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読み終えること

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第二章

「実はお父さんとお母さんの考えなの」
「考え?」
「根気がないとってね」 
「駄目とか?」
「そうなの、何をするにもね」
「根気がないと続かないね」
 市川もそれはと頷いた。
「確かにね」
「お父さんとお母さんは根気が一番大事だって私が子供の頃から言っていて」
「僕にもなんだ」
「それを求めているの。それで根気を見る為に大事なのがね」
「長い作品でも最後まで読むかどうか」
「その作品が面白かったらね」
「長い作品だとそれだけで嫌になる人いるしね」
 市川もそれはと述べた。
「大長編とか言って」
「それで途中で根気が続かないでね」
「挫折するね」
「二人共それでなの」
「僕に聞いたんだ」
「多分読んだことないって言ったら」
「駄目になってたかな」
 市川はその場合のことを想像して暗い顔になった。
「そうなったかな」
「そこまではわからないけれど」
「危うかったんだね」
「そうかもね。けれどあなたがちゃんと最後まで読む人つまりね」
「根気があるってわかったから」
「認めてもらったのよ」
「それは何よりだよ」
 路子の言葉に笑顔で頷いた、そうして路子との交際をさらに高めることにしたが彼女がずっと読み続けている作品はというと。
「ジョジョなんだ」
「面白いでしょ」
「面白いけれどキャラも台詞も絵柄も独特過ぎるね」
「その独特さがいいのよ最後の最後まで読むわ」
「完結までだね」
「そうするわ」
 丁度五部の名場面の一つを読んでいるところだった、無駄無駄を連呼するその場面を見る恋人を見てついつい自分も一巻から読みはじめた市川だった。読みはじめたこのシリーズもまた実に面白く読み続ける根気を発揮したのだった。


読み終えること   完


               2022・3・22 
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