ドラゴンボールZ~孫悟空の娘~
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第57話
前書き
ゴクウブラックも相当に強くなってます。
過去でエネルギーを補充し、タイムマシンに乗って並行世界の未来に戻って来た未来トランクス達。
しかし、初めてタイムマシンに乗ったためか乗り物酔いを起こした悟空は顔色が悪い。
「父さん、昔、筋斗雲や車や飛行機に乗っていた時は平気じゃありませんでしたっけ?」
「あれはそんなに揺れねえし、筋斗雲や車は自分で動かすから良いんだよ…やっぱオラは変な動きをする乗り物は弱えみてえだ…」
タイムマシンは次元を渡る都合上、独特な揺れがあり、基本的に車や筋斗雲以外の乗り物には慣れていない悟空ではキツいのだろう。
「さっさと行くぞ…」
「待って下さい父さん、まずは地下の秘密基地にいるビーデルさん達の所に」
先に進もうとするベジータを止めてトランクスがまず、地下の秘密基地で暮らしているビーデル達との合流を求めた。
「ビーデル?悟飯、こっちのおめえの嫁もビーデルなんか?」
「ええ、勿論娘もいますよ」
「そうかー、おめえも父ちゃんなんだな」
「おい!喋ってないで地下の基地とやらに行くぞ!」
未来トランクスと未来悟飯に案内されて未来ビーデル達がいる地下基地に向かった悟空達。
恐らくここは人造人間の時にも利用されていたのだろう、人の手が入った形跡がある。
扉の前に立って未来トランクスがノックする。
「マイ、俺だ…トランクスだ」
「トランクス!良かった無事に戻ってこれたんだね…お前…ブラックッ!?」
未来マイが悟空を認識するとブラックと勘違いして銃を向けた。
「マイ!この人はブラックじゃない!悟空さんだ、悟飯さんの父親でパンちゃんのお祖父さんだ」
「こ、この人が…」
「なあ、ベジータ…あいつどっかで見たことねえか?」
「ああ、トランクスが拾ってきたガキ共の1人だろう。」
「ビーデルさん達は?」
「向こうで休んでるよ、ずっと気を張ってたみたいだったから」
どこか親密な雰囲気に悟空はベジータの腕をつつきながら尋ねる。
「何かあの2人…オラ達の世界の2人より仲良くねえか?」
「当たり前だ、人造人間との闘いで一緒に生き延びていたようだからな。俺達の世界とは違うのは当然だろう」
「あ、紹介します2人共、彼女はマイ。俺の幼なじみみたいな物です」
「幼なじみ…って、ずーっとチビの頃から一緒ってことか?」
「はい、俺が赤ん坊の頃から一緒にいたんです」
この世界のピラフ一味が願いを叶えたのは人造人間との初戦時だ。
当時の未来トランクスが赤ん坊だったので、赤ん坊にまで退行したマイは未来ブルマ達に拾われたらしい。
「へえ、こっちのトランクスは結構最近でおめえ達を拾ったのになあ…」
「拾った?」
「腹を空かせて倒れていた貴様とチビと犬をトランクスが見つけて拾ったんだ」
それを聞いた未来マイは恥ずかしそうに俯いた。
同時に小悪党が抜けていないであろう向こうの自分達らしいと言えばらしいと思えたが。
「酷え物ばかり食ってんだな…」
缶詰の空き缶が積まれており、それだけならまだしもドッグフードなどの動物の餌も開けられていた。
「ビーデル、俺だよ悟飯だ。パン、戻ったよ」
「パパ……ブ、ブラック!?」
未来ビーデルよりも先に起きた未来パンは悟空の姿を見ると表情を険しくしながら構えた。
「パン、この人はブラックじゃない。俺の父さんだ…君のお祖父さんだよ」
「悟空…お祖父ちゃん?」
「そうだ」
未来悟飯の言葉に未来パンは構えを解く。
悟空は未来の孫の姿を改めて見た。
こちらの世界のパンと同じように未来ビーデルに良く似ているが、目の色などは未来悟飯と同じでこの世界の2人の子供なのだと感じさせた。
