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イベリス

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第四十八話 東京という街その九

「大変だったらしいわ」
「そうだったのね」
「そう、だからね」 
 それでというのだ。
「恋愛は怖いものでもあるわ」
「そうなのね」
「傷付くこともね」
「あるのね」
「それも酷くね」
 その様にというのだ。
「そうなることもあるのよ」
「そう思うと怖いわね」
「ええ、とてもね」
「恋愛は怖いものなのね」
「そうでもあるのよ」
 それこそ酷く傷付く様なというのだ。
「これがね」
「そんな話聞いたら余計にね」
「恋愛はいいってなるのね」
「そんなトラウマ持つみたいな」 
 そうしたというのだ。
「酷い目には遭いたくないわよ」
「お父さんがその話をお母さんに話したんだがな」
 父が言ってきた。
「振った女の子と裏切った友達は今学園の嫌われ者らしいな」
「そりゃそうでしょ、特に友達」
「そちらだな」
「自分達が言ったのよね」
「それで自分があんなのと付き合うなら迷惑がかかるとか告白した娘の周りに言われてだ」 
 そうしてというのだ。
「自分達が迷惑だと思ってな」
「告白した人を切り捨てたのね」
「そうしたんだ」
「その人達って平気で人を裏切る人達ね」
 咲はここまで聞いてこのことを確信した。
「間違いなく」
「咲もそう思うな」
「それで実際に裏切ったのよね」
「それで自分達に難儀が及ばない様にしたんだ」
「それじゃあね」
「平気で人を裏切るな」
「絶対にそうよ、最初から友達じゃなかったのよ」
 咲はこうも言った。
「失恋した人とね」
「そうだ、本当に最初からな」
「只の馴れ合いだったのね」
「それでだ」
「本当の友達じゃなかったのね」
「お父さんもそう思う」
 父は咲の考えをこの言葉で肯定した。
「そんな連中は最初から友達じゃないんだ」
「自分達が危うくなったらすぐに手を切る様なら」
「それも自分達がけしかけたのにな」
「碌でもない連中ね」
「嫌われるのも当然だ」
「絶対に信用出来ないし薄汚いからね」
「卑怯で下らない連中だ、咲はこんな連中とは知り合ってもな」 
 例えそうなってもというのだ。
「絶対に近付けるんじゃない」
「友達になっても駄目ね」
「自分の都合が悪くなったらすぐに逃げるなんてな」
 それこそというのだ。
「絶対に信用するんじゃない」
「関わっても駄目ね」
「あちらから来てもな」
 例えそうしてもというのだ。
「信用するじゃないぞ」
「そうすることね」
「さもないと大変なことになるからな」
「裏切られるわね」
「それも平気でな、自分の責任からも逃げてるな」
「本当の友達なら告白する様に言ったのは自分達だって堂々と言うわね」
「それでその責任を取る、しかしこの連中は逃げた」
 自分達の責任からもというのだ。 
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