おっちょこちょいのかよちゃん
しおりを利用するにはログインしてください。会員登録がまだの場合はこちらから。
ページ下へ移動
187 人食い鬼、ナポレオン
前書き
《前回》
さりの持つ護符を奪取しに来た丸岡を本部へと護送するフローレンスだったが、同じ頃ある少年の力を借りて復活した戦争主義の世界の長・レーニンが復活。レーニンはテレパシーを利用して丸岡に捕虜とされている赤軍の政治委員・足立正生と吉村和江の奪還を命じる。そして丸岡の認識術で足立と吉村の奪還を許してしまう事になり、フローレンスは己のしくじりを悔いる。テレパシーで話しかけるレーニンにフローレンスは問答するのだが、杉山がレーニンの協力者となった事を知る!!
オリジナルキャラ紹介・その16
青葉政美 (あおば まさみ)
仙台に住む女子高生。初登場112話。男勝りの気の強い性格をしている。武装の能力を所有する。超能力、飛行、索敵、体の一部の武器化、怪力、火炎放射、生物・無機物問わずの変身、水中移動、高速移動の九つの能力を使用可能なマフラーを用いて戦う。本作では三河口ら剣奪還班として行動中。好きな食べ物はおかかのおむすび、カステラ。
フローレンスは赤軍の政治委員を取り返された己の失態を悔やんでいた。
(な・・・、あの子が、裏切り者、に・・・)
それだけではなかった。一人の少年が敵側に寝返ったという事実を受け入れられずにいた。そして各々の動向を確認する部屋に戻った。
「フローレンス、赤軍の人間が攻めてきたって聞いたが」
イマヌエルが確認する。
「はい、丸岡修によって足立正生と吉村和江を取り返されました。失態を犯してしまい、申し訳ございません」
「ああ、そう思ったよ。なにしろ二人の気配が消えたからね」
フローレンスはもう一つの事が気になった。敵の世界の長が遠隔で丸岡を援護していたと共にそのレーニンが動く為の核としているのが一人の少年と言う事だった。
(安藤りえちゃん達が杉山さとし君の捜索をしていますとなりますと伝えませんといけません・・・。しかし、それともう一つ・・・。剣を取り返します者達にもこの事実を伝えませんと・・・)
こちら藤木救出班。かよ子達は先に進んでいる。
「しかし、赤軍の者をひっ捕らえたとなると向こうも痛手を負うだろう」
次郎長は分析する。
「うん。それならきっと敵も倒しやすくなるはずだよね・・・」
かよ子はもう一つ、あの男子の事を思い出す。
(杉山君・・・。藤木君を取り返したら、今度は杉山君を連れて帰るよ・・・!!りえちゃん達の手助けしないと・・・!!)
一群の騎馬隊が追う。
「足止めをして、杖を奪うぞ」
「はい!」
(妻よ・・・。その杖を共に見せてやろう・・・)
その男は革命を起こした男であると共に、殺戮を繰り返し、帝王と化した暴君であった・・・。
かよ子は周囲を見渡す。平野が広がっていた。
「ここは何もないけど、いったいどんなところなの?」
「聞いた話では、ここに住んでいた者は祭りなどをして遊んでいたようだ。だが、その者達も敵の侵攻で一人残らず虐殺されてしまったとの事だ」
大政が説明した。
「そんな、ひどい・・・!!」
「あたしもここに住んでいる豚とか鳥とかを貰った事があったよ。あん時は豚カツとか焼き鳥とか作ったなあ」
「お蝶の料理は美味いからな。お主らにも食わせてやりたいくらいだ」
「おお!楽しみじゃ!」
「また遊びに行きたいねえ」
「まるちゃん、私達は遊びに来たんじゃないんだよ」
かよ子は忠告した。
「う・・・」
「おい、また何か攻めて来る気配がするぜ!」
大野が不安げになった。
「なぬ!?」
関根が指を差す。
「あそこだ!!」
それは騎馬隊だった。
「いたな!やるぞ!!」
騎馬隊が攻めて来る。矢と投石が羽根に乗るかよ子達を襲う。
「う!!」
羽根の結界が働いた。
「纏まるとまずいな。一部の者、羽根から降りるぞ!」
次郎長が促した。
「うん!」
のり子の人形・キャロラインが一部の人間を瞬間移動させる。かよ子やブー太郎、大野などは羽根の上に残ったが、石松や椎名、関根などは別の場所に移動し、二手に分かれた。かよ子は花火をリュックから取り出し、爆薬を操る能力を得る。
