イベリス
しおりを利用するにはログインしてください。会員登録がまだの場合はこちらから。
ページ下へ移動
第三十四話 中間テストの結果その九
「憎しみによる行動の報いを受けます」
「因果応報ですか」
「伍子胥は自分が仕えた国に貢献しました」
呉に対してだ。
「それも多大な、ですが」
「それでもですね」
「そうした末路を迎えました」
「それは何故か」
「死体に鞭打つ所業がいい筈がありません」
「非道ですね」
「墓を暴き亡骸を攻撃するなぞ」
当時から現在も批判されている行いである、伍子胥がどれだけ憎しみの念が強い人間であるかということを示しているものだ。
「非道の極みです」
「だからですね」
「そうなりました、墓を焼いた白起も」
秦のこの名将もというのだ。
「四十万の敵兵を生き埋めにもし」
「その末路はですか」
「祖国に疑われ」
このことも史書にある。
「そして自ら死んでいます」
「悪行には報いがあるんですね」
「必ず。復讐鬼は憎しみのあまり必ず罪を犯します」
そうするというのだ。
「ですから」
「その末路は悲惨ですか」
「そうなります、ですから」
「憎しみもですか」
「あまりにも強いものはです」
それはというのだ。
「絶対にです」
「忘れることですか」
「消すことです、憎しみは劣等感と共にある場合もありますし」
「そして心を歪めて」
「時には人でなくすので」
それでというのだ。
「忘れることです」
「復讐鬼にならないことですか」
「そしてです」
それでというのだ。
「心を穏やかに」
「そうあるべきですね」
「必ず。人は複雑なもので劣等感や憎しみから努力しますが」
「そして成長もですか」
「しますが」
それでもというのだ。
「あまりにも強いと」
「それならですね」
「圧し潰されるか」
速水は話した。
「復讐鬼になるので」
「あまりよくないですか」
「出来る限りプラスの感情で努力して下さい」
「もっとよくなろうとですか」
「今よりも、マイナスからでなく」
「プラスかですか」
「努力して」
そうしてというのだ。
「成長して下さい」
「それが一番ですか」
「劣等感からの努力もいいですが」
それでもというのだ。
「理想はです」
「そうなんですね」
「劣等感や憎悪を努力により昇華ししきれないなら」
「捨てるか忘れる」
「そうして下さい」
「そうします」
咲も頷いて応えた。
ページ上へ戻る