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冥王来訪

作者:雄渾
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異界に臨む
  新彊 その2

紫煙が立ち込め、騒々しい指揮所に着くなり、司令官がいる席に案内された
その席に近づくなり、椅子に座った男が立ち上がって敬礼をしてきた
ぎこちない動作で、敬礼を返すと、折り畳み椅子をすすめられたが、そのまま立ち続けた
脇から通訳やら事務手続きをする人間が集まってきた

その様にしていると、司令官という男は着席し、彼から通訳越しに告げられた
「本来ならば、外国人であるあなたには命令する権利はありませんが、今回の作戦へ協力をしてほしいのです」

これは命令ではなく要請ということか。
木原マサキは、不意に微笑んでしまった
(「あの時と一緒か」)
彼は椅子に座るなり、足を組んで、どこからか用意された熱い茶を飲んだ後、答えた
「いいだろう。だが俺の好きにやらさせてもらう。
そして今回の作戦が終わったら、ここから出ていく」


その場に沈黙が訪れた。
周りで作業していた人間が立ち止まり、こちらを見ている
けたたましい音を立てながら電話が鳴ると、再びその場の静寂は破られて、元の状態に戻っていった

司令官は口つきタバコに火を付けると、勧めてきたので受け取ると、再び口を開いた
「条件については私の方で留保しておきます」


マサキは、タバコに火を付けると、目の前の男に尋ねた
「では、何をしてほしい。単純に言えば」
男はこう答えた
「戦術機と合同で、≪光線級≫の注意を引き付けてほしいのです。
≪光線級≫さえ排除できれば、砲弾で対応できるので、十分です」
マサキは、机の上にある引き延ばした写真を指差した
「もう一つ尋ねるが、この構造物はどうするんだ」

彼が構造物と呼んだもの、それは、《BETA》が地上に「建設」したハイヴと呼ばれるのもので、全世界に今のところ4か所ほどあるものだ。
ソ連領内とイラン領内にあり、大本をたどると、新疆のカシュガルにある≪甲1号目標≫とか≪H:01≫などと称される≪ハイヴ≫にたどり着くという

男は、灰皿に吸いかけのタバコを投げ入れ、新しいタバコに火を付けながら、続けた
「出来るものなら、その存在を消してほしい。出来るものならば……」
茶を飲むと、立ち上がって右手を差し出してきた

飲みかけの茶を置いて、マサキも立ち上がると、右手を差し出して、応じた
「大体の話は分かった。ゼオライマーのできる限りをを尽くすとしよう」
男は、厚く太い指をした手でしっかりと握手をすると、敬礼をして、部屋を出ていくマサキを見送った







 
 

 
後書き
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