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魔法少女リリカルなのは 平凡な日常を望む転生者

作者:blueocean
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第72話 姉妹の絆

「えっ!?お姉ちゃん!?」

「イエス!アイアムお姉ちゃん!………全く、ただでさえ私達姉妹で皆さんに迷惑をかけてるのに、さらに迷惑の上塗りをしてどうしますか!」

妹とは違いパワフルだな、お姉ちゃん。

「でも、私にも考えがあって………ってお姉ちゃん、体は!?」
「問題ありません、気合全快、熱い魂のおかげで、もうすでに全快しました!!」

…………えっ!?

「なあキリエ、お前のお姉ちゃん、頭がイタイ人?」
「そんな事ありません!機体修復だって92%までいってます!!」
「すごっ!?」
「エッヘンです!」

自慢げに胸を張るアミタ。
そんなアミタをみてキリエの顔が暗くなり、

「アミタ………馬鹿!!」

大声で怒った。

「はっ?」
「馬鹿アミタ!!そんな無茶をしたら、機体寿命が縮むのを知ってるでしょ!?」

なっ!?マジかよそれ………

「ちょっとくらいの負荷がなんです。無茶な妹を放っておく方がよっぽど心の寿命が縮まります」
「馬鹿……!」

確かにな……
だけど良い姉だ。

「お姉ちゃん……いえ、アミタ!」

俺から離れ、自分の力で立ち、アミタを見るキリエ。

「私、アミタの事嫌い!!ずっとずっと大嫌いだった!!」

「キリエ……」

少し残念そうにキリエの名前を呟く、アミタ。
だけど直ぐ顔を上げてキリエに向き合う。

「嫌いでも構いません、私はあなたを止めに来たのですから。だけど他の人に先に止められてしまいましたけど……」

俺を見ながら苦笑いする。

「それは悪かったな、出過ぎた真似だったか?」
「いえ、ありがとうございます、零治さん」

そんな事を話しているとキリエがフラつき、アミタにもたれ掛かった。

「ああ、もう!フラついてるじゃないですか!」

「離して……」

「嫌ですよ、離しません」

「そういう所が嫌いなの………大っ嫌い……」

「あなたが私を嫌いでも……私はあなたを大好きですよ。本当は優しい子だって知ってます。なにより、世界中で一番可愛い、私の大切な妹です………私はキリエが大好きですよ」

「そんな事言って……泣いて抱きつくとでも思った?私はそんなんじゃないんだから……」

「別に思ってませんよ。私は私の思ってる事を言って、私がするべき事をしただけです。倒れそうな妹を助けるのは、姉にとって息をするのと同じくらい、ごく自然な事ですから」

