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犬のレインコート

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第一章

                犬のレインコート
 ふわりは散歩が好きだ、だから毎日朝夕の二回行っているが。
 今朝は雨でだ、彼女の家族である国崎家の百合子は言った。
「じゃあ今朝はね」
「ああ、レインコート着けてやってか」
「行って来るわ」
 息子の洋介に言った。
「今朝はお母さんがね」
「俺もついていくよ」
 洋介は自分もと言った。
「時間あるしさ」
「あんたはもうちょっとしたらよね」
「仕事昼からだしな、今日は」
「だからよね」
「一緒に行くよ」
「じゃあレインコート着けて」
 ふわりにというのだ。
「そうしてね」
「行こうか」
「そうしましょう、ふわりお散歩行くわよ」
「ワンワン」
 ふわりもケージの中から鳴いて応えてだった。
 自分からケージを出た、すると。
 母はそのふわりにレインコートを着せてだった。
 そのうえで息子の洋介と一緒に散歩に出た、すると。
 ふわりは嬉しそうにとことこと歩く、それは晴れの日の散歩の時と同じであった。二人は傘をさしているが。
 洋介はその中で母に言った。
「ふわりってトイプードルだからな」
「それがどうかしたの?」
「いや、だったらな」 
 その種類の犬だからだと言うのだった。
「水好きだよな」
「元々水鳥捕まえる狩猟犬だしね」
 トイプードルはとだ、母も答えた。
「猟師さんが水鳥撃ってね」
「水に落ちたのを咥えて持って来るんだったな」
「その為の犬よ」
「スタンダードプードルがそうでな」
「それが小さくなったからね」
「トイプードルは水平気だな」
「むしろ好きよ」
 こう息子に話した。 
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