「いけっ!」
かよ子が火薬を飛ばす。軍隊の一部に命中した。
「ふ、そんなものが怖いと思うか!」
「・・・え?」
軍は傷一つも負っていない。機械から武装の能力が働いているとかよ子は感づいた。
「あの者は・・・、ナポレオンだな!」
羽根に乗っている次郎長が解説した。
「ほう、ナポリタンか!美味しそうな名前じゃな」
友蔵が聞き間違いをした。
「ナポレオン!嘗てはフランスで革命を起こした英雄だが、無理に領土拡大を行い、その為に殺戮や自分の軍の犠牲すらも顧みなかった事から人喰い鬼と罵る者もおる」
「ひ、人喰い鬼・・・!?」
かよ子は顔が真っ青になった。
「山田かよ子!オロオロしておる場合ではない!お主は絶対に結界から出るな!」
「うん!私の杖が狙いなんだよね!?」
「いかにも」
喋っている間にもナポレオンの軍勢は攻撃を続けてくる。地面に降りた石松や大政が迎撃に出る。
「ナポレオン!何処だ!?」
「邪魔者をまずは片付けるとするか」
ナポレオンはまず石松達を始末しようとした。
「のり子ちゃん!」
「うん!」
のり子とキャロラインが合体する。飛んでくる矢を超能力で跳ね返す。しかし、合体に限界を感じた。
「う・・・、これは?」
急に合体が解かれた。
「まずいな、威圧の能力を出されたか!」
石松はこれでも劣勢と感じていた。石松は右目の眼帯を外す。
「貴様らは領土を次々を奪ってくれた。崇徳院の怨霊によって呪われよ!」
「石松、右目を使ったか!」
次郎長は石松を心配した。
「ち!俺達もグズグズしてる暇はねえな!」
大野が草の石を、ブー太郎が水の石を出す。茨が鞭や槍となってナポレオンの軍勢を薙ぎ払おうとブー太郎が大きい渦潮を作り出して溺れさせようとした。しかし、依然、彼らは異能の能力を使用できる機械を所持している為、効果がない。しかし・・・。
「う、うごっ!?」
一部の兵が抹殺された。機械に不具合が起きたようだった。
「今が好機かもしれぬ。山田かよ子、お主の杖も使え!」
「うん!」
その時、大野が持っているもう一つの石、雷の石(元々は杉山の物だったが)が光、雷が現れた。
(そうだ、あれで雷を使う能力を出せば・・・!)
かよ子は雷の石に杖を向け、雷を操る能力を得た。
「いけえ!」
かよ子の杖から雷が放電される。
「ぐあああ!!」
多くのナポレオンの兵が黒焦げにされて消滅した。
「な・・・、杖の能力、あれが・・・!!」
ナポレオンは自身の持つ機械に宿す見聞の能力でそれが杖による雷撃と見切った。
「あの小娘か・・・!子供とて容赦はせん!」
ナポレオンの馬が跳んだ。それも馬にしては尋常ではないほど。
「え、ええ!?」
かよ子は驚いた。
「な・・・」
「早く、あの子達を守らねば!}
椎名が促す。
「おうよ!」
関根が忠治の刀を振るう。ナポレオンを吹き飛ばそうとした。しかし、彼の武装の能力が働いたのか、効果がなかった。ナポレオンがかよ子の乗る羽根に近づいてくる。
「あ・・・、で、でも、この羽根の結果で守られるはず!」
「杖を寄こして死ね!」
ナポレオンの威圧の能力が働く。防御に特化した武装の能力を持つかよ子はそれで羽根の結界と合わせて防ごうと試みた。
「あ・・・」
かよ子の意識が遠のく。
「山田かよ子!」
次郎長が呼ぶ。しかし、かよ子は起き上がれなかった。ナポレオンが剣を振りかざす。しかし、ナポレオンの剣をもってしても羽根の結界は破れなかった。能力は通じても羽根の結界は剣には無力だった。
「これでは山田かよ子が危ない!」
「よし、俺の槍を喰らわせてやる!」
大政が槍を出現させた。
「でえーい!」
大政が槍を大きく振るった。
「一体、何が起こるんだ!?」
椎名達には大政がこれから何を行うのか分からなかった。
後書き
次回は・・・
「大政の槍」
かよ子の杖を奪おうと、結界に弾かれながらも喰らいつくナポレオン。彼女の防御に加勢しようと次郎長の子分の一人、大政が振るった槍はナポレオンにどう通用するのか・・・!?
ページ上へ戻る