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ドラゴンボールZ~孫悟空の娘~

作者:setuna
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第31話

 
前書き
原作では本当にこれが悟飯のピークだったな…

悟空の代わりに死んでもらいました。

セルを書いていて思うのはセルは本当に可能性の塊なんだなと思います。

いくら弱い時期の物でもメインキャラの細胞があるせいで色々出来るから多少の無茶のパワーアップもすんなり出来ることです。

何せ細胞元の彼らがまだまだ伸び代のある時期だし、だからこそ公式も扱いに困るんでしょうね斑点とか含めて 

 
悟林の体から赤いオーラが出た瞬間、悟空達は気功波のエネルギー暴走の余波で吹き飛ばされてしまい、気がついた時には焦土が広がっていた。

「お、俺達…生きているのか…?」

クリリンが吹き飛ばされる直前に18号を庇っていたのか、庇われている18号には外傷はない。

サタン達も16号によって守られていたために外傷はなかったが、気絶していた。

「…セルの気は感じねえが…」

「悟林の気も…感じられん…」

悟空もピッコロの沈んだ声にトランクスと未来悟飯は俯き、悟飯は膝を着いて涙を流し、ベジータはどこか複雑そうな表情であった。

「終わったな…」

「クリリン…」

落ち込む悟空の背を優しく叩いたのはクリリンだった。

「悟林ちゃんが…お前の子供が終わらせてくれたんだ。どんなにピンチでも食い下がって逆転勝ちなんてお前の子供らしいよ。そっくりだ…」

今までの悟空との付き合いからそう呟くクリリン。

どんなにピンチでも悟空は必ず何とかしてくれた。

そして今回、このピンチを何とかしてくれたのは悟空の娘の悟林だった。

「………」

「無理ないけど、元気出せよ悟空。お前がそんな顔したって悟林ちゃんは喜ばないぞ。一度天界に戻って何とか悟林ちゃんを生き返らせる方法を考えよう」

クリリンも悟林のことは悟林が小さい時から知っているのだ。

何とか生き返らせてやりたい気持ちはある。

「ああ…悟飯、一度デンデのところに戻ろう。ドラゴンボールでセルに殺された人達を生き返らせてやらねえとな」

「はい…」

悟空に促された悟飯は暗い表情で立ち上がり、天界に行こうとした時であった。

背後から凄まじい気の圧力を受けた全員の表情が戦慄する。

「こ、この気は…」

「そ、そんな…あり得ない…」

「ま、まさか…」

ベジータと未来悟飯、悟空が気の発生源に視線を向けた直後に閃光が走った。

「かはぁっ!」

次の瞬間、胸を貫かれたトランクスが吹き飛び、そのまま地面に力なく倒れた。

強力な気の力で貫かれた胸部は周囲の細胞組織を焼き殺しており、血こそ流れていなかったが確実に致命傷であった。

「トランクスーーーっ!!」

未来悟飯が倒れたトランクスに駆け寄る。

「……くっくっく……トランクスに当たったか」

未来悟飯の叫びに意地の悪そうな笑みを浮かべて立っていたのは死んだはずのセルだった。

悟林は確実に命を懸けた一撃で死んでしまったのに何故セルだけが生きているのだ?

悪夢を見つめるような目で、ヤムチャが戦慄きながら呟く。

「な、何故だ……何故、セルが…あのとんでもない気功波をまともに喰らったはずだ…!」

「良いだろう、教えてやる。この事は私にとっても嬉しい誤算だった……私の体には小さな塊があり、それが私の核なのだ。核が破壊されない限りこの体は再生され続ける。孫悟林のあの執念の一撃を受けても奇跡的に核が無傷だった。正直言って運が良かった。そして再生したこの体は18号抜きでも完全体として復活していた。ただの完全体ではない、あのような醜い姿にならずとも孫悟林の超サイヤ人2のように大幅なパワーアップを遂げていたのだ…これは恐らく生死の狭間から救われた時、大きく力を上げると言うサイヤ人の細胞がそうさせたのだろう。」

