おっちょこちょいのかよちゃん
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188 大政の槍
前書き
《前回》
行方不明の藤木を奪還する為に捜索を続けるかよ子達藤木救出班はナポレオンという男と遭遇し、交戦する事位になる。かよ子達は迎撃するのだが、ナポレオンの持つ異能の能力の機械を使ってかよ子達を苦しめる。かよ子は己の杖を取られまいと武装の能力で防ごうとするが、ナポレオンの威圧の能力で気を失ってしまう。だが、ナポレオンもかよ子の羽根の結界を破る事ができない。そこに大政が迎撃する!!
気を失ったかよ子はまだ起き上がれずにいた。
「お前は結界の中に入れねえ。その前に俺達でぶっ倒してやるぜ!」
大野が宣告する。
「やれるものならやってみるがよい!」
ナポレオンは剣でまた結界を破ろうとする。
「こんな結界・・・!!」
大政が槍を振るう。
「これでも喰らえ!」
大政から白い光が放たれ、かよ子の羽根の結界を包んだ。
「こ、これは・・・!?」
椎名と関根は大政の行動に驚いた。
「大政の槍は自在に銅や鉄などの作り出せるのだったな・・・」
石松が説明した。
「そんな事が・・・!!」
かよ子の羽根が大政の槍の能力で結界が鋼に包まれる。
「これは何・・・!?」
「これは、大政の能力だ!」
「大政の?」
「大政は己の槍で金属を精製する事ができるのだ」
次郎長が説明した。
「そうか」
「これならナポレオンも苦労するであろう」
ナポレオンは剣を振るうが、大政の出した鋼は硬度が高く、逆に自分の剣が折れてしまった。
「な・・・!!」
「大政、やるな!」
「おう!」
ナポレオンは下方を確認する。
「あの者の仕業か・・・!」
ナポレオンは馬を降下し、大政に襲いかかる。
「貴様の剣は折れた、どう抗うという!?」
「機械を壊させて貰うぞ!」
関根が忠次の刀を振る。しかし、効かなかった。
「こやつ、機械を複数持っとるな!」
「え!?」
のり子は自分の人形を使って探知した。
「キャロライン!」
「うん!」
キャロラインが機械の数を確認する。
「・・・この人、機械を六つ持ってるわ!」
「六つも!?」
「これでは手強すぎる!山田かよ子も気絶するわけだ!」
「この!」
関東の綱五郎が銃を発砲する。しかし、ナポレオンにあっけなく防がれた。次郎長のまた子分の一人、法印大五郎も錫杖を使用して結界を張る。しかし、ナポレオンの機械の威圧の能力が働き、あっけなく破られた。
「為す術がない・・・、か!!」
「余に不可能な事はないのだ!纏めて殺す!歩兵達よ!」
ナポレオンが歩兵に殺害指令を出した。
「な!!」
「くう!!」
大政がもう一度槍を振るう。鋼鉄が無数に出現し、ナポレオンの歩兵達を返り討ちにした。
「歩兵達には機械を仕込んでおらんのだな!」
「ああ、私だけで十分だ!」
「それで、貴様は武装の能力を持て余しておるぞ!それで歩兵達も守れたはずだ!」
「構わぬ!自分が勝てる為なら捨て駒も厭わん!」
「腐った奴め!」
大政はもう一度無数の鋼鉄の槍を飛ばした。そしてナポレオンにも飛ばす。
(力づくでも・・・!!)