「そうか…おめえがこの世界のパンなんか、良く生き延びたなぁ!オラは嬉しいぞ!」
過去のパンにしていたように頭を撫でようとすると、未来パンにその手を弾かれた。
「っ…あ、ご、ごめんなさい…」
弾いた直後に自分のしたことに気付いて謝罪される。
弾かれた手を擦りながら悟空は笑った。
「ハハ、気にすることねえよ。オラも悪かった。おめえはオラにそっくりな奴に酷え目に遭わされたんだもんな。でも良く生き延びたなパン」
「お、お祖母ちゃんや曾お祖父ちゃんのおかげ、ブラックが来た時、2人が…」
「そっか…チチが…あいつらしいな。牛魔王のおっちゃんも…」
ブウとの時も悟天を守るためにブウに挑もうとして牛魔王に止められていたらしいので、チチらしいと言えばらしいと思えた。
「安心しろ、オラがブラックを倒してやっからな」
「お願いお祖父ちゃん…ブラックを…殺して…!」
血を吐くような未来パンの声に悟空は目を見開いたが、改めてこの世界の酷さを再認識した。
こっちに来た未来ビーデルも顔色が悪い、一度自分達の世界に連れていった方が良いかもしれない。
「トランクス、悟飯。お前達はタイムマシンにそいつらを乗せておけ、いざという時に俺達のいた世界に連れていけるようにな」
「え…?」
「そんな、俺達も闘います!闘わせて下さい!」
未来トランクスと未来悟飯が抗議するが、ベジータは認めない。
「馬鹿が、もしタイムマシンに何かあったらどうするつもりだ。お前達は自分の守る物を優先しろ」
「そうだな、ビーデルもパンも…後、マイだっけ?そいつらも疲れてるはずだ。まずおめえ達はおめえ達の大事なもんを守れ。いいな?」
悟空からも駄目出しを受けた未来トランクス達は渋々頷いた。
「でも、まずいと思ったら加勢しますよ。良いですね?」
「ああ、じゃあ行ってくる」
未来悟飯の言葉に悟空は頷くと外に飛び出した。
取り敢えず、未来トランクス達からかなり離れた場所を闘いの場に選んだ2人。
「ここならこれ以上街を壊されないで済むぞ」
「そんな簡単な闘いになるとは思えんがな」
すると、強大な気を感じ取り、上を見上げると黒い道着を着た男…ゴクウブラックが空に浮かんでいた。
「貴様らが…何故ここにいるんだ…?」
ブラックは悟空とベジータの出現に動揺を隠せないようだった。
「なるほど、あれは貴様その物だな」
「確かにな…あいつがチチと牛魔王のおっちゃんを殺したんか…」
妻と養父を殺されたことに流石の悟空も怒りを露にする。
「カカロット、俺に先にやらせろ。貴様と同じ顔をした奴を叩きのめせる絶好のチャンスだ」
「良いけどよ…大丈夫なんかおめえ?」
修行前とは言え、潜在能力を解放した未来悟飯ですら相手にならないレベルの相手だ。
「ふん」
しかし、それでもベジータの余裕は変わらない。
「ところでおめえ!オラの体を奪ったザマスって奴!」
「………」
「全部おめえのことは分かってんぞ!ドラゴンボールでオラの体を奪ってこの世界を滅茶苦茶にしたってな!」
ブラックは無言で着地し、悟空とベジータが構える。
「…そんなことまで知っているのか…」
「おめえの体になったオラはどうしたんだ?」
「心配するな、すぐに殺した」
体を奪われた自分は既に殺された。
そのことに悟空は苦い顔をする。
「くそ…じゃあついでにオラの敵討ちもしねえと」
「どうやって来た?この世界のお前達はとっくの昔にいないはずだ」
「そんなことを貴様に教える義理はない」
「トランクスと孫悟飯はどうした…一緒か?」
「俺達は貴様と話し合いに来たんじゃない。貴様をぶっ潰しに来たんだ!はああっ!!」
一気にブラックを叩き潰すために超サイヤ人ゴッドに変身するベジータ。
「超サイヤ人ゴッド…人間の身でありながら神のオーラを纏えるのは褒めてやろう」
「抜かせ、こそ泥が!」