それを聞いたピッコロはセルに使われているサイヤ人…悟空とベジータの細胞が採取された時期のことを考える。

2人の細胞はサイヤ人として大きな伸び代があった時期の物であり、今の2人はサイヤ人の限界まで鍛えたことにより失われた特性だが、セルにはそれ以前の細胞が使われているために2人分の特性の発動があったのだろう。

2人分の瀕死からのパワーアップにより、セルは18号の不足分のパワーを補って余りある力を手に入れたのだ。

「くっくっくっ…想像以上の素晴らしいパワーだ…孫悟空、貴様の娘の執念は私を倒すどころか私のパワーアップに大きく貢献してくれたようだ。完全体を超える程の力を与えてくれた礼を言おうか?」

「くっ…!」

悟林の死を嘲笑うセルに怒りで拳を強く握り締める悟空。

そして体に気を入れてオーラを纏う。

今のセルに悟空が挑んでもまるで相手にならないことは悟空自身が理解しているだろうが、悟林の死を嘲笑うセルを許すことは出来ない。

セルもまた悟空の怒りに笑みを浮かべた。

「私を虚仮にしてくれた孫悟林は勝手に死んでくれたようだし、父親の貴様で我慢するとしよう。あっさりと死んでくれるなよ孫悟空?」

悟空に向けられるセルの殺気に誰もが動けなかった。

1人を除いて。

「くっそおーーーっ!!」

セルの行動に最初に動いたのは悟空ではなくベジータであり、超化するのと同時にセルに向かっていく。

精神と時の部屋で過ごした時間で2人の間に出来た本人達も気付いていない絆。

セルの攻撃を受けて息絶えたトランクスを目の当たりにしたら黙ってはいられなかったのだろう。

「(ふざけるな…!カカロットだけを見るな…俺を見ろ…!貴様が殺したのはカカロットの娘だけじゃない…!俺の息子もなんだぞ…!!)」

頭に血が上っても今のセルにまともな闘いなど出来ないことはベジータも理解していた。

渾身の気功波を放つと追撃の気弾を連射し、セルの再生速度を上回る勢いでセルを破壊しようとする。

セルを倒すにはそれしかないと判断したベジータ。

それは確かに再生し続けるセル相手の闘い方としては正解だっただろう。

「邪魔をするなベジータ」

しかしそれは実力がかけ離れていなければの話だ。

セルはまるで虫を払うかのように余裕の顔でベジータに近付いて手刀を繰り出した。

たった一発の攻撃でベジータは身動き出来ないほどの深手を負ってしまう。

「ベジータ!」

瞬間移動で助けようとした悟空だが、直前にセルによって弾かれ、ベジータの近くに倒れる。

「瞬間移動をするには僅かな時間が要る。それさえ知っていれば阻止は容易い。」

「ご、悟空とベジータが…た…たったの一撃で…!」

超サイヤ人2人を一撃で戦闘不能に追い込んだセルにクリリンは恐怖で震える。

「さて、終わりだ孫悟空、ベジータ。あの世の孫悟林とトランクスの後を追うがいい」

倒れている2人にとどめの気弾を放つセル。

「止めろーーーっ!!」

未来悟飯が割って入り、気弾を体で受け止める。

「ほう…」

気弾の直撃を受けた未来悟飯はボロボロではあったが生きていた。

「く…っ…」

