ハッピークローバー
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第二十七話 お菓子を食べつつその七
「悪いこともして」
「どんどん悪くなるのね」
「底の下をどんどん堕ちていくのよ」
「餓鬼道って地獄より酷いって聞いたことあるわ」
かな恵はきんつばを手に取りつつ言った。
「それで色々な餓鬼がいるみたいよ」
「広い世界なの」
「そうみたいよ」
こう一華に話した。
「どうもね」
「ただ餓鬼がいるだけじゃないのね」
「色々な餓鬼がいてね」
「広いのね」
「ええ、だから堕ちれば」
そうなればというのだ。
「何処までもね」
「堕ちていくのね」
「そうした世界みたいよ」
「そうなのね」
「だからね」
「堕ちると」
「果てが見えないかもね」
こう一華に話した。
「どうもね」
「そうなのね、しかしね」
「しかし?」
「いや、餓鬼になるってね」
一華はどうかという顔で述べた。
「そうそうはなれないわよね」
「そうよね、そこまでなることもね」
「難しいわね」
「人間努力していいことをする様にしていたら」
「そうしていたらね」
「だったらね」
「餓鬼にはならないわね」
「そうはね」
こう言うのだった。
「ならないわね」
「やっぱりね。というかね」
ここでかな恵は考える顔になった、そうしてワインを飲んでからクッキーを口に入れて一華に話した。
「相当悪い環境でね」
「そこにいて」
「それで悪い中で暮らしてね」
「悪いことばかりして」
「そうじゃないとね」
「餓鬼にはならないのね」
「そうじゃない?ヤクザ屋さんの中にいて」
「ヤクザ屋さんになって」
かな恵はさらに話した。
「ずっと悪いことをしているかね」
「そうした世界にいたら」
「なるんじゃないの?」
「普通はならないのね」
「私そう思うけれど」
「かな恵としては」
「ええ、どうかしら」
一華に問う様に言った。
「人って環境もね」
「大事ね」
「それで悪い場所にいて染まったら」
「悪くなって」
「そこで反面教師にしたらね」
「よくなるのね」
「いい場所にいても馴染めなくて悪くなる人もいるしね」
「そういえばね」
理虹はここでこう言った。
「ハンナが言ってたでしょ」
「ああ、あのベルリンの娘ね」
一華はすぐに応えた。
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