ドラゴンボールで悟空の体を奪ったことはベジータにとっても許し難いことであり、怒りを込めて殴り掛かる。
ブラックはそれを受け流してかわすものの、ベジータは連続で攻撃し、ブラックはギリギリで防いでいく。
「はあっ!!」
最後の蹴りは両腕を交差させ、衝撃に抗うことなくそれを利用して距離を取った。
「丁度良い、貴様らの息子達のおかげで手に入れた力を見せてやろう」
「力だと?」
「はあああああっ!!」
髪が金色に染まり、瞳も碧色に変わるとどんどん気が膨れ上がっていく。
気の上昇と共に逆立っていた金髪も腰にまで伸びる程の長さとなっていく。
「こいつは超サイヤ人3…あの野郎、オラが出来なかった変身を出来ちまうってのか」
「ふん、ただのこそ泥ではないようだな」
神であるザマスが入った影響か、通常状態でも規格外の強さを誇るブラック。
その大きく跳ね上がった戦闘力により変身可能となったのだろう。
超サイヤ人3に変身したことで過去に来る前の未来トランクス達の実力を大きく凌駕していた。
ベジータも超サイヤ人ゴッドのフルパワーとなると、同時に飛び出した。
ブラックの拳をベジータが防ぐのと同時に蹴りを繰り出すが、それをブラックは危なげなくかわすと見覚えのある構えを取る。
「波ーーーーっ!!」
未来悟飯との闘いで覚えたのか、超かめはめ波でベジータを吹き飛ばそうとしたが、ベジータは両腕を突き出した状態で突撃し、ブラックは両腕を交差させて受け止める。
いくらか後退したが、ブラックはダメージは受けていない。
「ふん、ムカつく面だ。ならば笑えないようにしてやる。永遠にな…ビッグバンアターック!!」
不敵な笑みを崩さないブラックにベジータはビッグバンアタックで攻撃を仕掛けるが、ブラックは指を額に当てると消えた。
「何!?」
「ベジータ!瞬間移動だ!」
背後に現れたブラックが手刀に気を纏わせて斬りかかる。
それをベジータは腕で受け止める。
「ほう、防いだか」
「カカロットの瞬間移動まで出来るとはな…!」
「私は神だ。人間に出来ることが私に出来ないはずがない」
「カカロットの顔も含めてムカつく野郎だ!!」
「来い、ベジータ。貴様を糧にして私は更なる進化を遂げる。無様に死んだ孫悟空の息子の孫悟飯のようにな」
「何だと…まさか、貴様がカカロットの体を奪った世界の悟飯のことか!?」
「おめえ!悟飯に何をした!?」
悟空の問いにブラックは嫌味な笑みを浮かべて語り始めた。
「私はこの体を奪った時、孫悟空の力をすぐに使えると思っていたのだが、最初はブルーどころか普通の超サイヤ人にさえなれない状態だった。慣れない体で闘うのは流石に無理があったのでな、練習台になってもらった。しかし、あの弱さには驚いた。嘗ては孫悟空すら超えた男が超サイヤ人への変身も苦しいようだったからな…妻子を目の前で殺されても普通の超サイヤ人止まりだった。まあ、奴との闘いでこの体の使い方がある程度分かったのでそこは感謝しているがな」
「糞野郎が…!」
何の関係もない上に闘えないビーデルもパンも殺した目の前の男はベジータからしても吐き気がする程であった。
「この時代では貴様らの息子が私をここまで高めてくれた…特別に感謝してやってもいいぞ?消去される罪深い愚かな人間にはこれ以上ない褒美だ。」
「消去されるのは貴様だ!」
超サイヤ人ゴッドから超サイヤ人ブルーに変身すると、ブラックは更に笑みを深めた。
「超サイヤ人ブルー…!その変身を待っていた!来い!!」
「くたばれ!」
ベジータの拳をギリギリで防いだブラックは勢い良く吹き飛ばされて瓦礫に叩き付けられる。
そして追撃の蹴りを受けて吹き飛びながらブラックはいくつもの瓦礫に叩き付られた。
「その体はカカロットが永く激しい戦歴で作り上げてきた物だ!貴様には所詮借り物!奴のような純粋な馬鹿にしか使いこなせないサイヤ人の細胞があるんだ!!」
