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イベリス

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第四十二話 完成その一

                第四十二話  完成
 ようやくだった、咲は自分の原稿を見てから母のところに行って話した。
「お母さん、出来たわ」
「描けたの」
「うん」
 母に満面の笑顔で答えた。
「出来たわ」
「おめでとう」
 母は娘の笑顔に笑顔で返した。
「よくやったわね」
「〆切には間に合ったわ」
「そのこともよかったわね」
「というかかなり早く終わったわ」
 〆切よりもというのだ。
「本当にね」
「貴女描くの早いの」
「そうかしら。そういえば」
 ここで咲はふと心当たりがあったのでそれを話した。
「私読書感想文とか作文もね」
「速いのね」
「夏休み朝の九時の書いて十二時には終わってるわ」
「それは速いわね、まあ中には一時間で原稿用紙で十枚書く人もいるそうよ」
「十枚を一時間で」
「そう、一気にね」
「それは凄いわね」
 咲はその話を聞いて素直に驚いた。
「八時間だと八十枚よね」
「そうなるわね」
「そこまで書ける人いるの」
「中にはね」
「そういえばネット小説でも多作な人いるわ」
 また心当たりが出て来た。
「そういえば」
「そうでしょ、そこは人それぞれなのよ」
「速筆な人は凄いのね」
「それで遅い人もいるのよ」
 逆にというのだ。
「中々書けない人もね」
「私は何だかんだで〆切にかなり早く間に合ったけれど」
「調子がよかったのかもね」
「そうかも知れないのね」
「兎に角最後まで描けたことはよかったわね」
「ええ、ほっとしたわ」
 咲はまた笑顔で答えた。
「本当にね」
「そうよね」
「後は予習と復習するわ」
「咲は勉強は欠かさないわね」
「性分でね、やらないといけないことが終わったら」
 それならというのだ。
「もうね」
「安心して勉強も出来るのね」
「そうなったから」
「今度はそっちね」
「そっちを頑張るわ」
 こう答えた。
「そうなるわ」
「そうよね」
「じゃあ今から寝るまで勉強するわね」
「そうしてね。勉強はやっぱりね」
 母として娘にさらに話した。
「やらないよりね」
「やった方がいいわね」
「その方が人生の選択肢も増えるし」
「大学に行けて」
「大学だけが人生じゃないけれど」
 それでもというのだ。
「行って教員免許とか図書館の書士とかね」
「学芸員もあるわね」
「大学によってはお坊さんや神父さんの資格も得られるわよ」
「色々あるのね」
「専門学校行くにも成績がいいとそれに越したことないでしょ」
「そうよね」
「入社試験にも学力が必要だし」
 このこともあってというのだ。
「やっぱりね」
「勉強は出来た方がいいのね」
「その方がね」
「だから私は勉強していいのね」
「少なくともお母さんもお父さんもそう言うわ」
 勉強しないよりした方がいいと、というのだ。 
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