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イベリス

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第四十四話 麦わら帽子を買いながらその十三

「どうしてもね」
「難しいのよね」
「そうみたいなのよね」
「けれど慣れたらわかるし」
「私達みたいに東京で生まれ育っていたら」
「わかるわね」
「何かとね、迷路だって」
 そう言っていい場所でもというのだ。
「慣れて道がわかれば」
「もう迷路じゃないわ」
「そうよね」
 二人でこうした話をしてだった。
 咲と愛は同じ電車に乗って途中まで一緒に帰った、そうして咲は帰る途中でだった。
「声優さんの優紀緑さん見たわ」
「同じ電車に乗ってたの」
「そうなの、実際に見たら凄く小さくてね」 
 家に帰ってから愛にスマートフォンで話した。
「子供みたいで童顔で可愛かったわ」
「そんな人だったのね」
「雑誌やインターネットで観るよりも」
「実際に見たらだったのね」
「ずっと小さくて可愛い人だったわ」
「東京いたら声優さんよく見るわね」
「それで俳優さんもアーチストの人もね」
「テレビ局とか収録所殆ど東京にあるからね」
「中心地はね、事務所もね」
 芸能関係のそれもというのだ。
「だからね」
「時々でも」
「電車や駅の中それに街中でね」
「お見かけしたりするのね」
「そうしたこともあるわね」
「東京はそうよね」
「私この前西武の選手見たし」
 愛はここでこう咲に話した。
「あのチームのね」
「西武の?」
「そう、多分こっちで試合があるか」
 若しくはというのだ。
「遊びでね」
「東京に出てなのね」
「私服だったけれどね」
「見かけたの」
「ええ、まあ所沢だとね」
 西武の本拠地であるそこからというのだ。
「あっという間に東京まで行けるしね」
「正直近いわよね」
「電車でも車でもね」
「本当にすぐね」
「それでこっちに来てね」
「遊んでたみたいなの」
「どうもね、今パリーグ東京に本拠地のあるチームはないけれどね」 
 それはセリーグのヤクルトである、もっと言えば全人類に対して害毒を撒き散らしているおぞましき邪悪読売ジャイアンツもである。
「昔は日本ハムがそうだったけれど」
「本拠地東京ドームでね」
「巨人と同じでね」
「けれど北海道に移ったから」
 最初は札幌でそれが東広島に移ったのだ。
「もうね」
「東京にパリーグのチームないわね」
「所沢に西武があってね」
「千葉にロッテね」
「そうなってるけれどね」
「けれど所沢からすぐだから」
 それ故にというのだ。
「来てるのでしょうね」
「埼玉っていってもすぐよね」
「そう、むしろ横浜よりもね」
「東京に近いわね」
「さいたま市でね、所沢だってね」
「横浜と同じ位で」
「すぐに来られるわ」
 東京にというのだ。 
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