イナズマイレブン~クロスライジング~
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新たな目的地
「鬼道!」
「よしいいパスだ!」
風丸くんからのパスに鬼道くんはそう答える。
「みんな良い動きしてるね!」
私は秋ちゃんにそう声を掛ける。
「うん、この調子でイプシロンにも勝てると良いね!」
秋ちゃんと私はそんなことを話しながらアツヤくんと染岡くんに目を向ける。
「いいぞ染岡!この調子で決めるぜ!」
「ああ!行くぜアツヤ!」
「たあぁ!」と気合を入れ染岡くんがワイバーンクラッシュを放つ。
そこにアツヤくんのエターナルブリザードを加え叫ぶ。
「「ワイバーンブリザード!!」」
シュートが向かう先には円堂くん。
「来い!!」
グググっと身体を捻らせ力を解き放つ。
「マジン・ザ・ハンド改ィィィッ!!」
ギュルルルル!!!!
「ぐ、ぐ…!!なんてパワーだ…!があっ!!」
ズドオオオオオオ!!
円堂くんの進化したマジン・ザ・ハンドをも撃ち破るパワー。
やはりこの先この2人の協力は必要不可欠になりそうだ。
「よっしゃあ!見たか円堂!!」
染岡くんが円堂くんに大きな声で話す。
「ああ!!すんげぇシュートだったぜ!!まだ手がヒリヒリしてらぁ…!」
「へっ!俺と染岡のシュートが合わさればイプシロンも敵じゃないぜ!」
アツヤくんも自慢気に自分の腕に手を当て答える。
「でも、向こうもアツヤと染岡くんの合体技があるのを把握しているはずだからね」
吹雪くんはそう考え込むように話すがアツヤくんは気楽そうだ。
「何だよ兄貴、俺と染岡のコンビネーションならやれるさ!なぁ染岡!」
「ああ、心配しすぎだぜ吹雪。俺らが点を取って吹雪や円堂がゴールを守る、それが今のベストだぜ!」
吹雪くんの後ろから円堂くんも吹雪くんの肩に手を当て話す。
「ああ!俺は染岡達を信じてる!俺らは全力で点を取らせない!頑張ろうぜ吹雪!」
そんな円堂くん達の圧に負けたのか吹雪くんも笑顔で答える。
「そうだね…!僕も頑張るよ…!」
ぱんぱんっ!
私達は突然鳴り響いた音の方に顔を向ける。
そこには手を叩いている音無ちゃん、小暮くんがいた。
「そうだ!皆さんに報告があるんです!」
「報告?」
私は音無ちゃんの言葉に首を傾げる。
「小暮くん出来ちゃったんです!」
「出来ちゃったって何が?」
円堂くんも首を傾げながら答える。
そんな中、鬼道くんは思い出したように答えた。
「イプシロン戦で見せたあの技か?」
「そうなんです!」
鬼道くんの答えに答えた音無ちゃんの反応の後に
小暮くんは自慢気に「うっしっし!」と笑いながら答えた。
「見せてやってもいいよ…?」
「なんスかこの自信…?」
「小暮くん頑張ってー!」
「うっしっし!よぉし来い!」
グラウンド場で私達は小暮くんを大きな円で囲むように集まる。
中心の小暮くんにシュートをするとのことだ。
「行くぞ小暮!」
塔子ちゃんが小暮くんに向けてシュートを放つ。
そのシュートを確認した小暮くんは大きく飛び上がり
逆立ちしながら回転を行う。
塔子ちゃんが放ったシュートは弾かれ鬼道くんの元へ。
そのままダイレクトで鬼道くんは蹴り返す。
更にそのボールも弾かれ土門くんの元へ。
「小暮くんだいぶ磨きをかけたね!」
弾かれたボールの先にいた吹雪くんがそう言いながらボールを蹴り返す。
「コントロールも正確に出来てる…!」
私も見事に胸元に弾かれて来たボールを受け止めながらそう答える。
「小暮やるじゃねぇか!」
「こりゃ強力なディフェンダーになるっスよぉ!」
最後に円堂くんがシュートを放つ。
「よし!これでラストだ!!」
最後のシュートも見事に捌き切った小暮くん。
そんな小暮くんを見て目金くんは話す。
「スパイラルレックスとでも名付けますか…!」
「ダサい」
「ださーっ!?」
予想外の返答が帰ってきた目金くんは落ち込んでいるみたい。
「…俺の技は旋風陣だ!」
小暮くんはそう自信が満ち溢れた顔で答える。
「旋風陣か…!うん、いい名前だ!」
「これからの戦略にも幅が出来そうだ」
そんな小暮くんに染岡くんが近寄る。
「いい技だ…!その技でイプシロンのボールをカットしまくれ!」
