ツバサ -DECADE CHRoNiCLE《ディケイドクロニクル》-
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第13話:迫るキョウジン
前書き
サクラが出会うは儚き春。
黒鋼は鍛えるは音撃の道。
小狼達が求めるは仮面の戦士を書いた人。
とあるマンションの一室。
高級マンションという触れ込みが売りだったその部屋は当初の優雅さも見る影もなく、置いてあった家具は破壊されていた。
その犯人というべき存在は手に持った得物を家主だった男へ向けながら迫っていた。
「…とっとと教えてもらおうか。仮面ライダーブレイドの居場所」
「し、知らないよ!僕はただのサイエンスライターなんだってば!」
目の前にいるライダーに怯えながら後ずさるのは一人の男……名前を『白井虎太郎』。
かつて仮面ライダーブレイドと不死の生命体・アンデットとの戦いを陰ながらサポートした男。
虎太郎は両手に持つカバンを盾にして、目の前にいる【犯人】へ向けて会話を続ける。
「だ、大体ね!僕だって彼が今どこにいるか知らないんだ!」
「はっ、本当なのかどうなのかはともかく、お前さん、仲間を売る人間じゃないだろ?」
「ひっ!?」
得物を突き付けられて悲鳴を上げる虎太郎。
先程部屋にあった家具を紙切れを破るようにぶち壊した光景を目にしているため、その切れ味の良さは分かっている。
苦無にも小刀にも似たその得物はあと数センチ、下手をすれば虎太郎の首に当たりかねない。
「お喋りを続けている暇はないんだ。これ以上続けたいってならば……」
「ひ、ひぃぃぃい!!」
壁まで追い詰められ、逃げ場はない。
もはやここまでなのか、そう思われた瞬間……部屋に備え付けられていたインターホンが鳴った。
犯人は舌打ちをしながら、虎太郎に促す。
「おい、見てこい」
「えぇ!?僕が!」
「お前以外に誰がいる」
「わ、わかったよ……」
虎太郎は渋々部屋に備え付けられた小型モニターの所まで行き、玄関の様子を伺う。
玄関に備え付けられたカメラが様子を伺い、訪ねてきた人物を映し出す。
そこに写っていたのは、見知らぬ青年……小野寺ユウスケの姿だった。
ユウスケは通話が繋がったのを知ると、インターホン越しに話しかけてくる。
『あのー、すいません。ここが白井虎太郎さんのお宅でよろしいでしょうか』
「そうですが、あなたは?」
『あ、俺小野寺ユウスケって言うんですがちょっとお話伺いたくて。あ、読みましたよ!仮面ライダーという名の仮面!この本についても伺いたいことがあって!』
モニター越しに笑顔で話してくるユウスケ。
本来ならば喜んで受け入れるのだが、今現在をもって命を狙われている身。
下手な動きをすれば、こちらが死にかねない……現に、得物の刃を突き付けて犯人は虎太郎に命令する。
「断れ、さもなくばお前の首は床に転がるだろう」
「わ、わかってるよ……悪いけど、今取り込み中なんだ!帰ってくれ!」
『そこをなんとか、お話だけでも!』
ユウスケが必死に食らいついて話をうち明かそうとするも、犯人の手によってモニターの会話を打ち切られる。
虎太郎へ刃を向けたまま、犯人は言い放つ。
「話を長引かれても面倒だ……時間も惜しい、お前をネオライダー本部へ連行する」
「ね、ネオライダー本部だって!?なんでそんなところに!?」
「時間は惜しい、と言ったところだぞ。お前は付いてくればいいんだよ」
そう言いながら同行を拒む虎太郎の首根っこを摑まえて、この場から連れて行こうとする犯人。
このまま連れていかれれば、何されたもんじゃない……そう思った虎太郎は助けを呼ぶ。
「助けて!助けてぇ!」
「……どうやら、死にたいようだなぁ!」
先程からイラついた犯人の凶刃が振り下ろされ、虎太郎へと迫る。
その時だった、つんざくような耳鳴り音が聞こえてきたのは。
それと同時に、床に散乱していた"ミルク姫"と書かれた空き瓶のガラスから何者かが飛び出してきた。
「はぁ!」
「なんだと!?ぐっ!」
襲撃者の振るった一閃を避け、距離を話す犯人。
虎太郎の前に立ったのは、一人の仮面の騎士。
蝙蝠の意匠を持つ、一本の剣を携えた紺色の仮面ライダー……姿形は異なれど、その姿には自分の知るライダーと何処か同じ面影があった。
虎太郎は思わず叫ぶ。
「仮面ライダー!!」
「大丈夫ですか、白井虎太郎さん」
紺色の仮面ライダー……小狼が変身した仮面ライダーナイトは、虎太郎に気をかけながら目の前にいる犯人に向けてダークバイザーを構える。
対して犯人は、得物を向けながらナイトに問いかける。
「お前、何故気づいたんだ?俺がいることに」
「最初におかしいと思ったのは、ダークウィングが様子がおかしかった所からだ」
