| 携帯サイト  | 感想  | レビュー  | 縦書きで読む [PDF/明朝]版 / [PDF/ゴシック]版 | 全話表示 | 挿絵表示しない | 誤字脱字報告する | 誤字脱字報告一覧 | 

イベリス

しおりを利用するにはログインしてください。会員登録がまだの場合はこちらから。 ページ下へ移動
 

第二十九話 報いを受けた人その二

「残酷であることも」
「一生報いを受けることもですか」
「自業自得、因果応報と言えばそれまでですが」
「それでもなんですね」
「後悔しても遅く7」
 そしてというのだ。
「後悔に苛まれて一生を過ごす」
「それも人生ですか」
「人生は時として残酷なものなので」
 その為にというのだ。
「そうしたこともです」
「あって」
「貴女は今日それをご覧になられるかと」
「そうですか」
「貴重なことを学ばれて下さい」
 速水の言葉は強いものだった。
「是非」
「わかりました、ただ私は後悔はしたくないですね」
 咲は考える顔で述べた。
「やっぱり」
「どうしてもそう思いますね」
「そうですよね」
「ですが人は生きていてです」
 その中でというのだ。
「後悔しない人もです」
「いないですか」
「左様です。人は必ずです」
 生きていればというのだ。
「後悔もします」
「後悔したことがない人はないですか」
「間違いなく」
 そうだというのだ。
「ですから」
「それで、ですか」
「私も後悔したことがあり」
 そしてというのだ。
「後悔していることがあります」
「そう言われると私も」
 咲もだった。
「あります」
「左様ですね」
「はい」
 幼い頃のこと、そして今のこともだ。咲は確かに後悔していることがあった。そうして言うのだった。
「幾つも」
「それが普通です、後悔したことがない人は」
「いないですか」
「誰一人として」
 まさにというのだ。
「いません、ただその後悔の内容が問題で」
「許されないことをしてですか」
「一生報いを受け続ける様な後悔は」
 そうしたものはというのだ。
「やはりです」
「受けるべきではないですね」
「そう思います」
 こう言うのだった。
「私にしても」
「そして今日私はですか」
「その後悔をご覧になられます」
「そうなんですね」
「その時は正しいとか楽しいとか思っていていても」
 例えそうであってもというのだ。
「後で、です」
「後悔するんですね」
「自分で気付くか誰かに責められて」
「そして後悔しますか」
「それも一生、アメリカの日系人強制収容所はご存知でしょうか」
「二次大戦の時にあったんですよね」
 実は咲はこのことについて深く知らない、ただ聞いたことがあるのでその聞いた範囲内で答えた。
「アリゾナの砂漠に」
「西海岸の日系人は全て送られました」
「敵性国民だからですね」
「そこに人種的偏見があったことは明らかでした」
 当時のカルフォルニアの市民達の間にだ。 
ページ上へ戻る
ツイートする
 

全て感想を見る:感想一覧