膝を着いた未来悟飯にセルは興味深そうに見つめる。

「こいつは驚いた。孫悟空とベジータを殺すつもりで撃ったんだがな…未来の孫悟飯。私は貴様を過小評価していたようだ。詫びておこう」

しかしすぐに興味を失い、次は悟飯に迫る。

「っ!」

「次は貴様だ孫悟飯。」

セルの拳が悟飯の腹に突き刺さる。

「が…は…っ!」

腹を押さえて呻く悟飯にセルは愉快そうに笑うと胸倉を付かんで頭突きを額に喰らわせる。

「あ…うう…!」

「ふん、やはり貴様は未来の孫悟飯と比べても弱いな。」

セルの背中にピッコロの魔貫光殺砲が直撃し、セルは後ろのピッコロに顔を向ける。

「邪魔だ」

「ぐあっ!!」

軽い気合をピッコロに浴びせて吹き飛ばし、再び持ち上げている悟飯を見る。

「どうした?孫悟林の弟ならもう少し抵抗してみろ…それと結果が分かっていながら無駄な努力は止すんだな16号。貴様が何をしようと私には傷一つ付けられんぞ」

身を隠しながら機会を窺っていた16号にセルの冷たい言葉が向けられた。

そして悟飯は放り投げられ、岩に叩き付けられた。

「お…姉…ちゃん…」

痛みで意識を失いそうになった時であった。

『悟飯』

姉の悟林の声が悟飯に届いたのは。

悟林の声を聞いた悟飯の意識は覚醒し、目を見開いた。

「お、お姉ちゃん…!?ど、どこに…」

『あの世だよ。界王様の力を借りて悟飯に語りかけてるの』

「あ、あの世に…じゃあやっぱり…お姉ちゃんは…」

姉の死を姉自身から告げられた悟飯はショックを受ける。

『悟飯、お願いがあるの…私の代わりにセルを倒して』

その言葉に悟飯は驚愕で目を見開いた。

悟林と同等のレベルにまで戦闘力が上がっているセルに自分が倒せと言うことに。

「む、無理だよ…僕じゃ…僕はお姉ちゃんみたいに強くないんだ…!」

組み手でも悟林に勝ったことがないのに、悟林よりも強いかもしれないセルに自分が倒せるとは到底思えなかった。

『ねえ、悟飯。昔、ピッコロさんに岩に叩き付けられそうになった時に岩を吹っ飛ばした時のことを覚えてる?』

「…うん」

『悟飯は今までちょっとしたきっかけで力を出してた。怒りや焦りとかでさ…追い詰められた時の悟飯が発揮する力に私がどれだけ悟飯を羨ましいと思ったと思う?』

「お姉ちゃんが…僕を…?」

今までずっと上だと思っていた姉が自分を羨ましがっていたと言うことに悟飯は驚く。

『うん、私だって負けてないけどさ。追い詰められた時の馬鹿力には流石の私も敵いそうにないって思ったなー。ねえ、悟飯…私のこと、信じてくれる?』

「何言ってるのお姉ちゃん…僕は何時だってお姉ちゃんのことを信じてるよ」

『そう…悟飯…界王様を通じて私がサポートする。双子の私達ならより深く繋がれるらしいから…悟飯、超サイヤ人2は超サイヤ人の状態でもう一度超サイヤ人に変身することで変身出来るの。超サイヤ人に初めて変身した時のことを思い出して、怒りを感じることは悪いことじゃないよ。悟飯のセルを倒したい気持ちに素直になるの、未来の悟飯も言っていたでしょう?手段として利用してって…頑張れ悟飯!セルを倒せ!!』

