外食からお弁当に
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第一章
外食からお弁当に
ある日八塚大輝は妻の吉能、気の強い目で小さな唇とやや丸い感じの顔で黒髪を伸ばし一五七程の背で均整の取れたスタイルの彼女に言われた。
「今日からお昼はお弁当よ」
「あれっ、外で食べるよ」
夫はこう妻に返した、丁度出勤する時だった。
「お昼なら」
「だからもうそれをよ」
「お弁当にするんだ」
「そうよ」
丸眼鏡をかけた穏やかな顔立ちで丸い頭の黒髪をショートにした一七〇位の背の夫に対して言うのだった。
「毎日ね」
「また急だね、家計ないとか?」
「家計の問題じゃないわよ」
妻は夫に即座に答えた。
「あなたの健康よ」
「そっちのことなんだ」
「この前の健康診断で脂肪とコレステロール、血糖値が問題だったでしょ」
「そう言えば結構上がってたかな」
「結構以上にね」
妻はシビアに答えた。
「あなたこのままだと成人病になるわよ」
「危ないかな、僕」
「そうよ、あなた運動もしないし」
夫のこのことも話した。
「お昼はいつもラーメンとか牛丼とかハンバーガーでしょ」
「カツ丼も好きだよ」
「そういう食生活だとよ」
毎日そうならというのだ。
「問題よ、だからね」
「これからはなんだ」
「お弁当にするから。それに身体壊したら」
夫である彼がというのだ。
「私達まだ子供いないのよ、これから子作りだってするのに」
「成人病じゃ難しいね」
「身体壊したね。そもそもね」
妻はここでだった。
夫の腹を右手で指差した、見ればスーツに覆われたその部分は布袋の様である。
「そのお腹で満足に動ける?」
「だからなんだ」
「運動しないなら」
それならというのだ。
「食生活よ」
「それを何とかすべきで」
「だからね」
「今日からお弁当なんだ」
「いいわね、そうするわ」
こう言ってそうしてだった。
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