そう言った染岡くんは小暮くんに手を差し出す。
まさか染岡くんがこんなに自分のことを褒めてくれると思っていなかったのだろうか、だが驚いた表情も笑顔に変わっていく。
「…俺、このチームに入れて良かったよ…!」
そう言いながら染岡くんの手を握り返す。
「ああ…!う…ん…?」
手に変な感覚を覚えた染岡くんはその自らに手を確認する。
「うぎゃあああああああ!!」
「うっししししし!!」
染岡くんの手には毛虫。
「あ、あは…は…小暮くんらしいといえばらしいけど…」
私は苦笑いしながら小暮くんを追い回す染岡くんを眺める。
そんな小暮くんの成長を目の当たりにした円堂くんは
チーム全員に向け声を掛ける。
「よぉし…みんな!小暮に続け!この勢いでもっともっと強くなろうぜ!!」
「「「おおおっ!!」」」
そんなみんなの顔を見ながら円堂くんは話す。
「俺さ…サッカーをやってて良かった…!染岡とも出会えたしこんなに仲間が増えた!…サッカーってやっぱおもしれぇ!って思った!だから宇宙人にもサッカーは楽しいんだぜって教えてやろうぜ!そうすればみんな平和にサッカーが出来るじゃないか!」
そしてはにかむような笑顔で話す。
「そしたら絶対にあの雷藤もサッカーの匂いに吊られて戻ってくる!あいつの事だから何事もなかったかのようにな!!」
そんな円堂くんの言葉に私も笑顔になる。
「ふふっ…!間違いないね!お兄ちゃんサッカー馬鹿だもん…!」
(私も…もっともっと強くなる…お兄ちゃんの為に!)
「兄貴もよく楽しもうとか言ってたよな」
「まあね」
チームの士気が上がっていくのを感じられる。
「みんなぁ!練習再開だぁ!」
「「「おおおおっ!!」」」
そんな雷門イレブンの姿を見ながら杉森くんは川東くんに声を掛ける。
「川東どうだあれが雷門中キャプテン円堂守だ」
「あの時と変わらないな。暑苦しいヤツ…だが、あの暑苦しさ嫌いじゃない…」
そうして私達は夕日が沈むまで夢中でボールを追いかけたのだった。
「これまで各地に出没したエイリア学園の移動パターンからすると、大阪に何らかに拠点があると推測される。」
「大阪ですか…?その拠点とは?」
「この座標だ」
瞳子の問いに応えた理事長が座標を合わせズームする。
「特訓に打ち込んでいるところすまないが、調べてみる価値はある。…行ってくれるかね?」
「…わかりました」
「今度は大阪かぁ」
そんな一之瀬くんの呟きに土門くんが反応する。
「敵のアジトがあるらしいぜ!」
「凄いっスね!乗り込んでこっちから攻撃するんスね!?」
そんなことでわいわい話しながら私達はキャラバンへと乗り込む。
「みんな気をつけて行ってくれたまえ!吉報を待っているぞ!」
私達は理事長の言葉に送り出される。
「「「はい!行ってきます!!」」」
「円堂くん」
「はい?」
瞳子監督の言葉に円堂は立ち止まる。
「貴方の河川敷での言葉何故か頭に残っているわ。サッカーは楽しいもの」
「…ん?」
円堂の顔を見ていた瞳子監督だが、少し悲しそうな顔をしながら遠くを見つめる。
「…あの人もそれに気付いて欲しい」
最後に瞳子監督が話した言葉だが円堂には聞こえず
円堂は首を傾げながらキャラバンに乗り込んだ。
「…大阪…か」
私は出発したキャラバンで揺られながらそう呟く。
(大阪にアジトがあるとの情報。アジトということはお兄ちゃんがいるかも知れない!)
「天空橋」
「黒薔薇くん!?」
後ろの席から急に声を掛けられ驚く私。
そんな私に前を向いてみろと指を指す。そこには円堂くんがいた。
「みんなぁ!俺らが向かう先はアジトだ!!もしかしたら雷藤がいるかも知れない!!みんなで雷藤を連れ戻して宇宙人の奴らに楽しいサッカーを見せてやろうぜ!!」
「「「おおおっ!!!」」」
キャラバンが揺れるようなみんなの掛け声に私は何故か涙が溢れる。
「…うん、うん…!そうだね、みんなでお兄ちゃんを助けよう!」
「ああ、俺らは全員仲間だ。絶対に助けてみせるさ!」
そう応えた黒薔薇くんに私は笑顔で答える。
「うん…!!」
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