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イベリス

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第三十八話 速水の占いはその七

「聞いていい人もいれば」
「駄目な人もいるんですね」
「左様です」
「そうなんですね」
「そこを誤ると」
 速水はさらに話した。
「大変なことになります」
「とんでもない考えに染まりますね」
「日本の知識人の質は最悪です」
 このことを強く言うのだった。
「今お話した通りに」
「学者さんはですか」
「学校の先生も弁護士さんもです」
 彼等もというのだ。
「同じです」
「その人達もですか」
「そして野党の人達も」
「同じですか」
「マスコミの多くも」
「多くないですか?」
 咲はここまで聞いて述べた。
「それって」
「いえ、数自体は多くないです」
 速水はそこは断った。
「決して」
「そうなんですか」
「ですが」
 それでもというのだ。
「影響力のある立場にです」
「そうした人達がいてですか」
「影響力は多いのです」
「そうなんですね」
「満州でソ連軍がしたことはご存知でしょうか」
 速水は咲に顔を曇らせて問うた、それは知っているものを彼女に対してあらためて聞くものであった。
「小山さんは」
「もう酷かったんですよね」
「ソ連軍は酷いものでした」
 その行いはというのだ。
「一般市民でも容赦なく攻撃する」
「そんなものでしたよね」
「ご存知ですね」
「お祖母ちゃんから聞きました」
 咲は怒った様に答えた。
「東京にいたんですが」
「ソ連軍のことはお聞きでしたか」
「何か凄く」
「蛮行の極みでした」
「そうだったんですね」
「ここで言うことも憚れる程の」
 そこまでのというのだ。
「酷いものでした」
「そうだったんですね」
「しかしです」
「それでもですか」
「学者やマスコミ関係者に弁護士に」
「学校の先生はですか」
「そうしたものを覆い隠し」
 事実をというのだ。
「そのソ連等共産主義国家を平和勢力と言っていました」
「平和、ですか」
「はい」
 その通りという返事でした。
「そう言っていました」
「あの、満州でしたことは」
 咲は速水に真顔で尋ねた。
「あと色々革命を起こそうと」
「工作をしていましたね」
「ソ連ってそうですよね」
「左様です」 
 速水そうだと答えた。
「一般市民を巻き添えにしてもです」
「革命を起こしてですね」
「共産主義国家を作ろうとしていました」 
 そうだったというのだ。 
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