ハッピークローバー
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第十話 性欲は誰にもその十二
「いいわね」
「わかりました」
かな恵も素直に頷いた。
「食材は何でもですね」
「使えるものはね」
「捨てないで、ですね」
「食べないといけないから」
「八宝菜もですか」
「野菜炒めもカレーもね」
こうした料理でもというのだ。
「何でもよ」
「捨てないで」
「ちゃん食べることが大事なの」
「そうですか」
「まあ八宝菜を八宝菜って名付けた西太后は凄く贅沢な人でね」
「物凄く悪い人でしたね」
かな恵は彼女についてこう述べた。
「そうでしたね」
「そう言われてるわね」
「贅沢三昧で」
「中国の人達を苦しめた」
「残酷とも聞いています」
「残酷だっていうのは実は違うみたいよ」
先生はこのことは違うとした。
「どうもね」
「そうなんですか」
「映画とかで言われているけれど」
それで広まったがというのだ。
「それは創作でね」
「実は違いますか」
「人の手足を切ってお酒が入った窯に入れたとかは」
こうした話はというのだ。
「多分則天武后だから」
「唐の人でしたね」
「その人の話で」
「西太后がやったんじゃないですか」
「確かに贅沢三昧で敵に容赦はしなかったけれど」
このことは事実でもというのだ。
「別にね」
「そんなことはしていないですか」
「そうらしいわ」
「そうなんですね」
「ただ時代遅れの人だっただけみたいよ」
西太后はそうだったというのだ。
「政治についても贅沢についてもね」
「昔の人だったんですか」
「丁度日本だと幕末や明治の頃の人よ」
「じゃあ江戸時代の感覚で」
「二十世紀までやっていったから」
宮中においてだ。
「だからね」
「色々問題があったんですね」
「周りが近代化していて江戸時代のままだとね」
「やっていけないですね」
「そうだったからよ」
「ああ言われているんですね」
「それで変に能力もあったから」
策謀や権力闘争には無類に強かった、少なくとも清の宮中で彼女に勝てる者は当時は存在しなかった。
「ずっと残ってね」
「ああした風にですか」
「言われているみたいよ」
「そうだったんですね」
「言われていることと実際は違う」
先生はこうも言った。
「よくあることよ」
「歴史では」
「世の中ではね」
「言われていることと、ですか」
「実際はね」
その二つはというのだ。
「違うものよ」
「そうですか」
「そしてね」
かな恵にさらに話した。
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