「だから……私はお姉ちゃんの事が嫌い……」

「だけど私は、あなたが大好きです」

そんな姉妹を見ていた俺達。
全くこっちまで心が温まる光景だな………

『姉妹っていいものですね………』

「家族だって同じさ。お前も含めて、星、ライ、夜美、フェリア、キャロ、アギトみんな大好きだよ」

『マスターって、よくそういう事普通に言えますよね?』

「おかしいか?」

『いえ、それがマスターの良いところでもあるのでしょうね』

俺は暫く、ずっと二人の様子を見ていた………








『あれ?』

「どうした、ラグナル?」

暫くして、俺はキリエとアミタと一緒にアースラヘ戻ることにした。
心配してるであろうみんなに謝る事と、合流して本格的にUーDに対して作戦を練る為だ。

『この反応は……夜美様、星様、ライ様ですね。どうやら戦闘中みたいです』

「戦闘中?」

『闇の欠片だと思います。でもこれって………』

「どうした?」

『マテリアルの欠片がかなりいます。3人で複数を相手してるみたいです』

「まずそうだな………キリエ、アミタ!」

「どうしました?」

「先に帰っててくれ、ちょっと寄る所がある!」

「ちょ!?あなた、さっきまで勝手な事するなって私に……」

「ラグナル、ブラックサレナは?」

『ダメですね、修復にはまだ掛かりそうです』

「ならアーベント」

『イエス、マスター』

俺はアーベントに換装。
キリエとアミタの反対の方向を向いた。

「ちょっと聞いてる!?」
「行くぞ!」

俺はキリエの言葉を無視して全力のスピードでマテリアル逹の所へ向かった。






「速っ………」

「何なのよもう!」

キリエは頬を膨らませ、零治の行った先を睨めつけている。

「ねえキリエ?」

「何よ……」

「お姫様抱っこはどうだった?」

ガクッ。
飛んでいたのにも関わらず、体がつまずいた様に傾く。

「な、何を言ってるのよ!!」

「だって、キリエって小さい頃ってお姫様になるって……」

「それは小さい頃の話でしょ!!もう早く行くよ!!」

恥ずかしさを誤魔化すようにアミタの手を掴み、飛んでいくキリエ。

「何恥ずかしがってるのよ〜」
「恥ずかしがってない!!」

2人の様子はどこの誰が見ても仲の良い姉妹だった………









空も暗くなり、闇が深まってきた上空。
そこでマテリアル逹は闇の断片と戦っていた。

「あーっ!うっとおしい!!邪魔をするなと言うておろうがー!!」

アロンダイトで向かって来たレヴィの断片を吹っ飛ばす。

「次から次へとキリが無いよ〜」

「エンドレスですね……」

シュテルはディアーチェをレヴィはシュテルの断片を相手にしていた。
だがどちらも、昔の自分達には負けることがなく、特に問題なく倒していった。
だが、闇の欠片は多く、次から次へと湧いてくる。

「これはUーDが近いと言うことか?」

「だと思います」

「だったらここが踏ん張り所だね!」

3人で背を合わせ、自分逹を囲む断片逹を見る。

「だが、ここまでいると面倒な……」

そう呟くと同時に闇の欠片達が一斉に自分のデバイスを向ける。

「くっ、これは流石に……」

「不味いですね……」

「どうする……」

そんな時、

ダンダンダンダンダンダンダンダンダンダンダン!!

上から大量の魔力弾が飛んできて、全て闇の断片へと降り注いだ。

「な、何だ!?」

「王、あれを!!」

シュテルが指を指した方向には白い装甲を纏った男がいたのだった………







『マスター!』

「来て正解だったな。あいつらの上空から狙撃するぞ」

俺はすぐさま上空へ上がる。
パルチザンランチャーを構え……

「パルチザンランチャーBモード、行けー!!」

魔力弾を連射したのだった………







「大丈夫か?」

闇の欠片逹を倒した後、下に降りるとポカンとしている3人娘が。

「どうしたんだお前ら?」

「どうしたんだ………ではないわー!!」

手をバタバタさせながら文句を言うディアーチェ。
この様子を見るとどうしても王だって事を忘れてしまう。

「まあいいじゃないか、無事で何より………」

そう言いながらシュテルとレヴィを見る。
俺はアーベントを解いて、無意識に二人を抱きしめてしまった。

「な、何を……」

「お前ら本当に無事で良かった………マジで心配したんだからな」

「あ、あの……」

「くーるーしーい!」

「ああ、悪い」

慌てて二人から離れる俺。

「貴様、我の臣下に手を出すとは覚悟は出来ておるだろうな……」

ディアーチェがデバイスを向け、俺を威嚇する。

「貴様聞いて………貴様泣いているのか?」

ちくしょう、バレない様にしてたんだけど、見つかったか……

「や〜い、ビビって泣いてやんの!」

「泣き虫ですね」

「違うよ。………お前たちが元気で居てくれて本当に嬉しかったんだ。違う世界でもお前たちは俺の家族だからな」

「家族だと……?我は王ぞ!!貴様など家族に入れん!」

「つれないな、夜美」

「我はディアーチェだと言うておろうが!!」

からかうと面白いなディアーチェは。

「あの、あなたも未来から来たのですか?」

「まあ半分正解かな」

「半分?」

「ああ、そうだ、飴玉舐めるか?」

「舐めるー!」

アースラに行ったとき、貰った飴玉を3人にあげる。
ディアーチェは渋ってたけど、ちゃんと貰ってくれた。

「おいし〜!」

「そりゃ良かった。………でさっきの話の続きだけど、俺は平行世界から来たんだ」

「「「平行世界?」」」

「極めて近く、そして限りなく遠い世界。要するに、俺達の時間は幾度も並んでいるんだ。例えばさっきあげた飴をもしかしたらシュテルは受け取らなかった。そういうIFの世界が平行世界さ」

