イベリス
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第三十三話 葛飾のアイスクリームその七
「トッピングは」
「シロップかけてもらいましょう」
愛はトッピングのリストを見て咲に話した。
「ここは」
「シロップね」
「色々あるけれどね」
トッピングもというのだ、見れば実際に何かとあった。クレープのそれを思わせるものばかりである。見ればクレープも売られている。
「ここはね」
「シロップでのね」
「蜂蜜でいきましょう」
このシロップでというのだ。
「和風なら」
「和風なら蜂蜜なの」
「昔蜂蜜は漢方薬でもあった凄く高価なものでね」
甘いもの自体がそうであった、人が誰でも甘いものを楽しめる様になったのは実は文明がかなり発展してからのことなのだ。
「平安時代とか貴族の人達位しかね」
「食べられなかったの」
「そんなものだから」
それでというのだ。
「和菓子屋さんで和風ならね」
「蜂蜜なのね」
「黒蜜もあるけれど」
見ればこちらもあった。
「ちょっとバニラとかにはね」
「黒蜜は合わないのね」
「私はそう思うから」
「蜂蜜ね」
「それでいいと思うわ」
「それじゃあ私も」
愛がそう言うならと頷いてだ。
咲は彼に愛と一緒に注文した、そしてだった。
そのアイス、三段で蜂蜜をかけたものを店の中で立ったまま食べて言った。
「あっ、これは」
「美味しいね」
「ええ、かなりね」
「そう言ってくれて何よりだよ、うちの人気商品だしね」
「美味しいって言ってくれたら」
「僕も嬉しいよ」
咲に笑顔で話した。
「本当にね」
「そうなのね」
「ただ今は他にお客さんいないけれど」
「繁盛してるって言ったわね」
「だから食べるならね」
他のお客さんの邪魔にならない様にと言葉の中に含めて話した。
「そうしてね」
「それじゃあね」
「そういうことでね」
「それがマナーね」
「ちょっと言いにくいけれど」
「いや、こうしたことは気付かないと」
咲の方が申し訳なさそうに述べた。
「こっちでね」
「そうね、じゃあお勘定は払ったし
「お店を出てね」
「食べましょう」
「わかったわ」
咲は愛の言葉に頷きそうしてだった。
彼にまた学校でと一時の別れの挨拶を告げて愛と共に店を出た、愛も彼に笑顔で挨拶をした。そのうえで葛飾の街を歩きつつアイスを食べてだった。
愛はアイスを食べつつ咲に話した。
「本当にこのアイスはね」
「美味しいわね」
「ええ、和風のね」
「昔の日本のお菓子の作り方を応用したっていうけれど」
「普通のアイスとまた違うわね」
「柔らかくて優しい感じね」
そうした味だというのだ。
「このアイスって」
「いい味ね」
「そうね」
咲も頷く、そのうえで愛に話した。
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