優しい美人上司は実は
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第一章
優しい美人上司は実は
伊藤初江は八条観光札幌支社で働いている、主任の立場にあり背は一五七程で小さな丸めの白い顔と小さな唇に大きな丸い目を持っている。
黒髪をロングにしていてすらりとしたスタイルだ、会社では優しくて公平で面倒見のいい社員として知られている。
仕事ぶりも真面目だ、だが。
新入社員で出身が北海道なので入社一年目から札幌支社にいる神谷省吾黒髪をショートにしていて一七五程の痩せた身体と優しい目で面長の顔を持つ彼は自分の直接の上司である初江の話を聞いて驚いた。
「えっ、それ本当ですか!?」
「そうみたいだぞ」
一年上の同じ大学の先輩が神谷に話した。
「どうやらな」
「剣道五段ですか」
「空手六段らしいぞ」
「無茶苦茶強いんですね」
「それで大会でもな」
「学生時代の」
「色々出ておられてな」
そうしてというのだ。
「全国でかなりいいところまでいったことあるらしいぞ」
「そんな人ですか」
「だから怒らせるなよ」
神谷に真剣な顔で話した。
「いいな」
「そうします」
神谷も真顔で答えた、そしてだった。
初江が優しくともそれで調子に乗らない様にしてだった。
彼女の下で働き続けた、初江はいつも優しくだった。
決して怒ることがない、しかし神谷は彼女の話を聞いてだった。
謙虚でもっと言えば怯えて一緒に仕事をしていた、そして。
初江は自分達の課の飲み会の後でだ、神谷を連れて二次会ということで自分の行きつけの焼き鳥屋に入った。
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