「うん…分かった…頑張るよ…」

悟飯は立ち上がるとセルを力強く見据えた。

「ほう、こいつは驚いた。ことのほかタフじゃないか…」

「…お姉ちゃんが僕を信じてくれた…」

「?」

悟飯の体を金色のオーラが纏われ、そして徐々に気が大きく膨れ上がっていく。

「そして僕に…お前を倒せと言っていた!!」

オーラの勢いが増し、オーラに鋭いスパークが混じる。

そして超サイヤ人でも変化が乏しかった髪が逆立った。

「超サイヤ人…2…!」

悟飯の超サイヤ人2の変身を見た悟空。

精神と時の部屋で悟飯の潜在能力が解放され始めていたことは薄々感じていたが、悟飯は性格的な問題で本当の意味で実力を発揮出来ないタイプであった。

しかし、悟飯の表情には何時もの甘さがない。

セルを倒すと言うたった1つの意志を持った戦士であった。

「本当にでかくなっちまったな…」

何があったのかは知らないが、悟飯の力が目覚めたのはまたとない好機であった。

「まさか孫悟林と同じ変身をするとはな。だが、同じ変身が出来たくらいで私に勝てると思うか?」

「さあね…」

セルの言葉を一蹴するように低く言う悟飯。

「では、貴様の力を見せてもらおう」

セルは悟飯に突撃し、拳と蹴りを繰り出していき、悟飯もまたそれを捌いていく。

フェイントも混ぜた攻撃にも悟飯は冷静に対処していく。

「(このガキ…!)」

信じられないことに悟飯はセルの動きを完全に見切っていた。

悟飯は悟空と悟林の闘いを見ていたのだ。

どれだけセルが強くなろうと戦い方は変わらないため、それが悟飯を優勢にしていく。

「はあっ!」

裏拳をセルの顔面に叩き込む。

「がっ!?」

想像以上の威力にセルが仰け反った。

そしてがら空きになった腹に鉄拳を叩き込む。

更に腹を押さえて前のめりになるセルの顎に拳を叩き込んで吹き飛ばす。

途中でセルは体勢を立て直したものの、想像以上のダメージに悟飯を睨む。

「貴様…!」

「その程度か…?」

「何!?」

「お姉ちゃんやトランクスさん、たくさんの人達を殺して手に入れた力がその程度なのかって聞いてるんだっ!!」

怒りに呼応するように悟飯の気は大きく上昇していく。

地球人の穏やかな性質を強く持った悟飯だからこそ、感情によって戦闘力を変動させるサイヤ人の細胞は怒りによって大きく戦闘力を増大させる。

潜在能力と怒りの相乗効果によって悟飯の気の上昇は止まることを知らず、セルの気を上回り始めていた。

「お、己…」

パワーアップし、万能感に包まれていたセルを叩き落とす悟飯の圧倒的な潜在能力にセルの表情は険しくなる。

「お前だけは…絶対に許さない…お姉ちゃんとトランクスさんの仇を取ってやる…!!」

「くっ…!私の究極のパーフェクトパワーを見くびるなあーーーっ!!」

セルは気を高めてかめはめ波の体勢を取ると悟飯に向かって言い放つ。

「喰らえ!私の究極のかめはめ波を!!今の私ならば太陽系を破壊するほどの威力を放つことなど容易い!貴様が避ければ全てが消し飛ぶぞっ!!」

「…か…め…は…め…」

セルの手のひらに集まる気は凄まじく、太陽系破壊を可能とするほどの気力が溜まっていた。

しかし悟飯はそれを鋭く見据えて自分もかめはめ波の体勢に入った。

「無駄な足掻きを!くたばれーーーっ!!」

「波ーーーっ!!」

セルが放った全力のかめはめ波に対して悟飯も全力のかめはめ波で迎え撃つ。

2つのかめはめ波は激突するのと同時に相殺され、その隙にセルが飛び出して悟飯の息の根を止めようとしたが、それよりも速く悟飯がセルの懐に入ってセルの全身に無数の鉄拳を浴びせ、体のどこかの核が潰れたのか、セルはふらついてそのまま倒れた。

