東方絆日録 ~ Bonds of Permanent.
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共存編
早苗:小旅行②
さて、香霖堂を後にした二人は紅魔館へ向かった。そこは悪魔と名高き吸血鬼の姉妹が住まう館で、外観や内装など全てが深紅で統一されているようなところだった。
紅魔館の門の前へ来ると萃香は『急な用事ができた』と言って帰ってしまった。
門番に話しを通せば中に入れるらしいのだがーーー
西(ぐっすり寝とんしゃあばい…。)
これである。肝心の門番が寝ているのでは全くお話しにならない。
人民服というのだろうか。それに身を包み、「龍」の文字が入った深緑色の帽子を目深に被っている中国人らしき女性はいま、職務を放棄してシエスタの真っ最中だった。
門番らしき人物はこの女性しか見当たらないので、とりあえず彼女に話しをつけなければならない。
(西) 「你好!」
女性:(-.-)zzZ…。
(西)「もしもし?」
女性「……んん、新聞なら間に合ってましゅよー」ムニャムニャ
(西)「あの、中ごーーー」
女性「言わせませんよ!」
「中国さん」と言おうとしたとたん、さっきまで寝ていた女性が跳ね起きた。
(西)「ユー、日本語ワカルの?」
美鈴「元から日本人です!そして私の名前は紅美鈴です!!」
(西)「いやいや。その服装といい名前といい、もう完全に中国人やん」
美鈴「人間じゃありません!妖怪です!!」
(西)「妖怪ねえ…まあいいや。美鈴さん、頼みがあるっちゃけど聞いちゃらん?」
美鈴「OK!妖怪に何か用かい⁉︎」(キリッ)
(西)「ちょっとでよかけん中に入れてくれん?何があるのか興味があるんよ(つまらんダジャレやね…。)」
美鈴「(渾身のギャグをスルーされた…。)なんだ、そんなことですか。……はい、どうぞ」
相手の素性も確かめぬまま、美鈴はあっさりと門を開けた。
美鈴「どうぞお気をつけて。私はまた睡眠ーーーげふんげふん、警備に戻りますので。……それでは」
美鈴はそう言って門を閉めると置いてあったパイプ椅子に腰掛け、再び深い眠りについた。
門番にあってはならない言葉が飛び出したのは気のせいだろうか。
西(……本当に門番なんやろか?)
ーーー(西)は仕事そっちのけでぐーすか寝ている門番に半ば呆れつつ、建物の中に入っていった。
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