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弟は男の娘

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第三章

「絶対にスカウトしているよ」
「そうなんですか」
「だからね」
 それが為にというのだ。
「是非うちで働いてね」
「わかりました」
 こうしてだった。
 小次郎は男の娘のメイドカフェでメイドとして働くことになった、このことは殆ど誰も知らなかった。だが。
 二人だけ知っていてその二人が話した。
「そうか、お店でもか」
「一番人気らしいわ」
 朱夏は兄の政宗に話した、知っているのは彼の兄妹だけだった。両親も知らないことだが兄弟は別だった。
「それもダントツでね」
「あの可愛さじゃそうだな」
「しかも仕草も声もね」
「可愛いってか」
「もう女の子よりもね」
 それこそというのだ。
「美形で女の子らしいって」
「評判でか」
「一番人気らしいわ」 
 店でというのだ。
「そうなっているらしいわ」
「そうか、最近背が伸びてな」
「一七〇位になったわね」
「それでもか」
「背が高いなら高いで」
 それはそれでというのだ。
「人気があるのよ」
「長身女子か」
「それでね」
「そうなんだな、背が高くなっても女の子か」
「そうよ、しかしね」
 朱夏は腕を組んでこうも言った。
「世の中実際にああした子いるのね」
「女の子より奇麗なか」
「男の子がね、いや」
 朱夏は今自分が言った言葉について出した瞬間に考えてそれで訂正した。訂正したその言葉はというと。
「男の娘ね」
「ああ、それだな」
 兄は朱夏の今の言葉に頷いた。
「あいつは」
「もう最高レベルの男の娘よ」
「そうだよな」
「ええ、それならお店で一番人気も」
「当然だな」
「そう思うわ」
 こう兄に話した、そしてこっそり店に二人で変装してこっそりと行って彼の働きぶりを見るとだった。
「凄いな」
「ええ、どっからどう見ても女の子ね」
「他の娘のレベルも高いがな」
「小次郎はダントツね」
「俺でも女の子にしか見えないぞ」
「私もよ」
「まさに美少女だな」
 兄から見てもだった。
「本当に」
「そうよね」
「あれじゃあ店で一番も当然だな」
「接客も完璧だしね」 
 客をご主人様と呼びメイドカフェ特有の接客をする弟を見て話した、まさに彼は完璧な男の娘であった。そして二人は家で店に来ていたことを彼に言われてその時は苦笑いになった。


弟は男の娘   完


                     2022・1・23 
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