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超絶ブラックな職場

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第二章

「やっぱりこんな残業とか休日出勤とかないですね」
「労働時間の制限だな」
「ええ、それがあるんで」
「そう思うだろ」
 豊島は顔をむっとさせて東出に答えた。
「一見」
「といいますと」
「北朝鮮にそんな話あると思うか」 
 まずはこの国を例えに出した。
「あそこに」
「もうそんな話以前の国ですよね」
「そうだ、労働基準以前だろ」
「どう見てもそうですね」
「あそこもそうでな、スターリンの頃のソ連はどうだ」
「あそこも大概ですね」 
 東出はこちらも知っていて答えた。
「小林多喜二の蟹工船だとソ連では働いている人こうこうとか」
「お前あの作品読んだか」
「大学の時に、中国人が威張る仕草してましたね」
「あの頃丁度スターリンだぞ」
「全然逆ですね」
「残業とか休日出勤とかじゃないぞ」
「死ぬまで働けっていう感じですね」
 東出は暗い顔で述べた。
「食いものもなくて過酷な条件の下で」
「特に軍隊が凄いぞ」
「普通の労働以上ですか」
「全滅必須の場所に突っ込まさせられるしな」 
 そうさせられてというのだ。
「逃げようものなら後ろに機関銃持った部隊がいてな」
「撃たれるんですね」
「負けると士官は処刑だ」
「仕事に失敗したらですね」
「そうなる、いつも戦わさせられてな」
「失敗するとクビどころかですね」
「それだ、今の俺達より遥かに過酷だろ」
 豊島は東出にあらためて問うた。
「そうだろ」
「はい、絶対にいたくないです」
 東出もこう答えた。
「忙しいのは今だけでちゃんと手当や有休出るだけいいですね」
「そうだな、じゃあ今は頑張ってな」
「そうしてですね」
「プロジェクト成功させるぞ」
「それで有休の時に手当てで遊びますか」
「そうするぞ、いいな」
「わかりました」
 東出は豊島の言葉に頷いた、そうして今は仕事に励んだ。プロジェクトは無事に成功し彼も豊島も他の面々も手当てと有休を受け取った。そのうえで忙しかった分楽しんだのだった。


直絶ブラックな職場   完


                  2022・2・22 
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