そして念のためにセルの死体を気功波で消滅させると、悟飯はオーラを鎮めて通常の状態に戻ると空を見上げた。

『良くやったよ悟飯!!』

「うん…ありがとう…お姉ちゃん…」

闘いのために造られた人造人間セルを倒した悟飯。

双子の絆の勝利である。

セルを悟飯が倒したことで誰もが歓喜の表情を浮かべた。

「やったな…悟飯……悟林…おめえが悟飯に力を貸してくれたんだな?」

悟飯と同じく空を見上げると悟空は隣のベジータに振り返る。

「ベジータ、おめえも来いよ。一緒にトランクスと…悟林を生き返らせようぜ」

「俺は行かん…貴様らだけで行け」

素っ気なく言うベジータに悟空は微笑む。

「ベジータ…おめえトランクスが殺されて本気で怒っただろ」

「………」

「おめえなら良い親父になれっぞ」

勝手なことを抜かすなと言いたかったが、悟空は既に悟飯の元に向かっていた。

「さあ、みんな神殿に行くぞ」

「おい、ベジータは良いのか?」

「ああ」

ヤムチャがベジータを連れていかなくて良いのかと尋ねるが、悟空は首を横に振るだけだ。

「でもよ…あいつ、トランクスのためにセルと…」

「1人にしてやれ。あいつにも思うところがあるんだろう」

ヤムチャの言葉を止めたのは意外にもベジータを嫌っていたはずの天津飯であった。

「何だよ、お前あいつのこと嫌ってた癖に」

「…俺もあいつがただの嫌な奴じゃないと分かっただけさ」

天津飯が苦笑しながら言うと、18号を抱えたクリリンが16号に尋ねる。

「本当に一緒に来ないのか?」

「ああ、俺はしばらく世界を見て回ろうと思う。救われたこの世界の自然と動物達を見てみたい」

「16号さん…」

「孫悟飯…孫悟林のことは残念だったが、礼を言わせてくれ。ありがとう…自然や動物達を守ってくれて…」

16号の大きい手が悟飯の頭を撫でると、その優しい手つきに思わず泣きそうになった。

「孫悟空、俺はお前を殺すために造られた…だが、今ここで闘うのは無粋だろう。孫悟林が生き返ることを願っている」

「サンキュー」

16号はこの場を飛び立ち、悟空達も瞬間移動でデンデの元に向かうと、気絶から復帰したサタンが自分がセルを倒したと法螺を吹いたのであった。

天界に着いた悟空達は途中でクリリンと18号のことで騒ぎが起きたものの、ドラゴンボールを使ってトランクスを含めたセルに殺された人々を生き返らせることが出来た。

しかしナメック星での闘いで一度死んだ悟林は生き返ることは出来なかった。

「…やっぱり悟林の気は感じられねえ…」

「やはり駄目か…」

「神龍…姉さんを生き返らせることは出来ないんですか…?どうしても生き返らせて欲しいんです…」

「孫悟林は既に死んで生き返ったことがある。それは不可能だ。他の願いを言え」

一度死んで生き返った悟林には生き返る権限がないと言われた一同は表情を曇らせる。

「やっぱり不可能だってよ…」

「…いや、きっと何か良い方法があるはずだ。考えろ」

まだ幼く未来ある子供である悟林。

出来れば生き返らせてやりたいと思うピッコロ達は考えを巡らせる。

『おーい、みんなー』

「姉さん!?」

突如聞こえた悟林の声に目を見開く未来悟飯達。

『ちょっとあの世から喋ってるんだけどちょっと聞いてね。前にある人に言われたことがあるんだよね…お父さんも大概だったけど、私が生まれてから厄介事ばかり起きてるってさ。まあ、良く考えてみればそうなのかもね…私がいない方が地球は平和そうだし。界王様とも話してみたけど、界王様も認めてる…あ、でも別に犠牲になろうとかそんなんじゃないよ!私は地球のためやらフリーザとセルと闘った功績から特別扱いで体を付けてくれたんだ!しかも死んでるからあの世じゃ修行し放題だし、あの世にはお父さんのお祖父ちゃんもいるようだし、色々交流してみるよ。達人もたくさんいるみたいだしね!!…だからさ、みんなやお父さん達には悪いと思うけど…生き返らせてくれなくていいよ。みんながいれば現世は大丈夫だと思うしね』

「お姉ちゃん…」

『…それじゃあ、みんな数十年経ってあの世に来たら色々土産話聞かせてよね。悟飯は無駄に長生きして幸せになるんだよ。良いね?未来の方も』

「姉さん…でもそれじゃあ、姉さんが…」

自分の時代の姉よりも遥かに早く死んでしまった姉のことを思うと未来悟飯は複雑な心境だ。

『とにかく!また会える日を楽しみにしてるよ。バイバイみんな!!』

それだけ言うと悟林からの声は聞こえなくなった。

「悟林……あいつらしいなぁ…」

「本当にお前の子供なんだって分かるよ。それを考えると悟飯があんなに大人しく育ったのが奇跡だな」

クリリンの言葉に悟空は苦笑を浮かべて空を見上げた。

「あ…あの…3つ目の願いを待ってんだけど…ず~っと…」

神龍に言われて慌てる悟空達であった。

一方、あの世では界王の背に触れていた手を離す。

「ふう、ありがとう界王様」

「うむ…悟林よ…本当に良いのか?確かにお前の言葉に同意はしたが…」

「良いんだよ、私だってブルマさんの言っていたことに何となく納得してたし…それに、生きてる時に良いことをやって体を付けてもらってる人ってのは私だけじゃない。お父さん達がドラゴンボールのことを知るまでは事故や病気で死んだ人達だっているのに私が何度も生き返るってのはね…それに!あの世にはたくさんの達人の人達がいるんでしょ?ワクワクしてきたぞー!」

