イベリス
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第四十三話 麦わら帽子その八
「間違っても」
「そうなの」
「そう、女優さんを好きな感じよ」
「そっちなの」
「美人だと同性でも好きでしょ」
「そうなるっていうのね」
「そう、だからね」
それでというのだ。
「同性愛とかじゃなくて」
「憧れ?」
「それよ、憧れる位にね」
「美人だったのね」
「ええ、背も高かったしスタイルもね」
「ボン、キュッ、ボンね」
「文字通りにそうでね」
そこまでのスタイルでというのだ。
「あんな美人いるのかってね」
「驚く位だったのね」
「そうなのよ、憧れる位にね」
咲は自分からこうも言った。
「本当にね」
「そういうことね」
「そうよ、私女の人には興味はないから」
このことはあらためて断った。
「やっぱり好きになるとしたら」
「男の人ね」
「他にいないから」
「それじゃあね」
また別のクラスメイトが言ってきた。
「今度合コンする?」
「合コン?」
「そう、それでね」
「彼氏探すの」
「そこでいい子がいたら」
それならというのだ。
「もうね」
「ゲットね」
「そうしたらいいのよ」
「自分からなの」
「恋愛は待ってるだけじゃ駄目よ」
「自分で動くこと?」
「そう、肉食よ」
その方がいいというのだ。
「そこはね」
「そうなのね」
「そう、だから咲ちゃんもね」
「私もなのね」
「肉食でいって」
「自分から動いて」
「迫って告白して」
そうしてというのだ。
「そのうえでね」
「彼氏ゲットするのね」
「今時はそうよ、女の子の方からよ」
「ううん、私そういうのはね」
これまで恋愛経験なぞなかった、それこそ生まれた歳月イコール彼氏いない歴である。それでこう
言うのだった。
「どうにも」
「駄目?」
「抵抗ある?」
「出来ないの?」
「ええ、そういうのはね」
どうしてもというのだ。
「無理よ」
「じゃあ経験すればいいでしょ」
クラスメイトの一人がこう言ってきた。
「それなら」
「経験?」
「その為にも合コンにもよ」
これにもというのだ。
「出てもね」
「いいの」
「そうしてね」
「経験を積むの」
「合コンも経験積むことなの」
「そうよ、そこで男の子と会ってね」
そうしてというのだ。
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