イベリス
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第四十話 〆切りその六
「千葉も言われることあるけれど」
「あそこもよね」
「千葉市だって政令指定都市よ」
「そうよね」
「関東は政令指定都市が集まってるから」
「東京を中心として」
「それで田舎とかは言えないわ」
とてもというのだ。
「だから都会じゃないと暮らせないっていうお父さんもね」
「結局は頷いたのね」
「そうよ、というかお父さんはちょっと東京に寄り過ぎてるわね」
母は少し考える顔になって述べた。
「どうも」
「極端よね」
「まだ神奈川はいいっていうけれど」
それでもというのだ。
「やっぱり軸はね」
「東京よね」
「それも蜂王子とか町田はね」
こうした場所はというと。
「あまりね」
「意識していないわね」
「確かに東京は大都会だけれど」
このことは事実だがというのだ。
「あんまりにもね」
「東京に寄り過ぎね」
「どう見てもね、好きなのはいいけれど」
「それが過ぎるわね」
「そう思うわ、ただ自然は好きだから」
それはというのだ。
「都会だけとはね」
「ならないのね」
「そうした人よ」
「意外とキャパシティ広いのね」
「そうよ、あれで関西もね」
この地域もというのだ。
「好きよ、九州もね」
「そうなの」
「東京にしか住めないって言っていても」
それでもというのだ。
「それでもね」
「他の地域にも抵抗なくて」
「それでね」
「自然にもなのね」
「親しみあるから」
「そういえば動物園によく連れて行ってもらったわ」
咲はここでこのことを思い出した。
「上野の」
「子供の頃ね」
「テーマパークもだったけれど」
「咲は生きもの好きだしね」
「そのせいか」
「よく家族で行ったわね」
「そうだったわ」
上野動物園のことを思い出しつつ話した。
「いつも楽しかったわ」
「水族館にも行ったわね」
「植物園にもね」
「色々連れて行ってもらったわ」
自然が観られる場所にというのだ。
「そうだったわ」
「お父さんも好きだし」
「自然が」
「子供の頃から上野動物園好きらしいし」
「それで私を連れて行ってもなのね」
「楽しんでいたのよ、あそこは日本で一番生きものが多いし」
数も種類もだ、この動物園はそれだけのものであるのだ。
「お父さんも好きなの」
「今も」
「ええ、東京の名所は」
それこそというのだ。
「お父さん全部行ってるけれどね」
「東京で生まれ育っただけあって」
「その中でもね」
まさにというのだ。
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