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私はいじわる 小悪魔が住みついた

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第九章
  9-⑴

 昂君が言っていたように、新学期が始まって直ぐに、末永先生が

「あさって、練習試合 するぞ 男子対女子部 女子部には穣に監督頼んだ」

 そして、当日。ギャラリーも多くって、他のクラブの連中とか、校長先生とか数人の先生までも見に来ていた。試合前、穣先輩がチームを集めて

「香澄 いいかー 4回か5回までの気持で思いっきり投げろ 後は、鈴花に代わるからな それと、柚子葉と真珠は とにかく塁に出ること考えろ バンドでもフォァボールでも良いからな 振り回すな 当てていけ フライはダメだぞ 当てて、転がすだけでもいいから いいかー 俺は、主審務めるから、あんまり、試合中は、君達に指示出来ないんだ 途中、途中で彩乃先生を通して伝えるからな とにかく、普段通りやれば、大丈夫だ 自信を持ってな いくぞー」

 私達のチームは専攻で 1番 柚子葉 2番 私 3番 鈴花 4番オーカ 5番 美智佳さんだった。1塁審判は末永先生 3塁審判は田中先輩 が立っていた。

 そして、柚子葉 粘ったけど、最後、三振だった。私の番 とにかくボールに当てていって、粘って粘ってフォァボールを選んで塁に出た。私 小さいから投げにくかったのかな。次の鈴花 いきなり、3塁線上のファール そして、ボールが二つ続いた後、鈴花が私を見て、何か訴えるように・・

 何なのよー と、考え込んでいたら、次の球が投げられた時 「走れ」とあの声が・・私の中の小悪魔だ。まだ、私の中に居たのー 私は、2塁に向かって走り出していた。そうしたら、私の後ろを鈴花が打った球が飛んで行ったような・・「真珠ちゃん 3塁まで走れ」って彩乃先生の叫ぶ声が聞こえて来た。必死で、昂君めがけて、滑り込んでいった。途中で、梶原先輩がボールをカットしていた。鈴花が2塁に向かおうとしていたからだ。我ながら、みごとなエンドランだった。

「いいぞー 真珠」と、昂君もボソッと言ってくれた。でも、次のオーカは当たりそこねで、ショートフライ、その次の美智佳さんは当たりはよかったけど、梶原先輩がかーるくさばいて、私はホームを踏めなかった。

 その裏、1番の昂君は初球をはじき返してセンター前に・・。そして、バンドで送られて2塁に。3番の梶原先輩は、打ちそこねて、1塁の後ろのほうに打ち上げて、ファールフライを美智佳さんが追ってアウトに。そして、恭一先輩も初球を簡単に打ち返してレフト横の2塁打。その後は、アウトになったけど、簡単に1点取られてしまった。

 2回、3回は両チームとも凡退して、4回 私に先頭で回ってきていた。鈴花が「真珠 出たら、初球バントするから」と。私も初球、打ち返した。ピッチャーに島本先輩の足元に・・クラブではじいてしまって、転がる間にセーフになってしまったのだ。そして、鈴花 打ち合わせ通り 私は2塁へ。そして、オーカ 見事にセンター前に・・私は、必死に走った。そして、初めての得点。その後、美智佳さんもヒットだったけど、後が続かなかった。でも、同点だ。

 その裏、先頭の梶原先輩がスコーンとレフトオーバーのホームラン。あっけなく逆転されてしまつた。そして、続く恭一先輩にもレフト横の2塁打。その時、穣先輩がタイムを掛けて、香澄さんのもとへ、そして、鈴花を呼び寄せた。私達、内野も集まっていたけど

「鈴花 いいかー 内角を思い切って攻めろ ただし、低めな わかったな オーカ 合宿で練習したろー みんな、詰まって・・3塁ゴロになるから・・ウチには、最強のサードが居る 鈴花 真珠を信じて投げ込め わかったな お前の球はうちの連中には打てないから」

 穣先輩。ウチのこと 最強のサードだって。あんなにいじめられたのに・・。絶対に、全部捕ってやるからな 鈴花 任せとけって。

 その後、ボテボテのサードゴロが2本。恭一先輩も進めなかった。そして、三振。5回もそんな調子で私のところにゴロばっかり飛んできていた。たまには、いい当たりもあったけど、私は平気だった。昂君は、予想していたのだろう。狙ったようにレフト前にヒットを打ってたけど。

 6回の表、先頭の私。くらいついていって、何とかセンター前に・・だけどセンターが突っ込みすぎて逸らした。その間に、2塁まで行けてしまったのだ。鈴花ちゃんは、今度は、私に向かって、こぶしを上げて「真珠 おー」と、言って居た。わかった、鈴花ちゃんは、又、何かやってくるなと思った。そして、プッシュバンドを1塁方向に・・。私は、3塁に。

「オーカは 絶対に外野まで飛ばしてくるからな 俺が声かけるから、必死に走れよ 滑り込め」と、昂君が小さい声で言ってくれた。そして、「行けっ」と・・私、又、必死で・・頭から滑り込んだ。恭一先輩は私の頭を思いっきり、クラブで・・「セーフ」と、穣先輩の声が・・私の手が先にベースに届いていたんだ。

 6回も梶原先輩、恭一先輩に連続でヒットを打たれたけどノーアウト1.2塁のピンチでも鈴花ちゃんは落ち着いていた。どんどん投げ込んで、全部サードゴロ、ライナーだった。7回表、ウチ等は三者凡退で終わったんだけど、その裏、鈴花ちゃんは、二人を三振に取っていた。そして、昂君 又、打ちやがった。レフト、センター間の2塁打。次はショートゴロで打ち取ったと思ったけど、柚子葉 深いところでセーフになってしまった。

 内野全員が鈴花ちゃんのところに集まって

「どうする 満塁にする?」と、美智佳さんが

「いや 勝負する 恭一先輩の方が怖い」と、鈴花ちゃんがみんなを見まわして、言った。

 そして、2本ファールで追い込んだ後、ぶつかるようなところに2ツボールが続いて、5球目。梶原先輩は身体を開いて・・3塁方向のライナー・・私は、飛びついたんだけど・・クラブの先を・・転んだまま私は、その先を見ていた。3塁線の内側をボールは転々と・・昂君がホームベースを踏んだ。負けた。

「ごめん 鈴花 ウチ 捕れなかった もっと 飛べてたら・・」もう、涙が出ていた。

「なんやー 真珠 泣いてるんか 顔がドロだらけやんかー 練習やんかー 精一杯やったで ウチ等」

「そうよ 真珠 2点とも 真珠がホーム踏んだんやで― えらいよー 一人だけ そんなにユニホーム 泥だらけでー 頑張ってくれたやん」

「惜しかったな でも、良い試合だった。このチームの戦いが出来たじゃないか。もっと、練習重ねたら、いいチームになるぞ」と、穣先輩が、みんなを集めて言ってくれていたら、彩乃先生が校長先生と一緒に来て

「やぁー 感心したよ 4月に職員室で、初めて野球やりたいなんて、ゴネていた生徒たちとは思えないよ まだ、数ヶ月で、男子と張り合うなんてな あの時、叫んでた全国も、はったりじゃあ無いっなて気がしたよ。君達、ユニホーム無いんだろう。先生がPTAの後援会とかに声を掛けて、協力してもらうよ。これからも、がんばれ」と、校長先生が、言ってくれた。

 私達、手を取り合って、抱き合って、喜んだ。私も、泣いているんだか、嬉しいんだか、くしゃくしゃになって喜んでいた。
 

 


 




 

 
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