ハッピークローバー
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第三十四話 梅雨が終わればその七
「あそこに住むのはね」
「嫌なのね」
「かなりね」
こう言うのだった。
「嫌よ」
「そうなのね」
「そう、それにね」
「それに?」
「食べものも合わないから」
「ああ、それね」
「あそこのおうとんのおつゆ知ってるでしょ」
顔を顰めさせて関西でよく言われることを話した。
「真っ黒でしょ」
「これ墨汁?って位にね」
「しかも辛いでしょ」
「物凄くね」
「他にも合わないから」
だからだというのだ。
「東京はね」
「いたくないのね」
「住みたくないわ」
こう言うのだった。
「どうしてもね」
「そうなのね」
「だからね」
それでというのだ。
「あそこに住むのはね」
「嫌なのね」
「大阪せめて関西にいたいわ」
「そうなのね」
「東京に美味しいものなしよ」
留奈はこうまで言い切った。
「本当にね」
「口に合わないのよね、実際」
かな恵もこう言った。
「私達には」
「東京の食べものは」
「一華ちゃんだってそうでしょ」
「東京行ったことあるけれど」
実際にと言うのだった。
「私もね」
「合わないわね」
「大阪と全然違うからね」
「食べものもね」
「確かにビルも一杯あって遊ぶ場所多いしね」
「楽しいけれどね」
「けれどね」
それでもとだ、一華はかな恵に話した。
「合わないわね」
「そうでしょ」
「肌にね」
「どうしてもね」
こうかな恵に話した。
「あちらは」
「私もよ、関西にずっといたら」
「生まれ育ったらね」
「関東特に東京はね」
「合わないわね」
「どうしてもね」
かな恵も言った。
「あちらは」
「そうよね」
「お蕎麦だって噛まないし」
「喉ごし味わうのよね」
「おつゆが辛いから」
「ざるそばでもね」
「だから噛んで味わうんじゃなくて」
そうせずにというのだ。
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