イベリス
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第六十一話 ドーナツその六
「アリーナに球場に」
「神奈川や千葉に負けてないわね」
「プロ野球のチームもあるのに」
こちらもあってというのだ。
「何が問題なのか」
「田舎じゃないわね」
「そうよ、だから叔父さんも納得したなら」
それならというのだ。
「もうね」
「それでいいのね」
「というか納得しないと」
そうならないと、というのだ。
「お仕事だしね」
「仕方ないわね」
「というかお家から行ける場所で」
それでというのだ。
「何か不満ある?」
「それね」
「単身赴任でないでしょ」
「全くね」
「だったらね」
愛は紅茶を飲みつつ話した。
「いいでしょ、じゃあ叔父さんはそういうことでね」
「埼玉で働くことに納得したなら」
「それでよしよ、しかしね」
「しかし?」
「埼玉って実際ネタにされることもあるわね」
愛はこのことは否定しなかった。
「煽りみたいにね」
「それがあるのね」
「そう、だからね」
それ故にというのだ。
「埼玉がネタにされるのは事実よ」
「さいたまさいたまとかね」
咲はこのネタをここで言った。
「あるわね」
「そうでしょ、まあこれはご愛敬よ」
埼玉がネタにされることはというのだ。
「その辺りの草でもとかね」
「あれも有名よね」
「けれど今話した通りよ」
「埼玉は実際は大都会ね」
「世界屈指のね」
ここまで言っていい程のというのだ。
「そうよ」
「首都圏の一角ね」
「間違いなくね、というか東京でなくてもね」
紅茶を美味しそうに飲む咲に話した。
「人間生きていけるしね」
「そうよね」
「東京じゃないと駄目とかね」
そうしたことはというのだ。
「ないわよ」
「何処でも暮らせるわね」
「そうよ、東京にこだわってもね」
例えそうしてもというのだ。
「何もならないわよ」
「そうなるわね」
「大阪に生まれた人は大阪から離れたくないってね」
その様にというのだ。
「言うしね」
「大阪でも暮らせるわよね」
「それで他の場所でもね、街でなくてもね」
「暮らせるわね」
「肌に合う合わないはあるけれど」
その人それぞれでというのだ。
「けれどね」
「何処でも暮らせるのね、人は」
「住めば都よ」
咲にこの言葉を告げた。
「要するにね」
「そういうことね」
「そう、何処でも住めばね」
そうすればというのだ。
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