八条学園騒動記
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第六百四十六話 最後はカレーその四
「その場合は」
「ええ、だからね」
「メタノールは飲まないのね」
「それでも時々悪質な業者が色々ケチって」
「メタノール飲ませるの」
「極端に安くね」
「じゃあ安いお酒は飲むな」
「ロシアじゃそう言われてるのよ」
この時代ではそうだというのだ。
「安い酒には裏がある」
「そう言われているのね」
「それでね」
そうしてというのだ。
「皆ね」
「そうしたお酒は飲まないのね」
「そうなの」
実際にというのだ。
「そうしてるのよ」
「成程ね」
「まあ馬鹿な人は飲んで」
その安い酒をというのだ。
「大変なことになるけれど」
「その言葉を無視して」
「飲めればいいってことで」
こうした考えでというのだ。
「飲んでね」
「下手したら死ぬでしょ」
「そうした人出るのよ」
「実際に」
「そうなのよ」
「色々凄いわね」
カトリはここまで聞いてしみじみと思った。
「まさにロシアって感じね」
「そうでしょ」
アンネットも否定しなかった。
「こうしたことは」
「ロシアイコールお酒でね」
「お酒がないとね」
どうしてもというのだ。
「皆動かないから、いや」
「動けないのよね」
こう言ってきたのはローリーだった。
「そうよね」
「そうなの、寒くなくても」
「お酒がガソリンになってるのね」
「特にアーチストの人がそうで」
それでというのだ。
「もうこの人達は他の人達よりもね」
「飲んでるのね」
「朝から飲むのがロシアだけれど」
「その人達は量が多いのね」
「おおむねね、まあ飲まないロシア人もね」
「いるのね」
「いるわよ、ごく稀に」
こうローリーに話した。
「いて稀少種って言われるの」
「お酒飲まないだけでなの」
「だってお酒がガソリンよ」
ロシアではそうだからだというのだ。
「それを飲まないで動けるなんてね」
「稀少種なのね」
「電気自動車だと電気がなくて動ける」
「そうしたことになるから」
「稀少種よ」
まさにそれだというのだ。
「悪く言えば変態よ」
「変態って」
アンネットのその言葉にローリーは引いた顔になった、カレーを食べる手がそのせいで一瞬だが遅れた。
「それはまた」
「言い過ぎだって思う?」
「流石にね」
「けれど皆が飲むから」
それでというのだ。
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