オズのラゲドー氏
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第三幕その十一
そのノームの人を見て最初にビリーナが言いました。
「あら、まさかと思っていたけれど」
「そうね」
トロットが続きました。
「この人はね」
「ラゲドーさんね」
「間違いないわ」
「本当にね」
「あれ、トロット王女じゃないか」
ラゲドー氏は皆を見て言いました。
「久し振りだね」
「ええ、ただね」
トロットはラゲドー、前ノーム王に返事を返しました。ですが。
怪訝なお顔になってそれで言いました。
「貴方も旅に出ていたの」
「いつも通りね」
「いつも通りなのね」
「最近旅に凝っていてね」
前ノーム王は陽気に笑って答えました。
「オズの国の色々なところを巡っているのだよ」
「そうだったの」
「そう、そして」
前ノーム王はさらにお話しました。
「今回は」
「この街に来ているのね」
「そうなんだ」
その通りという返事でした。
「実に楽しんでいるよ」
「あんたのこと評判になってるわよ」
ビリーナは前ノーム王にこうも言いました。
「とてもね」
「それはいい評判かな悪い評判かな」
「勿論いい評判よ」
ビリーナはにこりとして答えました。
「決まってるでしょ」
「そうなのかい?」
「オズの国よ」
だからだというのです。
「いい評判がね」
「立つ国で」
「悪い評判は出ない国でしょ」
「皆いい人だからね」
「あんたも今はいい人だから」
それ故にというのです。
「勿論ね」
「いい評判なんだね」
「そうよ、少なくとも今のあんたはね」
かつてと違ってというのです。
「いい人だから」
「それでだね」
「いい評判でね」
まさにそれでというのです。
「注目されているのよ」
「それは何よりだよ」
「そうでしょ、そして具体的にはね」
ビリーナは前ノーム王にさらに言いました。
「あんたの明るさと気前の良さがね」
「評判なんだ」
「そうなのよ」
「そうだったんだ、旅を楽しむのに夢中で」
それでというのです。
「そんなに評判になっているなんてね」
「思わなかったのね」
「そうだったよ」
実にというのです。
「本当にね」
「いや、しかしね」
「しかし?」
「わしは別に何も評判になることはしていないよ」
「あんたがそう思っていてもよ」
それでもというのです。
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