「??」

レヴィには難しい話みたいだ。

「実際の例を上げれば、俺は今からちょうど3ヶ月前、消えかかってた君たち3人を見つけ、俺が裏技で助けてから、ずっと人として生活している」

「なんと!?」

「だからお前たちの事が他人事じゃなかったんだ。………さっきは悪いな、いきなり抱きついちゃって」

「いえ……」

「飴貰ったからいいよ」

シュテルとレヴィは別に気にしていないみたいだ。
だけどレヴィは軽いな。

「まあ、事情は分かった。だが、何故我の事を夜美と呼ぶのだ?」

「助けたとき、名前が無いって言われてその場でつけたんだよ。3人共気に入ってくれて今はずっとそのままさ」

「ちなみに私達の名前は何と言うのですか?」

「シュテルは星、レヴィはライ」

「えっー!レヴィ・ザ・スラッシャーの方がかっこいいのに……」

それはライに言ってくれ。

「事情は分かった。だが我らには我らの名前がある。ちゃんと呼んでほしい」

「分かったよ夜美」

「き〜さ〜ま〜!!」

「分かった、怒るなって」

頭を撫でながらディアーチェをなだめる。

「うーうー!!」

「王、それじゃあ犬ですよ」

「うるさいわ!!」

やっぱりコイツらとこうして話すのは面白いな。
だがそんな時間は長くは続かなかった。

いきなり空が大きく揺れる。
空も初めてUーDと会った時と同じ様に異様な雰囲気になってきた。

「!?この振動は……」

「王様、シュテるん!いたよ、UーDだ!」

UーDは最初の様に赤い玉の様なものに入っているみたいだ

「あの中で力を蓄えているのですね。充填状況は既に8割超といった所でしょうか?悪い予感が的中しました……現状では私が用意した作戦が通用しません」

「打撃を与えつつ、制御プログラムを打ち込む………我等3人がかりでも無理か?」

「例え、彼に手伝ってもらっても無理でしょう……それに通常戦闘では近づくことすら困難かと」

「フン、下がっておれ、シュテル、レヴィ、それと………」

「有栖零治な」

「有栖?零治?どちらが名前だ?………ええい!貴様はレイでいいわ!!」

マジか!?
星逹と同じ呼び方かよ……

「我が極大魔法にて、このまま奴を停止させる!」

「王……暫く」

そんなディアーチェをシュテルが止める。
だが何か様子がおかしい。

「シュテるん……?」

レヴィも違和感を感じてるみたいだ。

「それは私の役目です。王には、来るべき戦いのために、力を温存しておいていただかねば」

「おい、シュテルそれって……」

俺がそう言おうとすると、俺、レヴィ、ディアーチェにバインドをかけやがった。

「我等が束になっても、いくら策を遇してもあの子に敵わない事……予想はしてました。ですからナノハ逹にも協力を依頼したんです」

「シュテるんが僕に頼んだこと……」

「今出来ることは後の勝利に繋がる次の布石を打つこと、つまりは、これ以上の充填を阻止すること。そして、少しでもあの子の力を削る事です。」

「それで何でこのバインドなんだよ……!!」

「私自身が布石だからです。まあこの身と引き替えに、あの子の多層防壁の何層かくらいは破損させてみせますよ」

「駄目だよシュテるん!」

「そうだ!勝手は許さんぞ!!自ら捨て石になろうなど、我が許すと思ってか!?」

「だからバインドで動けなくさせてもらいました。なに、運が良ければ完全消滅には至りません。時が来れば復活も叶いましょう」

「システム構造そのものを破損されればいくら貴様とて………!!」

「それは貴方にも言える事ですから。あなたが居なくなっては、紫天の書を扱える者が居なくなってしまう……UーDを手に入れる事も出来なくなります。なので少しだけそのままでそこにいらして下さい」

