直撃させると大爆発が起きる。
「やったか!?」
あれだけの威力の攻撃をまともに喰らえばあのような巨体の敵でもただでは済まないと思っていたが、煙が晴れるとセルマックスは五体満足の状態で着地した。
「流石セルのデカブツコピーだね、そう簡単には倒れないか…なら…取って置きをくれてやるよ!!」
取って置きを放つために額に指を当てて気を溜めた次の瞬間、セルマックスの口から特大の気功波が放たれた。
「危ない!」
気を溜めていたため回避が間に合いそうになかった悟林をトランクスが抱き締めて気功波をかわした。
「あ、ありがとう…トランクス君…」
「危なかった…ギリギリだったよ…」
もし僅かでも遅かったら直撃を受けていただろう。
あれをまともに喰らったら流石の悟林もダメージは免れなかったはずだ。
「………」
「悟林さん?」
「…へ?あ、その…ごめん!闘いに集中しないとね!!」
無言の悟林を不思議そうに見ると悟林も現状を思い出してトランクスから慌てて離れると戦闘を再開するのであった。
界王拳のオーラで分かりにくいが、ほんの少しだけ顔が赤かったのは気付かれなかったのは悟林にとって幸いだったかもしれない。
後書き
悟林のトランクスへの好感度がぐぐーんと上がった。
今までは幼い頃のイメージ(と言うかつい最近まで本当に小さかった)が付いていたのに成長した恋人が抱き締められた際に男だったことを意識し始めた悟林でした。
セルマックス…お前がキューピッドだ…!
因みにブルーセル2は超サイヤ人ブルーで例えるなら“超サイヤ人ゴッドを超えた超サイヤ人2”って感じ。
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