恋姫伝説 MARK OF THE FLOWERS
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第百二十二話 闇、近付くのことその四
「この国の外か」
「北だろうか」
ここで察したのはタクマだった。
「この国の北での戦いになるだろうか」
「この国での北となると」
ハイデルンは己の頭の中で中国の地図を描いた。地理自体はこの世界でも同じだ。地理的に置かれた状況はこの世界でも同じなのだ。
そのことについてだ。ハイデルンは述べた。
「長城の北か」
「そうだ、そこだ」
まさにだ。その場所だった。タクマは答えた。
「草原での戦いになるだろうか」
「それだとそのまま総力戦になるな」
ハイデルンは草原での戦いと聞いてこう述べた。
「全軍でだ。お互いに正面からだ」
「戦い、そうして」
「勝つ戦いなのだな」
「勝たねばならん戦いだな」
こう柴舟とハイデルンに述べるタクマだった。
そうしてだ。また話す彼だった。
「どこで決着をつけるにしてもだ」
「勝たねばならん」
「そうした戦いなのは間違いないことだな」
「左様、ハイデルン殿は軍人だから余計にわかると思うが」
「よくわかる。確かに戦いはやるからには勝たなければならない」
それは絶対のことだ。軍人としては。
しかしそれだけではないものがこの戦いにはあることをだ。彼はわかっていた。
そうしてだ。こう言ったのである。
「さもなければこの世界は闇に覆われるのだから」
「そうだな。この世界が滅ぼされる」
「そうなってしまうな」
そんなことを話してからだった。そうしてだ。
ハイデルンがだ。二人にこんなことを話した。
「私はこの戦いでどうしてもしたいことがある」
「貴殿の因縁か」
「そのことか」
「そうだ。まさにそれだ」
ハイデルンの残された片目が鋭くなる。
そうしてだった。彼は言うのだった。
「ルガール、あの男だけはこの手でだ」
「倒す」
「そうするのか」
「そうしていいか」
「それは貴殿にだけ許されたことだからな」
「あの男を倒すことは」
「済まない」
ハイデルンは二人の同志達に礼を述べた。そうしてだった。
その片目で闇の中にある水面を見てだった。また言うのだった。
「我儘を言う」
「何度も言うがそれは貴殿がすることだからな」
「だから気にすることはない」
これがタクマと柴舟のだ。ハイデルンへの言葉だった。
「しかし戦うなら勝つことだ」
「この戦い全体と同じくな」
「そう言ってくれるか。ではだ」
「うむ、まずは腹ごしらえだな」
「では何か食べるとしよう」
食事の話になった。彼等とて生きる為、戦う為には食べることが必要だった。
それでだ。三人はすぐにだった。
鍋を囲んだ。そこにカレールーを入れてうどんを入れソーセージや野菜も入れてだった。鍋で煮ながらだ。そうして話をするのだった。
「カレーうどんだな」
「これはいいぞ」
笑顔でだ。柴舟はこう二人に話す。
「身体が温まる。それにだ」
「栄養がある」
「そういうことだな」
「そうだ。戦いの前に食うには最適だ」
実際に満面の笑みでそのカレーうどんを食べつつだ。柴舟は話す。
「さあ、食おう」
「ソーセージもあるのがいいな」
ハイデルンはソーセージを食べていた。うどんの鍋の中のそれをだ。
「私は昔からこれが好きでな」
「わしはこれだな」
タクマはうどんをおかずに白米を食べていた。
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