恋姫伝説 MARK OF THE FLOWERS
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第百二十二話 闇、近付くのことその二
「そうした将だからな」
「つまり。将と将の将の違いよ」
曹操は史記の韓信の話をした。
「貴女は貴女でいいけれど」
「麗羽様はですか」
「そうよ。あの娘は何とかして欲しいところよ」
曹操はまた苦笑いで言う。
「まあ。何はともあれね」
「はい、今夜ですね」
「決戦ですね」
そうした話をしてだった。三人はだ。
とりあえず大人しく寝る。そしてだ。
公孫賛は危うくだ。今日もそうなるところだった。
そしてそのことをだ、こう自分で言うのだった。
「危ういところだった。一人寝はな」
「そういえば白々ちゃんって天幕の中で一人なの?」
「白蓮だ」
まずは真名からだった。言うのは。
「何はともあれだ。今日は桃香が一緒か」
「愛紗ちゃん達は二人で寝るっていうから」
関羽と張飛はそうするというのだ。それで劉備は幼馴染みの公孫賛とだというのだ。
それで同じ褥に入りだ。劉備は言うのだった。
「それで私となんだけれど」
「そうだな。こうして二人で寝るのもな」
「久し振りよね」
「これもいいものだな」
下着姿、濃いピンクのそれになりだ。公孫賛は褥の中に入った。そこにはもう劉備もいる。
「二人で久し振りにこうしてな」
「一緒に寝るのもね」
「御前とはいつもそうしていたな」
仲良くだ。そうしていたというのだ。幼い日はだ。
「だがそれでもな」
「そうよね。何かね」
「懐かしいな」
公孫賛はこうも述べた。
「幼い頃のことを思い出す」
「ねえ、白々ちゃん」
「白蓮だ」
このやり取りは健在だった。
だがそのやり取りの後でだ。二人で話をするのだった。
「それで何だ?」
「うん、この戦いが終わったらどうするの?」
「今は一応宮廷での役職もあるしな」
「あれっ、そうだったの?」
「将軍じゃないか。ええと、確か官名は」
それが何かというと。
「あれだ。空気将軍だった」
「空気将軍?そういえばそんな将軍もあったかしら」
「そうだ。そうなった」
こう話す公孫賛だった。
「というか御前に任じられたのじゃなかったのか?」
「私が?」
「御前が帝とお話してだったのではないか」
「ううん、そういえばそうだったかしら」
実はあまり覚えていない柳眉だった。そうしたことは。
「何か将軍の人色々決めたし」
「その時に任じられたのだがな」
「そうだったの」
「そうだ。だが何はともあれだ」
彼女も将軍になった。そのことは間違いなかった。
それでだ。褥の中から天井を見ながらこう言う。天幕の天井を。
「幽州の牧でなくなった時はどうなるかと思った」
「そういえばあの時って」
「全く。危うく路頭に迷うところだった」
公孫賛にとっては危機だったのだ。あの時は。
「何故私が幽州の牧だったことを殆ど誰も知らなかったのだ」
「それで袁紹さんが任じられたのよね」
「あいつも私がいるのを知らずに幽州の牧になった」
最初は覚えていて幽州に兵を進めようとしていた。しかしそれをすぐに忘れてしまいだ。匈奴や烏丸のことに気を向けていたのだ。
それで彼女のことを忘れ気付けばだったのだ。
「朝廷も忘れていたしな」
「前の帝も?」
「そうだ。あの方もだ」
幽帝である。その宦官を信任していた。
「私のことは忘れていたからな」
「けれど私は覚えてたけれど」
「持つべきことは友達だな」
公孫賛にとっては嬉しいことだった。そうしてだ。
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