「シュテル……!!」

「レイ、飴美味しかったです。最後にあなたに会えて良かったです。帰ったらあっちの私によろしく言っておいて下さい」

最後って……

「待って、シュテるん……待って!」

「これが、最も理論的なやり方です。レヴィ……後の事を頼みますよ」

「シュテル、待て!!待たぬか!!」

そんな言葉を無視して、シュテルは行ってしまった。

「くそっ、く〜だ〜け〜ろ……」

「何故解けん!!早くせねば……」

「……ったく久しぶリに星に説教だな」

『ですね……』

「ラグナル、アーベント!」

『イエス、マスター!』

換装と同時にバインドが解ける。

「何が最後だ!ガキのくせに無理しやがって……」

『自己犠牲なんて今どき流行らないです!』

俺はついでにレヴィの拘束も解いた。

「あ、ありがとう!」

「レヴィ、さっさとシュテルを連れて帰って叱ってやれ!」

「うん!!」

俺はシュテルの行った方向を向く。

「待て!!我の拘束も解け!!」

「……悪いが、ディアーチェはそのままでいろ」

「何故だ!?」

「お前は今回の要だ。お前を失えば取り返しのつかない事になる」

「だが!!」

「ディア、俺を信じてくれないか?必ずシュテルとレヴィを連れて帰ってくるから……」

俺はディアーチェの目を見て、呟く。

「……勝手に略すでない!略したければ我との約束を守ってからにしろ!!」

「ああ、ありがとう。行こうレヴィ」

「うん!待ってて、王様」

俺達はシュテルに追いつくためシュテルの方向へ飛んでいった……








「焼け尽き消える事となっても後悔はありません……」

「嘘だね……そんなの嘘だ!!」

シュテルが見えた所でシュテルの呟きが聞こえてきた。
レヴィは直ぐにもシュテルに怒る。

ハッキリ言って俺もかなり頭にきてる。

「後悔あるに決まってる!ナノハとか言う子と約束してるんでしょ?もう一度戦うって」

「レヴィ!?それにレイまで!!私のルベライトを破ったのですか!?」

「俺のバリアジャケットの換装時、自分にかかってるバインドを解けるんだ。そしてその後はレヴィのバインドも解いてあげてここまで来たんだ」

「レイの実力を甘く見てました……」

「シュテルは珍しく馬鹿だよ!1人より、2人の方が、2人より3人の方がまだ確率が高い。僕にだってそれくらい分かるよ」

「レヴィ………馬鹿は余計です」

そこは引かないんだな……

「だがレヴィの言うとおりだ。ぶっちゃけビンタくらいしたいところだぞ俺は……」

「それは………やめて欲しいです」

「………まあ今はそんな事やってる場合じゃないよな」

「行こうシュテル、3人でUーDを手に入れるんだ。王様の為に……僕らの為に!!」

「レイもそれでいいのですか?」

「ディアと約束してるんでな。2人を無事に連れて帰るって」

「王をあだ名で呼びますか……ふふ」

そう言ってシュテルは控えめに笑う。

「やっぱり笑うと可愛いじゃないか。UーDを手に入れられたら今度は王様に向かって笑ってやれ」

「……はい!」







暫く飛んでいると、UーDが俺達を待ち構える様に佇んでいた。
最初に会った時よりも禍々しく、力強さを感じる。

「マテリアルーS、マテリアルーL、そして白銀の騎士ですか……」

「俺は白銀の騎士か……まあ見てくれはそうか」

『私はいいと思いますよ』

「UーD、あなたを救いに来ましたよ」

「救いなど求めていませんよ。私は私です。ずっと昔からこのままで……これからもずっとこのままです」

「嘘だな。初めて戦ってから思っていたが、お前は自分に嘘を付いている。本当の気持ちを隠して無理をしている」

「そんな事ないです。私はずっとこのまま……」

「いいえ、きっと変われます」

「そうだよ、僕たちだって協力する」

「私達も目覚めたばかりの頃そうでした。死と殺戮を求め、破壊と混沌に身を委ねる事だけを思ってた」

「それが私の生まれた意味です。そして誰も私を扱いきれず、私を闇の書の底に沈めました」

「知ってるよ。あの暗く何もない空間に僕たちはずっと一緒だったんだから」

「それなら私の前に立たないで下さい、私はあなた逹すら破壊してしまう……」

「俺達を舐めるなよ、俺達はそう簡単に負けないさ。そして俺は家族の為ならどんな相手だって負けないんだ」

「家族………?」

「お前だってコイツらの家族なんだ」

「分かってくれるまで、何度でも言います。私はあなたを救いにきたんです。私の王が、きっと貴方を救ってくれる……」

「戯れ言です、それは幻ですよ。誰も私を救えたりしない……」

「頑固だな!!」

「いいえ、きっと出来ます、私達の王ならば!」

「そのためにも、UーD、少し痛い目にあってもらうぞ!!」

俺は、パルチザンランチャーを構え、宣言した。






