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僕は 彼女の彼氏だったはずなんだ 完結

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15-⑹

 数日後、清音が野菜を納品に来ていた。佳乃ちゃんが知らせに来てくれたので、行ってみると、もう、帰るとこで、武君が清音を呼び止めて

「お前んとこの、辛み大根は辛いだけで甘味がないし、人参も味がないねん。ドレッシングで何とかしているけどな もっとちゃんとしたん作れよ」と、きついことを言って居た。

「なによー アンタも腕が磨けてええんちゃうのー」

「野菜だってな この店の顔なんだから、そのつもりでな」

「うぅー わかったわよ アンタのまずいドレッシングに負けないようにするわよ アンタもがんばれよ」と、帰ろうとした時、私に

「お姉ちゃん 明日、お休みでしょ 夕方、お家に行って良いかなぁ 一緒に、晩御飯つくろっ」

「いいけど 田中さん、元気?」

「ウン あと、2.3日 入院するって 元気だよ、心配ない」と、ツンツンして帰っていった。

 次の日、夕方近くなって、清音がやってきた。

「これ、小アジ 安いから買ってきた。あと、小芋と・・武の言って居た辛いだけの辛み大根」

「そう アジと小芋はフライにしようか 清音 武君のこと気にしてるの?」

「いいや アイツなりに気を使ってくれたんやと思う 言い方 腹立つけどね」

「そう わかってるんならいいけど・・」

「お姉ちゃん ウチな 田中さんとこも出ようと思っていたんや でもな 明璃にコンコンと言われた。親友以上って感じたの、明璃のこと だから、ウチの前の生活のこと、男のこともね、全部、話した。そしたら、スッキリしたわ それに、お父さんの夢をお姉ちゃんと一緒に叶える義務があるんちゃうのってことも・・説教された。武のバカ野郎にまで、あんなこと言われて・・やっぱり、ここがウチの居場所なんやって・・ だから・・ずーとお世話になるね」

「そう 良かった 清音が変なこと考えなきゃ良いなって思ってたから」

「ねぇ お姉ちゃんの周りって、何で、みんな良い人が集まるんだろうね」

「うーん 清音だって 明璃ちゃんとか、田中さん、木下さんだって、農園の人とか、みんな、あんたが一生懸命だから、助けてくれるんじゃぁない? 武君もそう思うから、あんなこと言ったんだよ みんな、あなたという人間を見てのことなんだよ クリスマスの時のマーケットも大成功だったし、パン屋さんにイチゴ農家の人が、春休みにやる時には加えてくれって言っているそうよ 清音のお陰だって 清音は賢いんだから、まだまだ、やることあるのよ」

「うふっ お姉ちゃんがウチのこと 賢いって言ってくれたの 初めてかも」

「そう? 昔から思ってたわよ 清音は賢い子だって」

 その時、お父さんが戻ってきて

「おぉ 清音 来てたんかー」

「うん お父さん 何かつくってたの?」

「デミソースをな 3日かかるんじゃ 美鈴 先に風呂に入っていいか」

「うん 待って もう洗ってあるから、お湯入れるね」

「お姉ちゃん じゃぁ 小芋 洗っとくね 直ぐに揚げれるように お父さんのおつまみ」

「そうか それは、うまそうじゃのー 清音 持ってきてくれたのか?」

「うん 今日 掘ったんだから」

 お父さんがお風呂から出てきたのと同時に小芋の素揚げを持っていった。

「うん うまい ねっとりとして 清音 うまいよ」

「そう 良かった」と、清音も嬉しそうにしていて、私達は二人で小アジの処理をしていたのだ。

「風呂あがりに、こうやって、酒が飲めて、そうやって、二人で仲良くやっているのを見ていると、ワシは本当に幸せだなって感じるよ」

 私達は、お互いに、顔を見合わせて、肩でこつきあっていた。私も、幸せを感じていたのだ。
 

 
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