仮面ライダーAP
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第6話 ドライビング・トランスフォーメーション
前書き
◆今話の登場ライダー
◆鳥海穹哉/仮面ライダーケージ
警視庁に属する巡査長であり、真っ直ぐな正義感の持ち主でもある熱血刑事。仮面ライダーケージに変身した後は、強烈な飛び蹴り「ジャッジメントストライク」を中心とする徒手空拳で戦う。マシンGドロンに搭乗する。年齢は27歳。
※原案はたつのこブラスター先生。
◆忠義・ウェルフリット/仮面ライダーオルバス
アメリカでは騎馬警官として活躍していた父の影響で警察官となった、ハーフの青年。仮面ライダーオルバスに変身した後は、勢いを付けた後ろ回し蹴り「FIFTYΦブレイク」を中心とする接近戦で戦う。マシンGチェイサーに搭乗する。年齢は20歳。
※原案はX2愛好家先生。
「ぐぅうッ!」
「がはッ……!」
「迅虎、紗月……ぐうッ!」
そこからはもはや、戦いですらなかった。力を使い果たしていたG-verⅥ達では仮面ライダーニコラシカに対抗出来るはずもなく、彼女達は次々と倒れてしまったのである。
最後に残ったG-verⅥもニコラシカに首を掴まれ、ぶらりと宙に吊り上げられていた。
「まずは貴様からだ。このまま首をへし折り、一瞬で楽にしてやろう」
「く、うッ……!」
だが、彼女はまだ諦めていない。首を掴まれながらも腕部の装置を操作していた彼女は、相棒のGチェイサーに真横から体当たりさせていく。
「がは、げほッ……!」
「……まだ諦めんとは、面白い女だ。ならば冥土の土産に、いいものを見せてやろう」
「……!?」
それでも、ニコラシカの体幹は全く揺らいでいない。G-verⅥの抵抗を嘲笑うニコラシカは、敢えて彼女の首から手を離していた。
そして、激しく咳き込む彼女の前でGチェイサーの車体を掴み、右手でベルトのボトル部分に触れていく。すると、彼のベルトから発せられたエネルギーが光となり、右手に集中し始めていた。
「スワリング……ライダーチョォップッ!」
やがて右手に凝縮されたエネルギーが、光り輝く手刀と化した瞬間。垂直に振り下ろされたその刃が、G-verⅥのGチェイサーをバターのように切り裂いてしまう。
その際に発生した爆発により、G-verⅥは激しく吹き飛ばされていくのだった。だが、間近で爆風を浴びたはずのニコラシカは平然としている。
「きゃあぁあーッ!?」
「……はっははは、見たか人間共! これが本当の『力』! 改造人間の真価というものだッ!」
悲鳴を上げて転がっていくG-verⅥを見遣り、ダウンしたまま動けずにいるティガーとパンツァーに視線を移したニコラシカは、やがて高らかに彼女達を嘲笑う。どんなに熱い思いを胸に秘めようが、結局は物理的な「力」だけが全てなのだと。
「さぁ、今度こそ貴様らに確実な死を……!?」
そして、スーツの機能停止により身動きが取れずにいるG-verⅥの方へと歩みを進め、とどめを刺そうとしていた時。
「……この期に及んで、ふざけた真似を」
その頭部に銃弾が命中し、火花が散る。何の変哲もないただの銃弾では、改造人間には全く通じないのだが――水を差された怒りを煽るには、十分な効果であった。
拳銃でニコラシカの気を引いていたのは、遠方から救援に駆け付けていた「新手」の警察官。彼は赤を基調とする通常仕様のマシンGドロンを運転しながら、ニコラシカを銃撃していたのである。
ボンネットに大きく描かれた「G」のイニシャルは、そのスピーディーな挙動に見合う力強さを放っていた。
「3人共、待たせたな! 俺達の『調整』もようやく間に合ったぜ!」
「鳥海巡査長……!」
G-verⅥ達の窮地に現れた鳥海穹哉巡査長は、逞しさに満ちた笑みを彼女達に向けつつ、鋭い眼差しでニコラシカを射抜く。そんな彼の登場に、G-verⅥ達も仮面の下で安堵の表情を浮かべていた。
一方、邪魔立てされたことに静かな怒りを燃やしていたニコラシカの方も、殺意を纏った眼光を彼に向けている。
「……次から次へと。貴様らのような存在ほど苛つくものはない……! 楽に死にたくば、抵抗などしないことだなッ!」
「楽に死ねると思ってるような奴が、警察官になんてなるものかよッ!」
ニコラシカは先ほどの手刀で破壊したGチェイサーの残骸を掴み、凄まじい速さで穹哉目掛けて投げ付けていく。Gドロンを急加速させてそれをかわした穹哉の隣には、もう1台のGチェイサーが並んでいた。
「穹哉さん、変身だ! やっぱりこいつら幹部格なだけあって、話が通じる手合いじゃねぇッ!」
「忠義……! ……そうだな。無傷で逮捕だなんて、甘い考えで戦える相手じゃない。こっちも腹括るしかないってことかッ!」
アメリカの騎馬警官を父に持つ、忠義・ウェルフリット。同僚にして弟分でもある彼の提案に乗り、深く頷いた穹哉は腰の「変身ベルト」を起動させる。
最新技術「シフトカー」の力を発現させるシフトブレスに、プリウスに似た「シフトプリウス」を装填した彼は、ベルトにその力を送信した。
「変身ッ!」
次の瞬間、ハンドルを握ったまま「仮面ライダー」へと変身していく穹哉の全身が、鋭角的な外骨格に覆われていく。
別世界のライダー「ダークドライブ」を想起させるその姿こそが、鳥海穹哉のもう一つの姿――「仮面ライダーケージ」なのだ。
「さぁーて……俺も行きますかァッ!」
それと並行して、Gドロンの隣を疾走している忠義も、Gチェイサーを飛ばしながら己の「変身ベルト」を起動させていた。
一定以上の速度を検知することにより作動する「ジャスティアドライバー」は、すでに変身待機状態に移行していたのである。
「変身ッ!」
ベルト上部の起動スイッチを押し込んだ忠義が、その叫びと共に飛び上がった瞬間。ベルトを基部として展開されていく装甲が、彼の全身を素早く固めていく。
やがて「仮面ライダー」の力を得た彼が、地面に着地した頃には。すでにその身体は、メカニカルな深紅の装甲を纏う騎士の姿となっていた。
全身の各部に騎士鎧のような外装や装飾が取り付けられたその外観は、別世界のライダーである「仮面ライダーアクセル」に近しい。
「忠義、行くぞッ!」
「オッケー、穹哉さんッ!」
忠義が変身しているその戦士――「仮面ライダーオルバス」が、エンジンブレードを握り締めた頃には。変身を終えたケージもGドロンから降り立ち、臨戦態勢を整えていた。
「清音達を随分と痛め付けてくれたらしいな……! 覚悟しろよ、ノバシェードッ!」
「……どんどん余罪ばっかり増やしちゃってまぁ。そんなに長く刑務所に居たいのかい?」
ニコラシカと対峙するケージとオルバスは、各々の得物である拳と剣に、燃え滾るような義憤を宿している。
「……罪、か。改造人間たるこの俺を人間の法で裁こうとは、つくづく愚かな蠅共だ」
そんな彼らを冷ややかに見遣るニコラシカも、殺意を纏う拳をバキバキと鳴らしていた。
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