イベリス
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第五十九話 疑惑を自分でその四
「見えないところがね」
「黄色とかね」
「五行思想で黄色って実は一番大事な色だしね」
「真ん中でね」
「皇帝の色でもあるから」
「だからね」
「その黄色だけないって」
咲はここでは不思議そうに話した。
「おかしいわね」
「絶対にあの人もわかってるわよね」
「四色まで揃えてるなら」
「青で赤、白、黒ときたら」
「もう最後は黄色」
「そうなるからね」
「じゃあ何処かにあるわね」
咲はまた言った。
「やっぱり」
「絶対そうよね」
「けれどそれが何処か」
「それが気になるわね」
「どうも」
「それによ」
女子の一人がふとこんなことを言った。
「あの人いつも左目隠してるわね」
「そうそう、髪の毛でね」
「左目と頬の半ば位までね」
「黒の前髪で隠してるわよね」
「ゲゲゲの鬼太郎みたいな感じでね」
「そうしてるわね」
「いつもなのよ」
咲はここでは店員として話した。
「店長さん左目はね」
「いつも隠してるのね」
「見せないのね」
「そうなのね」
「そうなの、それでね」
そのうえでというのだ。
「右目だけしか見えないの」
「実は隻眼とか?」
「鬼太郎も左目ないしね」
「あそこに目玉の親父が入るのよね」
「それが出来るのよね」
「いや、両目ちゃんとあるってね」
咲は速水の左目が見えないかないのではないかと考えgたクラスメイト達に話した、先日速水に言われたことを。
「ご自身から言われたわ」
「えっ、そうなの」
「あの人左目あるの」
「それで見えてるの」
「そうなの」
「ええ、いつもちゃんとね」
隠れてる左目もというのだ。
「見えてるそうよ」
「そうなの」
「いつも隠してるから見えないと思ってたわ」
「それで隠してるってね」
「そうね」
「そこが伊達政宗さんやオーディンと違って」
北欧神話の嵐と戦と魔術の神でありアスガルドの主神でもある、不和と謀略を好む白髪と長く白い髭を生やした老人の姿をしている。
「ちゃんとね」
「両目あってなの」
「見えてるの」
「そこは大丈夫なの」
「そうみたい、店長さん嘘言わないから」
速水のこのことも話した。
「間違いないわ」
「そうなのね」
「そこが気になったけれど」
「ただ隠してるだけなの」
「それだけなの」
「どうもね、けれどああして左目を隠していることがね」
咲は神妙な顔で話した。
「ミステリアスよね」
「只のイケメンじゃないわね」
「そこにそうしたものが入ってね」
「余計にいいわね」
「いけてるわね」
「そうなのよね、背が高くてすらっとしてて」
そしてと言うのだった。
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