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オズのホボ王子

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第八幕その五

「うわ、凄いね」
「ここにこんなホテルがあるなんて」
「思いも寄らなかったよ」
「私達今夜はここに泊まるのね」
「凄くいいわ」
「そうだね、これはいいね」
 王子も笑顔で言います。
「では今日はここに泊まろう」
「我々は食べないですがお料理もありますよ」 
 ボーイのガーゴイルが言ってきました。
「あとフロアの移動は階段もエレバーターもエスカレーターもありますので」
「それで僕達は何階のお部屋を使っていいのかな」
「お好きな階のお好きなお部屋を」
 これがガーゴイルの返事でした。
「どうぞ」
「そうしていいんだ」
「はい、他のお客様が泊まっておられるお部屋もありますが」
 それだけでなくというのです。
「空いているお部屋ならです」
「何処でもなんだ」
「お使い下さい」
 こう言うのでした。
「どうぞ」
「そうなんだ」
「それでどのお部屋にされますか?」
「そうだね」
 王子は自分に判断を委ねられたことを受けてでした。
 暫く考えていました、するとここでガーゴイルが笑って言ってきました。
「最上階を全部占めているロイヤルスイートが空いていますよ」
「ロイヤルスイートが?」
「はい、使えますけれど」
「そこを使っていいのかな」
「空いているお部屋なら何処でも」
「それでなんだ」
「どうでしょうか」
 ガーゴイルは王子ににこりと笑って尋ねました。
「それでは」
「ではそこを使わせてくれるかな、皆でね」
「皆様がですか」
「そうしていいかな」
 こう言うのでした。
「それなら」
「では案内させて頂きますね」
「お願いするよ」
「畏まりました」
 こうしてです。
 皆そのロイヤルスートに泊まりました、そこでお風呂にも入ってそうしてディナーとなりましたが。
 何と満漢全席が出てきました、王子もこれには驚いて言いました。
「まさかね」
「ええ、満漢全席が出て来るなんてね」
「思わなかったよ」
「私もよ」 
 王女もこう言います。
「本当に」
「そうだね」
「こんなものが出るとはね」
「流石に思わなかったよ」
「いや、エメラルドの都の王宮では食べたことがあるよ」
 こう言ったのは教授でした。
「しかしね」
「それでもだね」
「あとは中華街でも出るけれど」
 オズの国のというのです。
「立派なお店でね」
「それでもこうしたホテルで出ることは」
「欧州の感じだからね」
「尚更だね」
「ロイヤルスイートだから相当なものが出るにしても」
 このことは間違いなくともというのです。
「けれどね」
「これはだね」
「思いも寄らなかったよ」
 こう言うのでした。 
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