ナイトが語るには、虎太郎の住むマンションへたどり着く直前のこと……。
ダークウィングが鏡越しに『何かがいる』と警戒をかけてきたのだ。
最初は一体なんだとは思ったものの、小狼は何かいると感じ取り、他の二人に提案をする。
自分が変身して鏡の世界に入り、先に偵察をして中の様子を確かめてくる事だ。
そして変身して鏡の中経由で部屋の中を確かめた所、虎太郎が絶体絶命の状況に陥っていた。
ユウスケ達にそのことを伝え、今に至るのであった……。
「まさか、ネオライダーが虎太郎さんを狙っていたとは」
「そうか、お前がディケイドの仲間か。変なところで会ったものだ」
そう言いながら犯人は、得物を構えてナイトへその姿を現す。
カブトムシの角を模した肩アーマーとブロンズの装甲、ケンタウルスオオカブトを模した仮面と緑の複眼を持った仮面ライダー……『仮面ライダーケタロス』。
ネオライダーと名乗ったライダーは虎太郎を狙っている……理由はどうであれ、彼を渡すわけにはいかない。
「悪いがこの人にはおれ達も用がある。渡すわけにはいかない」
「都合がいい、お前ら揃ってぶっ飛ばすか」
ケタロスは4基の射出砲分ついた武器を取り出し、それをナイトと虎太郎達へ向ける。
その武器…ゼクトマイザーのスイッチ部分を押すと、四つの射出砲から虫型の手榴弾・マイザーボマーが放たれる。
マイザーボマーはナイトと虎太郎の周囲を取り囲み、旋回をしていく。
「うわぁぁぁぁ!?なんだこれ!?」
「まずい……虎太郎さん、おれから離れないでください!」
【GUARD-VENT】
何か嫌な予感を感じ取ったナイトは、虎太郎に近寄りながらカードデッキを引き抜き、ダークバイザーに装填する。
ダークウイングが変化したマント・ウイングウォールを装着すると、虎太郎ごと自身の体を包み込み、そのままの状態で部屋の窓ガラスを突き破る。
―――その瞬間、マイザーボマーが爆発。部屋全体を爆炎へと包み込んだ。
―――――
同時刻。
虎太郎が住んでいるマンションの近くにある道路、そこで走りゆく二台のバイク。
突如起きた大きな爆発を視界に入れると、先に先導していた赤いバイクの持ち主が、後方にいる緑を基調としたバイクの持ち主に話しかける。
「虎太郎の身に何かあったようだ、急ぐぞ!」
「はい!」
かつて共に戦った仲間である虎太郎のピンチを見過ごしては置けない……。
二人はバイクの速度を速め、いち早く現場へ向かうため走らせた。
―――――
燃え上がる高級マンションの一室。
虎太郎の部屋に当たる窓ガラスが砕け散り、その中からウィングウォールに守られながらナイトが虎太郎を連れながら現れる。
爆炎から逃れた二人は地面に着地すると、安否を確認する。
「大丈夫ですか」
「うん、大丈夫……って、ああ!?俺の家が……!」
ナイトに答える途中で悲惨になった自分の家を見ながら、ショックを受ける虎太郎。
自分の稼いだ金で買ってようやく手に入れた自由……それがいとも簡単に燃やし尽くされた。
これで何ともない人間なんていないだろう……。
そこへ現れるは、先に脱出していたケタロス。
ケタロスは自分の得物であるクナイ型武器・ゼクトクナイガンを構えて、ナイト達に迫る。
「ネオライダーの所属しない貴様に俺自ら処罰をしてやる!」
「―――おっと、その判決は異議申し立てる……なんてねー」
ケタロスに襲い掛かる、赤い一閃。
虎太郎が声のした方向へ見ると、そこには既に変身したサガとクウガ・マイティフォームの姿があった。
二人はナイトのところへ駆け寄り、共に並び立ってケタロスと対峙する。
「悪い、待たせた!」
「まさか爆発するなんてねぇ。それは予想外だよね」
「ユウスケさん!ファイさん!」
「おいおい、三人に増えた所で有利……なんて思ってるんじゃないだろうな?お前ら!」
ケタロスが右腕を上げると、それが合図かのように二体の怪人が彼の傍へ現れる。
一体は右腕にアームガンを取り付けた銀色の怪人、もう一体は毒々しい棘を生やした髑髏の顔を持つ紫色の怪人。
二体の怪人はうなり声を上げながら三人へ襲い掛かる。
『『ぐがあああああ!!』』
「なんだ、こいつら!」
クウガは襲い掛かってきた銀色の怪人に殴り掛かる。
だがそれらを意図も解せず、左腕につけられた電撃棒を振り回し、クウガに直撃させる。
「ぐあぁ!?」
「ユウスケさん!」
殴り飛ばされるクウガへナイトが叫ぶも、立ちふさがる紫色の怪人が立ちふさがって助けに行けない。
紫色の怪人は右腕に取り付けられた一本の棘をナイトへ伸ばす。
ナイトは咄嗟にダークバイザーで受け止め、近くの木へそれを逸らした。
棘が刺さった木は、見る見るうちに腐っていき、ついには枯れ果て倒木していった。
「まさか、毒があるのか!?」
ナイトは腐れおちた木を見て紫色の怪人の能力の一部を理解し、迂闊に近づけないと悟る。