しかし、ナポレオンに弾き返される。その槍が石松達の所へ逆戻りしていく。
「撥ね返されたぞ!」
「く!」
のり子の人形の念力、関根の刀の振りによる粉砕により、石松達の攻撃は回避された。しかし、依然と劣勢のままである。
次郎長は大政の鋼の包を刀で消した所で状況を確認する。
「な、我々が劣勢とな!」
次郎長は子分達が苦戦している事に何とかしなければと考える。
「山田かよ子、起きよ!」
しかし、かよ子は気絶したままだった。
「なら!」
大野はポケットから雷の石を使用する。電気ショックでかよ子を起こした。
「うわっ!わ、私、どうしてたの・・・!?」
「山田、起きたか!今大変な事になってんだ!」
「大変な事!?」
「下を見よ!」
かよ子は羽根の下を確認する。のり子や次郎長の子分たちがナポレオンの軍勢に苦戦していた。
「か、加勢しないと!」
「山田かよ子、拙者の刀を利用せよ!」
「うん!」
かよ子は次郎長の刀に杖を向け、杖を剣に変化させた。そして羽根を地上へと急降下させた。
「ナポレオン!絶対に倒すよ!」
「かよちゃん、気を付けて!この男、機械を六つ持ってるわ!」
キャロラインが伝達した。
「六つ・・・!」
「そうだ、貴様の行動は無駄な抵抗に過ぎん!」
かよ子は足が震える。剣に変化した杖でこの革命家の首を斬る事ができるのか。機械を狙おうにも機械同士が護り合って跳ね返されるだけである。
「だからって、杖を簡単に渡すおっちょこちょいなんかしないよ!」
「オイラ達も手伝うブー!」
ブー太郎達も加勢する。
「よし!行くぞ!」
ブー太郎の水の激流、大野の石の能力による大木の殴り攻撃、そして雷の石の放電、まる子の石の火炎放射、四つの力の石が纏めてナポレオンに襲いかかる。しかし、それでも容易く防がれた。
「跳ね返してその結界を壊してくれる!」
ナポレオンは四つの石の攻撃を反射して結界を強引にでも破るつもりだった。それでも羽根の結界は強固で破れなかった。そしてそれだけではない。
「破れん・・・!何!?」
ナポレオンは目を丸くして驚いた。羽根の上に杖の所有者の姿が見えないのだ。
「私はここだよ!」
「な!」
かよ子は大野達の攻撃の隙にナポレオンの背後に周り込んでいた。
「えい!」
かよ子は機械を破壊できる可能性が著しく低いと解ってはいても、それでも僅かな可能性を信じて剣をナポレオンに突き刺したり、斬りつけたりした。そして壊れる音が聞こえた。
「貴様・・・!!」
「四つ、壊したよ!あと二つ壊されたら何もできないよ!」
「貴様・・・!!殺す!」
ナポレオンはかよ子に怒りの形相を向けた。
「くう!」
大政は槍をまた振るった。青銅の巨大な楯がかよ子の前に現れた。更に後ろから小政や石松、関根が襲い掛かる。
「貴様の剣は壊れている!あとはその機械を頼るのみだ!」
「だが、その機械もまだあと二つあるのだよ!愚か者共!」
ナポレオンは更に言葉を続ける。
「それに私の武器は剣だけではないぞ!」
ナポレオンは懐からバラを取り出した。
「このバラが何を意味するか解るか?」
「薔薇、だと・・・!?」
ナポレオンの薔薇の香りが広がる。
「な・・・!!」
石松達は幻覚を見せられた。懐かしき駿河の街の風景が石松に見える。椎名には己が管轄している横浜の街が、関根には前橋の街が、そしてのり子には祖母が嘗て経営していた小鳥屋の中に見えた。しかし、結界の中にいる者達や、防御特化の武装の能力が働いているかよ子には通じなかった。
「ここが、我々がいた駿河の地!懐かしい・・・」
石松は幻影に浸る。
「まずいぞ!皆惑わされておる!さくらももこ、お主の炎の石でナポレオンの薔薇を燃やせ!」
「う、うん!!」
まる子は炎の石の能力で薔薇を燃やそうと試みた。しかし、ナポレオンの武装の能力の防御が働いて撥ね返されてしまう。その間に騎馬兵や歩兵が迫る。
「奴らが幻に浮かれている間に殺せ!」
「な!」
「山田かよ子!大政の槍の能力を得られるか?」
「大政の槍?」
かよ子は杖の使い方の一節を思い出した。
【槍などに杖を向けた場合、杖を変化させたり、そのまま無数の槍を飛ばす能力を得る事ができる】
「うん!」
かよ子は剣となっている杖の変化を解き、大政の槍に杖を向けた。杖が槍に変化する。
「拙者も援護する!」
次郎長が刀を振るう。そしてかよ子が槍でナポレオンのバラに向けて振るう。無数の金属の槍で攻撃した。
「剣も槍も効かんのが解らんか!」
しかし、ナポレオンの武装の能力の防御が破られた。
「何!?」
「拙者の刀はお主の機械を狙う為に振るった。今、貴様の機械は一時的にではあるが無力化されておる!」
「くう!」
「行くよ!」
かよ子はナポレオンのバラを槍で粉々にした。
「・・・はっ!」
「俺達は一体・・・!?」
惑わされていた者達は幻影の縛りから解放された。
「あとはこれでとどめだよ!」
かよ子は槍の攻撃をナポレオンに向ける。
「それはどうかな?」
ナポレオンはまた別の花を取り出した。
「この娘、斬るぞ!」
「おう!」
「・・・え?」
かよ子は振り向いた。石松達子分がかよ子に襲い掛かる。椎名や関根、そしてのり子も同様に攻撃して来る。
「杖を寄こせ!!」
「え・・・!?どういう事!?」
後書き
次回は・・・
「ダリアは裏切りの花」
椎名、関根、のり子や石松達がかよ子達を急に襲撃する。これはナポレオンの能力によるものなのか。そして彼らの洗脳を解く方法が見つけられないかよ子に起死回生の策はあるのか・・・!?
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