| 携帯サイト  | 感想  | レビュー  | 縦書きで読む [PDF/明朝]版 / [PDF/ゴシック]版 | 全話表示 | 挿絵表示しない | 誤字脱字報告する | 誤字脱字報告一覧 | 

イベリス

しおりを利用するにはログインしてください。会員登録がまだの場合はこちらから。 ページ下へ移動
 

第六十五話 静かにはじまってその十五

「生きていってね」
「病気のことも気をつけないとね」
「家族についてもで」
「自分自身も」
「そうしないとね」
「駄目ってことね」
「他にも怖い病気あるしね」
 狂犬病以外にもというのだ。
「世の中は」
「さっき言ったエボラもだし」
「他にも一杯あるから」
「気をつけないとね」
「気をつけていったら」
 それぞれの病気についてというのだ。
「そうしたらね」
「病気にならなくて」
「その分生きていられるから」
 だからだというのだ。
「充分以上によ」
「気をつけることね」
「蚊だってね」
「マラリアとか日本脳炎とか」
「あるから」
 こうした病気がというのだ。
「ワクチンもあるし」
「打ってから旅行に行かないと駄目ね」
「狂犬病と一緒にね」
「蚊も怖いのね」
「マラリアは特に怖いのよ」
 母は今度はこの感染症の話をした。
「だから気をつけてね、戦争で死んだ人よりマラリアで死んだ人の方が多いのよ」
「そんなに多いの」
「天然痘やペストも多いけれどね」 
 ペストの猛威は歴史にあるが天然痘も然りである、奈良の大仏も元々は天然痘から国と民を護る為に造られたものである位だ。
「マラリアもよ」
「多いから」
「そう、だからね」
「そちらにも注意しないといけないのね」
「だから海外に行く時は特にね」
「注意が必要ね」
「覚えておいてね」
「それで海外旅行も行くべきね」
「用心に用心を重ねてね」
「わかったわ」
 こう言うのだった、咲は酒を飲みつつ母の言葉を聞いて頷いた、飲んでいたがこの日の母とのやり取りは実に頭に残った。それで後に愛にも話すのだった。


第六十五話   完


                     2022・6・1 
ページ上へ戻る
ツイートする
 

全て感想を見る:感想一覧