そこへ、サガが振るったジャコーダービュートが紫色の怪人の右腕にからみつく。
「小狼君、いまだよ!」
「ファイさん、ありがとうございます!」
サガのサポートもあってか、ナイトはダークバイザーで紫色の怪人を斬りつけていく。
火花を散らしながらダメージを追っていく紫色の怪人……だがそこへ、ケタロスが間に割って入ってくる。
「おーっと、そこまでにしとけよボーイ!」
ケタロスはゼクトクナイガン・クナイモードでジャコーダービュートを断ち切って拘束を解き、次にナイトへ切りかかっていく。
サガが援護へ入ろうとするも、紫色の怪人が杖状の武器を持って襲い掛かってくる。
『ぐぉおおおおお!!』
「くっ!」
サガはジャコーダーロッドに切り替えて、紫色の怪人を応戦していく。
その隣では銀色の怪人が右腕のアームガンがから繰り出す射撃を、クウガが避けていた。
「あぶない…!あの射撃をなんとかしないと……」
格闘主体の赤のクウガでは不利だと判断したクウガは、近くに何かないか探し出す。
そこで見つけたのは、先程紫色の怪人によって倒木した木の枝の部分だった。
それをつかみ取ると、クウガはその姿を変えていく。
「超変身!」
クウガの赤の鎧は、紫の縁取りを持った銀色の鎧のような形状へと変化。
複眼も紫色に変化し、手に持った木の枝は大剣・タイタンソードへと変わる。
頑丈な装甲と怪力を宿した形態・タイタンフォームになったクウガはタイタンソードを構えて、重い足取りで銀色の怪人に迫る。
「これなら…いける!」
銀色の怪人はアームガンをクウガに向けて発砲。
クウガの体に直撃し、大きな火花が散るがそれでも歩みを止めない。
その事に戸惑う銀色の怪人は再び発砲するも、びくともしないままクウガは進んでいく。
やがて至近距離まで距離を縮めた時、クウガのタイタンソードが振りはなった。
「おりゃあああ!!」
振り上げたタイタンソードで銀色の怪人の体を切り裂き、振り下ろした際に左腕の電撃棒を叩き切る。
多少なりともダメージを負った銀色の怪人は不利と判断したのか、クウガに背を向けて退いた。
『ぐっ!?』
「おい、待て!超変身!」
逃げていく銀色の怪人を追いかけるため、俊敏性に優れたドラゴンフォームに変わり追いかけてゆく。
クウガは向かった先にあったのは、ケタロス達と戦うナイト・サガの姿であった。
見た様子でもわかるように二人が優勢とは言い難く、クウガは心配して駆け寄る。
「大丈夫か!」
「いやぁ、流石にライダーなりたてじゃこんなものか」
サガはお茶らけて言うが、余裕でいられるのも時間の問題……。
加えてケタロスの奥の手はまだ隠されている。
虎太郎を庇いながら戦うため、このままいけば苦戦は必至……。
そう思われていた矢先、そこに【新しい乱入者】がやってくる。
―――ブォォォォン!!
けたたましい排気音と共に現れたのは二台のバイク。
そこに乗っていたのは二人の男性が下りてきて、その姿を見た虎太郎は思わず二人の名前を叫ぶ。
「橘さん!睦月!」
「白井、無事か!」
「橘さん、あれって!」
「ああ、トライアルシリーズだ」
「だったら、俺達の相手だ」
二人の男性……『橘咲也』と『上城睦月』は"トライアルシリーズ"と怪人達を呼びながら、それぞれラウズカードと呼ばれる特殊なカードをバックル。
橘はギャレンバックルにチェンジスタッグビートルを。
睦月はレンゲルバックルにチェンジスパイダーを。
それぞれ、腰に装着した二人はベルトを操作して高らかに宣言する。
「「変身!」」
【TURN UP】
【OPEN UP】
それぞれバックルから放たれたオリハルコンエレメントが射出され、それらが二人を潜り抜けるとその姿が変わっていく。
紅色のボディに銀色の鎧、緑の複眼を宿した戦士……『仮面ライダーギャレン』。
緑色のボディに金色の鎧、紫色の複眼を宿した戦士……『仮面ライダーレンゲル』。
二人のライダーは武器を構えて走り出していった。
後書き
どうも地水です、次回予告詐欺にならなくてよかった。
木戸 明(カフェ・マル・ダムールの店長)に続いてようやくレジェンド登場!その名は白井虎太郎!
しかしまさかのネオライダーケタロスに追い詰められながらの初登場であった…。
剣本編といいなんでこうもこうなんだろうね←
虎太郎を救うのはミルク姫だった…(待て
ではなく、窮地を救ったのはナイトこと小狼。もはやおなじみとなってきたミラーワールド戦法での活躍。
地味に初めてのベントインも使ってますね。
そんでもってレジェンドライダー登場!ギャレン&レンゲル!
彼らがどう活躍するのか……。
次回、初の共同戦線!!
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