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イベリス

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第三十七話 完成させることの大切さその一

                第三十七話  完成させることの大切さ
 咲は部活で副部長に言われた、今日は彼女からだった。
「小山さん漫画描けるかしら」
「描いたことないです」
 咲は正直に答えた。
「イラストはありますが」
「だったら描いてみたいかしら」
 副部長はあらためてこう尋ねた。
「漫画を」
「あっ、うちの部活同人誌も出してましたね」
「そう、だから小山さんもね」
「漫画描いていいんですね」
「何でも経験でしょ」
「はい、漫画にしても」
 それを描くこともだ、咲は答えた。
「そうですね」
「だからね」
「描いてみることですね」
「小山さんがその気ならね」
「下手ですよ、絶対に」
 咲はここでも正直に答えた。
「描くとしたらはじめてで」
「当たって砕けろよ」
 副部長は微笑んでこの言葉を出した。
「何でも」
「当たってですか」
「何でもやってみる、経験することがね」
「大事ですか」
「そう、だからね」
 それでというのだ。
「漫画もね」
「失敗を恐れずに」
「そうしてね」 
 そのうえでというのだ。
「経験を積むことよ、くよくよ悩む前にやってみる」
「何でもですね」
「漫画に限らずね」
「失敗してもいいんですね」
「失敗も糧になるからね」
「いいんですね」
「そう、うちの部は失敗で笑わないから」
 それはないというのだ。
「だからね」
「やってみることですね」
「そうしてね、いいわね」
「わかりました、じゃあ漫画も」
「描いてね」
「そうしてみます」
「ストーリーでも四コマでもいいわよ」
 漫画の内容はというのだ。
「小山さんが好きなのを描いてね」
「四コマですか」
「四コマは深いわよ」
 副部長は微笑んで話した。
「軽い様でね」
「深いですか」
「起承転結があるから」
「一コマ一コマで」
「それで四コマだから」
「奥が深いんですね」
「もうストーリーの初歩があって」
 副部長は咲にさらに話した。
「全てもね」
「あるんですね」
「あらゆるものがね」
「そうですか」
「だから四コマを描いてもいいわよ」
 こちらをというのだ。
「そしてストーリーもね」
「どれもいいですか」
「ただ納得出来る終わり方よ」
「それは絶対ですか」
「漫画部の倉庫に永井豪先生の漫画あるけれど」
「あの人は有名ですね」
 咲も知っていて応えた。
「終わり方が滅茶苦茶だって」
「作品世界をハルマゲドンみたいに徹底的に壊してね」
 そうしてというのだ。 
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