イベリス
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第六十五話 静かにはじまってその十四
「だから予防接種は大事よ」
「日本で流行させない為に」
「折角なくなったから」
昭和三十二年以降発見されていない、こうした国は極めて少ないという。
「二度と出ない様にする為にもね」
「モコの予防接種は絶対ね」
「そうよ、それとね」
「それと?」
「外国に行ってもよ」
その場合もというのだ。
「他の国にはまだね」
「狂犬病あるのよね」
「犬や猫も持っていてね」
「蝙蝠もで」
「それで狐も持ってる場合があるから」
この生きものもというのだ。
「気をつけないと駄目よ、殆どの国ではね」
「日本以外の国ね」
「まだあるから」
「気をつけないといけないのね」
「犬の涎が嫌がられるのも」
イスラム教である、この宗教では犬の唾液は不浄なものとして嫌っているのだ。
「そのせいよ」
「狂犬病ね」
「現実にあるから」
「気をつけないといけないのね」
「本当に助からないのよ」
ほぼ確実に死ぬというのだ。
「エボラよりも怖いっていうから」
「アフリカのあの伝染病ね」
「これも怖いけれど」
その恐ろしさもまた有名である。
「それ以上にね」
「狂犬病は怖いのね」
「そう、だからね」
その為にというのだ。
「旅行に行くならね」
「海外旅行ね」
「気をつけてね、予防接種もね」
これもというのだ。
「ちゃんと受けて」
「そうしてなのね」
「行ってね」
「そうしないと駄目ね」
「さもないと死ぬから」
「本当にそうなるから」
「気をつけてね」
くれぐれもという口調で娘に話した。
「いいわね」
「そうするわね」
咲も真剣な顔で頷いて応えた。
「モコに予防接種して」
「あんたもね」
「海外旅行に行く時は」
「気をつけてね」
「そうするわね」
こういて頷いた、そしてだった。
咲はまた飲んだ、そのうえで母に話した。
「楽しむことは楽しんで」
「そしてしっかりするところはね」
「しっかりとよね」
「そうしていってね」
そしてというのだ。
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