オズのラゲドー氏
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第十幕その三
「何よりだよ」
「そうなの」
「ああ、それじゃあおいらの友達も知ってるから」
チェシャ猫はこうも言いました。
「ここにいるね」
「貴方のお友達っていうと」
「ここから少し行けばいるさ」
これがチェシャ猫の返事でした。
「そして会えるさ」
「そうなのね」
「風変りだけれど面白い奴だよ」
こうナターシャにお話します。
「だから会って損はしないよ」
「それじゃあ」
「ああ、先に進みな。あとな」
「あと?」
「おいらも随分有名なんだな」
チェシャ猫はこうも言いました。
「オズの国の外でも」
「かなり有名よ」
ナターシャもこう答えました。
「実際にね」
「そうなんだな」
「アリスって娘のお話に出て来るから」
それでというのです。
「あんたはかなり有名よ」
「そうなんだな」
「それこそ世界的にね」
そこまでというのです。
「あんたは知られているわよ」
「そうか、じゃあアリスって娘もか」
チェシャ猫はすぐに彼女もと察しました。
「世界的に有名か」
「ええ、そうよ」
その通りだというのです。
「あの娘もね」
「そうなるなんてな」
「あのお話が面白いからね」
トロットが言ってきました。
「私もあのお話は読んだわ」
「そうなのかい」
「ええ、だからあんたも知ってるし」
そしてというのです。
「アリスもね」
「知ってるんだな」
「他の人達もね」
アリスの物語に出て来る全ての人達をというのです、トロットはチェシャ猫に対してこのことを笑顔で言うのでした。
「知ってるわよ」
「成程な」
「ハンプティダンプティもジャバウォークもね」
「全部かい」
「スナークは食べたいと思わないけれど」
「ああ、あれは止めておきな」
チェシャ猫も言います。
「おいらも食ったことはないけれど聞いてるぜ」
「スナークの味については」
「聞く限りとてもな」
「美味しいものじゃないわね」
「だからな」
それ故にというのです。
「スナークを食うことはな」
「止めた方がいいわね」
「オズマ姫ながら暴れるバンダースナッチを止められるけれどな」
それでもというのです。
「スナークを食うことはな」
「止めた方がいいわね」
「あれ食うならそうだな」
チェシャ猫は考えてから言いました。
「お寿司がいいな」
「貴方もお寿司が好きなの?」
ポリクロームはチェシャ猫の今の言葉に尋ねました。
「そうなの?」
「ああ、好きだぜ」
実際にとです、チェシャ猫は答えました。
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