八条学園騒動記
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第六百六十話 自由な社会の条件その十三
「そのことこそが」
「左様ですね」
「シヴァ家の歴史は千年」
マウリアのマハラジャの家の一つである。
「開拓で貢献してです」
「それでマハラジャに列せられましたね」
「当時のマウリア主席に」
「それからですね」
「千年で長いと言われますが」
それでもというのだ。
「日本の皇室の歴史と比べますと」
「何でもないですね」
「上には上がいますが」
「上であり過ぎますね」
「そして皇帝であられ」
天皇はその立場であられるというのだ。
「王を任じることが出来ます」
「そこまでの存在ですね」
「ですからその格は比類なきものですが」
「それでもですね」
「あの質素さなのですから」
それでというのだ。
「とてもです」
「及ばないとですね」
「思わざるを得ません、私は王女ですが」
その立場だがというのだ。
「皇女、日本では内親王ですね」
「そう呼ばれますね」
ラメダスが答えた。
「日本では」
「その内親王の方々とはです」
「お嬢様はですか」
「下僕の様なものです」
そこまで違うというのだ。
「足下にも及びません」
「そうお考えですか」
「私は自分を偉いとはです」
「思えないですね」
「王は王でしかなく」
そしてというのだ。
「我がシヴァ家は日本の皇室とはです」
「比べられもしない」
「そうした家なので」
だからだというのだ。
「とてもです」
「偉いとはですか」
「思える筈がありません」
「そうですか」
「まして皇室の方々に傲慢さがあるか」
日本のというのだ。
「果たして」
「いえ、それは」
「全く見られません」
「むしろ腰が低いです」
「誰に対しても」
二人で答えた。
「あれだけの歴史と伝統をお持ちだというのに」
「そうであられるのに」
「高貴であられても」
それでもというのだ。
「あそこまでの謙虚さ、是非です」
「お嬢様としてもですね」
「お手本にとお考えですね」
「そして実際にです」
「お手本とされていますね」
「左様ですね」
「そうしています、日本に来まして」
そして留学をしてというのだ。
「皇室のことも学び」
「そしてですね」
「そのうえで、ですね」
「王女として」
シヴァ家のというのだ。
「学んで政庁していきます」
「それではです」
「私達も及ばずながら」
ラメダスとベッキーは主に応えた。
「働かせて頂きます」
「そうさせて頂きます」
「宜しくお願いします」
セーラは二人に静かに応えた、そうして今はウイスキーと軽い肴を楽しんだ。文化祭の打ち上げは酒と喧騒の中で終わった。
自由な社会の条件 完
2022・3・16
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