恋姫伝説 MARK OF THE FLOWERS
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第百二十話 于吉、埋伏を作らんとするのことその十一
「何言われても感情がなくてな」
「機械みたいな返事ばかりでな」
「そこも変わってきてるからな」
「今のレオナならな」
「ああ、オロチにはならないさ」
それもだ。大丈夫だというのだ。
「本当に変わったからな」
「人間になったんだよ」
「人間ですか」
レオナは二人の話を聞いて少し驚いた様になって言葉を出した。
「今の私は」
「ああ、人間さ」
「それになったからな」
「最初から人間ではなくですか」
人間のことについてだ。ラルフとクラークは話した。彼等の考えを。
「人間ってのは姿形じゃない」
「心なんだよ」
そこにあるというのだ。人間はだ。
「どんな姿形をしていてもな。心が人間ならな」
「そいつは人間なんだよ」
「心ですか」
「ああ、だから御前は人間なんだよ」
「人間の心を手に入れたからな」
微笑みつつだ。二人はレオナに話していく。
「人の心がある人間だよ」
「もうオロチじゃないんだ」
「そうですか」
「つまりですね」
ウィップもだ。一旦皿を空にしてから話す。
「オロチは人間ではないのですね、彼等は」
「人間の心がないからな」
「そうなるな」
それもまたそうだとだ。二人はウィップにも述べる。
「あっちにいる連中は全部そうだな」
「人の心がない、つまりだ」
「人間ではないですか」
ウィップもだ。このことを今わかった。そうしてだ。
自分でパスタを皿に入れて食べながらだ。話すのだった。
「では私は人間として」
「戦うんだな」
「そうするんだな」
「大佐達と一緒に」
微笑みだ。ラルフを階級で呼んで答える。
「そうさせてもらいます」
「ああ、じゃあこの世界の戦いもな」
「気合入れて生きるぞ」
「わかりました」
ウィップも笑顔で、少女の笑顔で応えてだった。仲間達と共にいた。その中でだ。
劉備は己の天幕の中でだ。孔明の話を聞いていた。孔明はこう劉備に話してきた。
「星の動きを見ていますと」
「何かあったの?」
「はい、大きく動いています」
「どういった感じで?」
「南東から北西へ」
方角をだ。孔明は述べたのだった。
「大きく動いています。妖星達が」
「南東から北西っていうと」
劉備もだ。孔明の深刻な顔の言葉を見ながら述べた。
「敵陣から私達の陣によね」
「はい、つまりは」
「来るのね」
ここでだ。劉備も真剣な顔になった。
「決戦なのね」
「桃香様、何があろうともです」
劉備の傍らにいて常に護衛を務めている魏延が強い声で言ってきた。
「桃香様は私が御護りします」
「御願いね、焔耶ちゃん」
「はい、この焔耶一命にかえても」
「それとです」
今度は鳳統が話す。彼女もいるのだ。
「戦いはこの赤壁で終わりではなくなりそうです」
「えっ、そうなの」
「はい、星の動きを見ていますと」
鳳統もだった。星を見られる。それで言うのである。
「こちらの星達は何一つとして落ちませんが」
「それはいいことよね」
「はい、そして妖星達もです」
こうだ。鳳統は眉を顰めさせて話す。
「全く落ちていません」
「全くですね」
「はい、ですから戦いはです」
赤壁で終わらないというのだ。
「そうなりそうです」
「そうなの。まだ戦いが続くのね」
劉備は暗い顔になり述べた。
「早く終わって平和になって欲しいのに」
「平和は勝ち取るものです」
魏延は両手を拳にして強い声で言った。
「ですから我々も」
「勝ち取るのね」
「はい、そうしましょう」
「少なくともあの人達の好きにさせたら」
劉備はこれまでの司馬尉達との多くの戦いや暗躍のことを思い出してだ。この答えを出した。答えはそれしか見出せなかった。
「この世界は」
「そうです。全てが破壊されます」
「そうなってしまうことは間違いありません」
孔明と鳳統もこのことを言う。
「ですから。何としても勝ちましょう」
「彼等に」
「そうね。絶対にね」
「それとです」
徐庶もいた。彼女もまただった。
「私も星を見ていたのですが」
「黄里ちゃんは何を見たの?」
「私達の傍に黄色い巨大な星が現れました」
「黄色の?」
「そして青と赤、白い星達を護る様な場所にいました」
そうなっていたというのだ。
「その星が現れたのです」
「そうなの」
「はい、この星が誰なのかはわかりませんが」
「一つ大きなことをするのね」
「その様です」
「他に誰かいるのかしら」
劉備は少し考える顔になって述べた。
「ええと。そういえば月ちゃんが何か」
「そこまではわかりませんでした」
徐庶もだ。首を捻り困った顔で述べた。
「ですが悪い星ではありませんでした」
「それはなのね」
「何をするのかはわかりませんが」
星達も何かをだ。劉備達に知らせていた。戦いのこと、そしてまた誰かが来ることをだ。彼女達に静かに知らせていたのだった。
第百二十話 完
2011・10・20
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