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歪んだ世界の中で

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第二十話 災いの雷その二

「それはね」
「携帯は」
「それは持って行くけれどそれでも」
「撮影はされませんね」
「そんなことはしないから」
 希望もだ。マナーを守るというのだ。こう言ってだった。
 真人に尋ねた。その水族館のことをだ。
「最近あそこには行ってないけれど」
「変わったところはないかというのですね」
「うん、どうなってるのかな最近は」
「特に変わってないです」
 真人はこの前その水族館に行ったことがある。そこから希望に話す。
「ラッコもスナメリもアザラシもいますよ」
「そうなんだ。皆いるんだ」
「はい、ヌートリアやピラルクも」
 アマゾンの生き物達もだ。ちゃんといるというのだ。
「健在ですよ」
「そう。じゃあ楽しみにしておくよ」
「遠井君は動物も好きですね」
「大好きだよ。動物はいいよね」
「人を騙したりしないですからね」
「入学の時に裏切られたけれど」
 千春と会えたことで克服できたあのこともだ。希望は話した。
「それでも彼等はね」
「人を裏切ったりはしないですね」
「うん、裏切る位なら」
 それ以前にだというのだ。
「最初から襲い掛かってきたりするじゃない」
「騙したり裏切ったりする以前に」
「素直だよね。だからね」 
 それ故にだというのだ。
「好きだよ。子供の頃からね」
「そうですね。では楽しんできて下さい」
「何時か動物園にも行くよ」
 希望は笑顔で話していく。これからのことも。
「千春ちゃんと一緒にね」
「いいですね。動物園も」
「それとね」
「それと?」
「鉄道博物館にもね」
 そこにも行きたいというのだ。これは希望の趣味から話すことであり自分でもそれに流れていることはわかっている。だがそれでも彼は言うのだった。
「絶対に行くよ」
「遠井君が将来なりたいものの場所に」
「絶対に鉄道員になるから」
 車掌にはなれなくともだ。それでもだというのだ。
「八条鉄道に入るよ」
「頑張って下さいね」
「なれるかどうかわからないけれどね」
「ですがなろうと思うことが大事です」
 真人はこのことをここでも笑顔でだ。希望に話したのだった。
「まずはそれからです」
「なろうと思ってそれから」
「努力することが大事なんですよ」
「僕は千春ちゃんに会うまでなりたいと思うだけで」
 だがそこからはだというのだ。
「それからはね」
「なかったですか」
「だから駄目だったんだね。けれどなろうと思って努力したら」
 千春と会ってからの彼の様にだというのだ。
「そこから大きく変わるよね」
「変えるのは自分自身ですね」
「そうだね。じゃあ僕は変わっていくよ」
「そしてそのうえで」
「鉄道員になってね」
 彼の夢のだ。それになってだというのだ。
「千春ちゃんと幸せになるよ」
「では僕も幸せになります」
 希望が幸せになると共にだ。真人もだというのだ。 
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