イベリス
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第五十九話 疑惑を自分でその三
「かなりね」
「お金稼いでるか」
「だから渋谷の109にお店あるのか」
「あんな凄いところに」
「多分ね」
こう話した、そして男子生徒と話した後で。
咲は今度は女子生徒達に囲まれてだ、こう言われた。
「聞いたわよ、咲っちのアルバイト先速水さんのところだったの」
「109の占い師さんでわかったわ」
「しかもタロットっていうから」
「それでね」
「そうなの、皆店長さんのこと知ってるの」
咲はクラスメイト達に少し驚いて応えた。
「そうなの」
「有名よ、あの人」
「占いは絶対に当たるってね」
「それであのイケメンぶりだし」
「雑誌にも連載持ってるし」
「物凄い有名よ」
「そうだったの、雑誌で連載持たれてることは知ってたけれど」
それでもとだ、咲は述べた。
「まさか皆が知ってる位有名なんてね」
「有名も有名でね」
「女の子だったら結構知ってる人よ」
「都内なら特にね」
「そんな人よ」
「そうなのね、店長さんそうしたこと言われないから」
それでというのだ。
「私知らなかった」
「それは咲っちが変よ」
「雑誌に連載持ってたら皆知ってるわよ」
「それも顔写真と経歴付きで載ってるから」
「だから余計にね」
「そうなのね、覚えておくわ」
咲はあらためて言った。
「そうしたことも」
「そうしてね」
「しかし本当にあの人美形よね」
「涼し気な感じのね」
「すらりとしてるし」
「スーツもコートも似合ってるし」
「そうなの、もう暑いけれど」
咲はスーツの話が出てまた答えた。
「店長さんいつもあの青いスーツなのよ」
「それで白いコートよね」
「裏地が赤の」
「ブラウスは白でね」
「ネクタイは赤で」
「靴は黒でね、何か色にはね」
服のそれにはというのだ。
「こだわりがあるみたいなのよ」
「青、白、赤、黒ね」
「それね」
「あと黄色が揃ったら」
そうなったらとだ、咲は言った。
「五行思想よね」
「あっ、確かに」
「あと黄色があるとね」
「陰陽道とかのそれよね」
「そうなるわね」
「ええ、漫画とか小説でよく出るね」
咲はそうしたところからの知識から話した。
「それよね」
「陰陽があってね」
「それで五行ね」
「季節と方角と司るものがあって」
「それでよね」
「それになるけれど黄色は」
咲は首を傾げさせつつ思った。
「何処かしら」
「実は下着?」
「トランクスが黄色とか?」
「ボクサーかも知れないけれど」
「そういうのが黄色とか?」
「ひょっとして」
「そうかしら」
こちらの話もするのだった。
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