八条学園騒動記
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第六百四十六話 最後はカレーその五
「そう思われるのよ」
「変態って」
「だからヒトラーみたいだと」
酒を飲まなかったことで知られている彼はというと。
「目立つのよ」
「そうなるのね」
「まああの人そうでなくてもね」
酒を飲まないことだけでなくというのだ。
「そうしたことでは目立ったわね」
「あのチョビ髭と怖い目?」
「いや、煙草吸わなかったから」
このこともあってというのだ。
「大人の男の人は皆吸ってたでしょ」
「ああ、あの頃はね」
ローリーも言われて頷いた。
「そうだったわね」
「今は少ないけれどね」
「紙煙草だけでなくてパイプに葉巻に」
「嗅ぎ煙草や噛み煙草もあったでしょ」
「昔はね」
「けれどあの人煙草吸わなくて」
大の嫌煙家であったという。
「そのこともね」
「目立ったのね」
「あの頃の会議ってワインが出て」
喉を潤す為にである、ジュースの様なものだったのだ。
「それで皆煙草吸って」
「そのうえで会議していたのね」
「特に軍人さんだとね」
「それでヒトラーだけはなのね」
「紅茶が好きだったそうで」
それでよくティーパーティーも開いていたという。
「煙草も吸わなかったから」
「目立ったのね」
「もう特異な位よ」
そこまでだったというのだ。
「目立ったそうよ」
「それは意外ね」
「ヒトラーですか」
ベッキーがここで言ってきた。
「あの人はマウリアでは特に」
「嫌われてないの」
「はい、インドに好意的でしたし」
こうローリーに答えた。
「同じアーリア人ということで」
「ああ、マウリア人って」
ローリーは言われて気付いた。
「実は白人だったわね」
「そうです、骨格を見ればです」
「それでわかるのよね」
「古代にインドに入り」
そのアーリア人達がだ。
「定住したものでドイツ人とはです」
「人種的には同じね」
「そのことがあったので」
だからだというのだ。
「ヒトラーはインドに好意的でまたインドとヒトラーはそれ以外接点がなくその生活も真面目だったので」
「真面目は真面目ね」
ローリーもヒトラーのそのことは認めた。
「ヒトラーは」
「禁欲的でした」
「そのことも評価されて」
「能力もです」
こちらもというのだ。
「敗れはしましたが」
「総合的に見て」
「人種差別主義者でしたが」
このことは事実でもというのだ。
「マウリアではそうした理由からです」
「ヒトラーの評価高いのね」
「はい、若しマウリアに生まれていれば」
二十世紀のインドにというのだ。
「何もないところからああして国家の頂点に立っています」
「そのことは事実なのよね」
ローリーも他の面々が見てもだ、一介の伍長あがりの青年が小さな政党に入っただけであったのだ。
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