東方絆日録 ~ Bonds of Permanent.
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共存編
麟:果たし合い!?
−博麗神社−
竹を伐りに出発した敏久を見送ったのち、縁側で日課のお茶を楽しんでいた霊夢は神社にやってきた見知らぬ少女から突然の決闘を申し込まれ困惑していた。
?「霊夢、あたしと勝負なさい!積年の恨み、今ここで晴らしてやる‼︎」
霊夢「あのー、どちらさまですか?」
霊夢(“博麗靈夢”を名乗っていた頃のメンバーでもないし…。マジで誰なの⁉︎)
金髪で頭に赤いリボンを結び、白い割烹着のような服を着ているこの少女を霊夢は知らない。
麟「『どちらさまですか』だって!?あたしよ、あたし!|冴月麟よ!!」
霊夢「冴月麟?」
麟「覚えてないの?ほら、“東方紅魔郷”に自機として貴女や魔理沙と一緒に登場するはずだった…」
霊夢「登場する『はず』だったのなら私は知らないねえ」
麟「うぐぅ…。まあいいわ、所詮あたしは企画段階で没になったキャラだし」
霊夢「何をブツブツ言ってるのよ。それで勝負がどうこう言ってたわね。腕は確かなの?言っとくけど私は強いわよ?」
霊夢をあざ笑うかのように麟は鼻で笑って答えた。
麟「ふん、勝算なくして勝負に勝てるわけないでしょ?自信があるからわざわざここまで出向いてやったのよ」
その傲慢な態度が霊夢の闘争心に火をつけた。
霊夢「……面白いわ。やりましょう」
立ち上がり、中庭へ移動する。
霊夢「貴女が何枚スペルカードを持っているのか知らないけど、とりあえずあるだけ全部使っていいわ。ただし、貴女がそれらを全て回避されたり3回被弾した場合は貴女の負け。もちろん逆なら貴女の勝ち。それでいいわね?」
麟「ええ、十分すぎる条件だわ。霊夢、貴女こそ気を抜きすぎて被弾しないようにね?」
霊夢「ご忠告ありがとう。頭の片隅にでも入れておきますわ」
霊夢「では、いざ尋常にーーー」
霊夢&麟「勝負!」
戦いの幕が切って落とされた。
ー
ーー
ーーー
先に動いたのは麟だった。
手に持った六角二胡(中国の楽器)を奏でると音と同時に音符が発生し、やがて弾幕となって霊夢に襲いかかってきた。
霊夢「なんだか騒霊三姉妹の長女みたいな攻撃ね。まあ、アンタは知らないだろうけど」
霊夢はそれを難なくかわし、同時にスペル発動の準備を整える。
霊夢「それじゃ、貴女のお手並みを拝見させてもらうわよ!」
~夢符「二重結界」~
スペルを詠唱すると麟を取り囲むように二重の結界が張られ(便宜上、内側の結界を1、外側の結界を2とする)、そして大量のお札がばら蒔かれた。
お札は1の結界に吸い込まれるようにして消えた…と思いきや2の結界の外側に突如として現れ、麟めがけて向かってきた。
麟「なんのこれしき!」
麟はそれを軽くあしらうかのように避けていく。念のため言っておくが麟と霊夢は初対面かつ初対戦である。
やがてスペルブレイクを迎えた。
比較的難しいとされている「二重結界」を麟は初見でクリアしたのだ。相当の実力者であることが窺いしれる。これには霊夢も舌を巻いた。
霊夢「なかなかやるわね⁉︎」
麟「このぐらいの実力がないと“自機”の名が廃るってもんよ!」
すぐさま麟は反撃を始めた。
~風符「一陣の木枯らし」~
麟が二胡を奏でると彼女の目の前に音符型の弾幕が出現した。
そのまま1分ほど経過した。なおも麟は演奏を続けているので音符はどんどん増えていく。
霊夢「ちょっと!いつまで演奏するつもり⁉︎」
麟「・・・。」
霊夢の問いに麟は答えず、ただ黙々と演奏を続けている。
ついに痺れを切らした霊夢が麟に接近しようと前進を始めた。そこでようやく麟は演奏を止め、音符型弾幕を霊夢に投げつけた。
するとどうだろう。木の葉型に変形した弾幕が麟の背後から吹き荒れる猛烈な風に乗って霊夢に向かってくるではないか!
霊夢はそれを避けようとしたが間に合わず、たちまち2回分被弾した。
麟「ふははははは!いい気味ね、霊夢。よくまあそんなんで“博麗の巫女”が務まると思うわ」
霊夢「ちっ・・・。」
麟「さあ、最後はあたしがこの勝負のためだけに考え出したオリジナルスペルで貴女を料理してあげる。観念なさい!」
~花符「我行ク人生ハ、茨ノ人生也」~
スペルは「われゆくみちは、いばらのみちなり」と読む。
スペル名を唱えた直後、霊夢を取り囲むように茨の輪が何十と出現した。ちなみに実際には輪の一部が途切れており、真上から見るとフランの“恋の迷路”のようになっている。
その茨には何百もの棘があった。
やがて茨の輪が回りだし、棘が青白い光を帯び始めた。
霊夢(ま、まずいわね・・・。)
棘がいよいよ青白く輝き、「巨大なレーザーでも放たれるのか」と霊夢が思った次の瞬間!
ーーーなぜか強制的にスペルが解除され、茨の輪が消えたのだった。
麟「な…な……何なのこれー!?」
霊夢「・・・はあ?」
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