「パイロシューター!」

シュテルの放った誘導弾が真っ直ぐUーDに向かっていく。
だが、UーDは全く動かない。

だが直撃したパイロシューターは何かにはじかれたかの様に消え去った。

「なぜ!?」

「もしかして……」

「何か知ってるの?」

「あれが防壁です。あれを何とかしないと直接ダメージを与えられません」

「何か方法は無いのか?」

「干渉制御ワクチンを積んだ一撃を与えればあるいは……」

そうか、なら………

「お前らはその干渉制御ワクチンの攻撃の準備を始めろ。その間、俺がUーDの目を引く」

「!?駄目です!!一人じゃ危険すぎます!!」

「そうだよ!!2人で陽動して1人がワクチンを撃てばいいよ!!」

「駄目だ!ただでさえUーDに勝てるか絶望的なんだ。だったら少しでも可能性の高い方がいい」

「でも……」

「大丈夫だ、俺には奥の手があるからな。ラグナル!」

『明日は全身筋肉痛決定ですね。フルドライブ行きます!』

アーベントのフルドライブを使用。
赤い線が青に変わり、パルチザンランチャーもブラスターとなった。

「姿が……」

「変わった……?」

「頼むぞ、二人共」

俺はまだその場から動かないUーDに向かっていった。








「話し合いは終わりましたか?」

「ああ、これでお前を助けられる」

「まだ戯れ言を……」

「アイツらはお前らの事をずっと待っていたんだ。それなのに簡単に諦めないさ」

「ならあなたは何の為に戦ってるのですか……?」

「俺もお前を救いたい。お前だってアイツらと同じなんだろ?だったら俺はお前を助ける理由になる」

「訳が分かりません……」

「俺の世界に来れば分かるさ」

俺はパルチザンブラスターを向け、戦闘準備にかかる。

「あなたの攻撃は効きませんよ」

「いや、手はあるさ。確かに俺だけじゃ厳しいかもしれない……だけどシュテルやレヴィもいるからな……行くぞ!」

俺はその場から動く。

「!?最初の時より速い」

「Bモード!」

魔力弾を移動しながら連射。
弾が直撃するよりも早く次の弾を発射。

その攻撃はまるで時間差で一斉攻撃している様だった。





「凄い……レイ……」

「僕より速いよ……」

「だけどあれは長く続きませんね」

「どうして?」

「あれはオーバースキル過ぎます。あんなに速く動いたら体がもちません……レヴィ、速く準備しますよ」

「分かった」




「やっぱり通らない……」

「無駄……」

UーDは大きく翼を広げ、羽の様な魔力弾を一斉に飛ばしてくる。

「だがそれくらいのスピードなら!!」

俺は横に避けずに真っ直ぐ突っ込む。

「!?そんな」

流石に予想外だったのか、UーDも驚いてる。

「インパクトステーク、ぶち込む!!」

最初の時と同じように、右手に展開したステークで思いっきり突き刺す。
ダンダンダン!

3回大きな音がなる。

「………残念」

だがその攻撃もUーDには効かず、UーDピンピンしている。

「くっ、やっぱり駄目か?」

『いえ、防壁を多少貫きました。だけど修復が早すぎます!』

「くそっ、やっぱりシュテル逹にかけるしかないか……」

『!?マスター!!』

!?余計な事考えたせいで反応が遅れた。
UーDの作りだした大きな手に捕まる。

「捕まえれば逃げられない……これで終わり」

「………それはどうかな?」

俺の見る先に準備の終えたシュテルとレヴィがいた。

「準備出来たよ!」

「後は任せて!」

「よし、解除!」

アーベントを解除しラグナルフォームになる。

「ソニックムーブ!」

手が緩んだ隙にソニックムーブで逃げ出した。

「いけええええ!!」

「ルシフェリオーン………」

「きょっこーざーん………」

「「ブレイカー!!」」

「うわぁああああ!!」

二人の合わさった砲撃魔法がUーDを飲み込んだ。

「シュテル!レヴィ!レイ!」

呼んだのはディアーチェ。
どうやら自力でバインドを破り、こっちにやって来たみたいだ。

「王様、やったよ!」

「まだ分かりませんこれで事態が良い方向へ向かえば良いのですが……」

直撃により巻き起こった煙で姿が分からない。
どうなったんだ?

『マスター!』

「!?ソニックムーブ!」

ラグナルの声で俺は咄嗟に2人の所へ向かった。
なぜかと聞かれても答えられない。だって体が先に動いたのだから。

「えっ!?」

「きゃ!?」

俺は着いた瞬間2人を突き飛ばす。

「ぐふっ!?」

俺の直感は正しかったみたいだ。

「レイ!!」

「約束は守ったぜディア………」

2人を庇った俺の体には複数の血の色をした針が突き刺さっていたのだから……… 
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