蛇の道をかっ飛んで行く悟林の姿に界王は唖然としたが、次の瞬間に苦笑を浮かべた。

「やれやれ…悟空の娘じゃな…」

隣のバブルスも同意するように頷いた。

こうして地獄の未来を振り払うための闘いは終わりを迎えた。

トランクスと未来悟飯も未来に帰り、未来の人造人間とセルを倒して平和を取り戻した。

こうしてそれぞれの時代で平和の時間が訪れる。

その途中で…。

「えーーーっ!?」

「ほ、本当かーーーっ!?」

悟飯と悟空の叫び声がパオズ山に響き渡る。

「んだ!もう1人家族が増えるだ!悟飯ちゃんはお兄ちゃんになるだぞぉ!?」

途中で2人に手を握られてブンブンと上下に振られた。

あまりの勢いにチチは転びそうになったものの、喜んでもらえて何よりだ。

「それにしても子供かー」

「そうだべ…そう言えばおめえは悟飯ちゃんと悟林ちゃんの時は…」

双子の出産の時は修行で不在だった悟空を睨むチチに悟空は慌てる。

「わ、悪かったって…今度は最後までいっから許してくれよ…」

「当ったり前だべ!!…ん?どうしただ?悟飯ちゃん?」

チチに謝る悟空にチチは目を吊り上げながらもどこか落ち込んでいるような悟飯に気付いた。

「うん…赤ちゃん…お姉ちゃんに会えないんだね…」

悟飯の言葉に悟空とチチもハッとなる。

あの世の住人となってしまった悟林はこのことを知らない。

悟空曰く、よほどのことがない限りあの世と現世が関わることなどあってはならないため、悟空の瞬間移動で界王星を経由してもあの世…天国にいる悟林の所へ行くことは出来ないらしい。

悟林が死んだと聞いた時はショックだったが、悟空からセルゲームの内容を聞いた時は悟林らしいと思った部分もある。

だが、自分と悟空は何となく受け入れることは出来るが、生まれた時からずっと一緒だった悟飯の心情は複雑だろう。

「全く…悟林ちゃんに会えるまで何十年も待たなきゃなんねえなんて…悟空さ以上に家に寄り付かねえ子だべ。でもあの子は生き返らなかったことを後悔するだよ。弟か妹が出来るんだからな!」

チチのその言葉に2人はポカンとなったが、次の瞬間笑ってしまった。

「ははは、確かに悟林の奴少し残念がるかもな」

「赤ちゃんをたくさんたくさん可愛がろうよ。お姉ちゃんにまた会った時のために」

「んだ。悟林ちゃんへの土産話をたくさん作ってくぞ!」

あの世にいる悟林を想いながら悟空達は日常を過ごし、そして待望の次男坊が産まれた。

名前は孫悟天。

父親の悟空そっくりな子供であった。 
 

 
後書き
悟林

セルを倒せないまま死んでしまったが、あの世から悟飯をサポートして超サイヤ人2への覚醒を促した。

因みに生き返らない理由についての原因については向こうへ持っていくつもりである。

悟飯

姉のサポートもあって超サイヤ人2への変身を成し遂げ、怒りと冷静さを保ちながらその潜在能力の一端を見せた。

悟空

娘を死なせてしまったことを悲しみ、娘の死を侮辱したセルに怒りを抱くもののセルの復活パワーアップの前では何も出来なかったが、息子や娘の成長を間近で見て誇らしさを抱いた。

未来悟飯

セル相手に何も出来なかったが、復活パワーアップを果たしたセルの殺す気で放った気弾を受けても生きていたことで現代同様のポテンシャルの高さを見せる。

最後はトランクスと共に未来へ帰還する。

ピッコロ

弟子の死を嘆くものの、後任の神となるデンデの育成に力を注ぐ。

トランクス

セルによって殺されたが、帰る際にヤムチャからベジータのことを聞いたことで本当の意味で親子になれた。

過去での思い出を胸に、未来へ帰還する。

ベジータ

セルには手も足も出なかったが、精神的に大きく成長するきっかけを得る。

未来へ帰還する息子に無言の別れを告げた。

クリリン

娘の死に落ち込む悟空に、最も悟空の近くで悟空の闘いを見てきた男として悟空を励ます。 
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