僕は 彼女の彼氏だったはずなんだ 完結
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8-⑽
クリスマスイブは平日にあたるのだが、僕は、光瑠を誘って、ナカミチに行った。最初、迷っていたようだが、久し振りだし、会うかってことになった。
僕が、先に着いたみたいだったので、しばらく、待っていた。美鈴が
「あのね、2日の日、お泊りだよ。大阪のベイエリァでホテル予約しちゃったからね。私、3日の午後からは、次の日の準備あるので仕事だけど・・」
「ええー そうなんか 別に良いけどさー じゃぁ つもりしなきゃあな」
「なんの つもりよー あんまり、考えないでよー 31日もお願いね 6時よ」
光瑠がドァーを開けてやってきた。普通にコートにマフラーを巻いて・・。明璃ちゃんと違って落ち着いた格好だ。
「寒いね 風も冷たいわ あら、舞依ちゃんも、もうあがったみたいね バイトの娘とふたりなんだ」
「うん あの子 早番だから 光瑠 ごめんね 寒いのに・・あっ そう 31日もお願いして、ごめんね 勉強 大変なんでしょ」
「いいのよ 社会経験だから」
「ありがとう ふたりとも、ローストビーフでいいかしら」
「うん その炭焼きっていう特製の 楽しみにしてたんだから」と、僕は、本当に楽しみだったのだ。
「裏にかまどを急ごしらえしてね、武君が焼いてくれたんだ。スペァリブもだったんだけど、持ち帰りで今日の分は売り切れちゃったんだ あっ 光瑠 初めてでしょ あの子 もう、ウチに来て半年ぐらいになるかなー」と、紹介しようと、呼んできた。
「こちらね 私の昔からの親友で 吉井光瑠ちゃん 明璃ちゃんのお姉さん」と、美鈴はその武君に言っていたが、恥ずかしいのか、頭を下げただけだったが、光瑠が
「初めまして いつも、明璃から聞いています いつも、仲良くしていただいて有難うございます」と、言っても、又、頭を下げるだけで、奥に消えて行った。
「よく、働いてくれるのよ 晋さんが教えたことも、ちゃんと守るしね 口数は少ないけどね でも、明璃ちゃんとは、楽しそうに話しているのよ バカみたいなことばっか、話しているけどね」
香ばしい匂いとともに料理が出てきた。隅にソースとベイクドポテト、人参のグラッセにクレソンが飾ってある。ローストビーフも手のひらの倍程もある大きなもので豪華なものだった。
「美鈴 立派なもんだ チラシの写真以上だよ」
「うん 好評なのよ おいしいって、昨日も今日も来てくれたお客様も居るのよ 寒いのに、表で並んで待ってくれた人も居てね」
「忙しかったでしょう 明璃に声掛けたら良かったのに」と、光瑠が言うと
「うん 私も、平日だし、こんなに来てもらえるって思ってなかったから」
「確か、あの子 授業は明日までだけど、早い目に帰ってきて、手伝うように言っとくね」
「いいのよ 悪いわ バイトの娘も頑張ってくれているし、それに明日一日だけし」
「こんな時 手伝わないで、どうすんの いつも、お騒がせなんだから 言っておくって 今日もね、蒼と食事に行くって言ったら、お姉ちゃんは蒼君とふたりってずるいってスネてんのよ そのくせ これ 内緒なんだけどね あの子の部屋の洋服ダンス開けたら 扉のうらに [昇二 命]って貼ってんのよ なんか 私とはちがうわ」
「そうなんかー でもね、それが明璃ちゃんだよ 昇二も好きになるはずだよ」と、僕は思っていた。
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