滅多打ちにされながら、組んだ拳を叩き込まれたブラックは地面に叩き付けられた。
「ふん…どれだけ吠えようが、この体は私の物だ。この体を完全に我が物とするために…貴様には踏み台になってもらう…!」
「抜かせ!!」
超サイヤ人3のブラックでも超サイヤ人ブルーのベジータを攻撃を防ぐので精一杯なのか、表情に余裕があまりない。
余裕がないはずなのに意味深な笑みを浮かべているブラックにベジータも悟空も嫌な予感を覚えた。
「ベジータ!何か嫌な予感がすっぞ!早く決めちまえ!!」
「俺に指図をするなカカロット!そんなこと貴様に言われずとも分かっている!!」
ブラックを上空に殴り飛ばしてベジータはとどめを刺すために気を高めた。
「これで貴様もおしまいだ!ファイナルフラーッシュッ!!」
「素晴らしい…!」
目の前に迫る気功波にブラックは狂気の笑みを浮かべながら直撃を受けた。
上空で大爆発が起き、爆煙が発生する。
「父さん!」
「悟飯、トランクス!おめえ達来ちまったんか?」
「ええ、ベジータさん父さんの力は分かっているつもりだけど…ブラックの超サイヤ人が前に闘った時よりも強くなっているんです」
「どういうことだ?」
「前に闘った時はあそこまでとんでもないパワーじゃなかった。最初は普通の超サイヤ人でも闘えた相手で…それから短期間でどんどんパワーを上げていったんです…」
普通の超サイヤ人でも闘えた相手が短期間で未来悟飯と未来トランクスを圧倒するほどの実力となったブラックに驚く。
爆煙が晴れるとボロボロになりつつも生きているブラックの姿があった。
「チッ!しぶとい奴だ!」
「私は正義を為すために更に力を高めねばならん。感謝するぞベジータ。貴様のおかげで私は究極体へと到達した。」
瞬間移動で消えたブラック。
ベジータ達は慌ててブラックの気を探るものの見つからない。
一方、現代では現代のザマスを破壊し終えたビルスと界王神がカプセルコーポレーションに訪れていた。
「界王神様、こっちのザマスは破壊したのに何かあるの?」
「はい、時の指輪で時空を超えて調べて来たのですが、ゴクウブラックには仲間がいるのです」
「仲間?あいつに仲間がいるの?」
神にザマスの思想に賛同する者がいると言うのか?
悟林の問いに界王神が頷いた。
「ええ、未来のザマスです。悟空さんの体を手に入れた後に未来のトランクスさんの世界に移動することで、未来のザマスを仲間にしたのです」
「同じ考えを持つ者同士、最強のコンビですね」
「ふん、自分以外信じられない妄想癖の小物コンビだ。」
ビルスにとってのザマスとは妄想癖持ちの愚か者と言った感じなのだろう。
2人のザマスが未来の世界にいると言うことに悟林は嫌な予感を覚えるのであった。
そして未来の世界でもブラックが再び瞬間移動で姿を現した。
「助かったぞ」
「危ないところだったが、究極体となった感想はどうだ?」
「ふむ…最高だ。更にパワーが上がったぞ」
未来のザマスと共に悟空達の前に。
「それはいい、人間0計画にはお前の高まる戦闘力が必要なのだからな」
「あいつのあの格好…界王神様達の物と似ている…!もしかしてあいつがザマスなのか!?」
「ブラックが父さん達の世界のザマスなら、恐らくあっちは俺達の世界のザマスだな」
未来トランクスと未来悟飯がザマスの正体を言う。
「構わん、雑魚が増えただけだ。まとめて仕留めてやる!」
気を高めるベジータにブラックは余裕の笑みを浮かべる。
「来い、ベジータ。私を高めてくれた礼だ。究極の領域に至った私の力を見せてやろう。ザマス、下がっていろ」
超サイヤ人3のオーラを迸らせながらブラックはベジータに突撃するのであった。
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