レーヴァティン
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第二百二十六話 関を通りその九
「出来るだけな」
「本当にそうっちゃな」
「それが自分の為でもあり」
「軍の為っちゃな」
「そういうことだ」
「そういえば三国志でもっちゃ」
愛実は中国の有名な物語の話もした。
「孔明さんが南蛮を攻めた時にっちゃ」
「五つの毒泉があったっちゃな」
「密林の中を進んでいって」
蜀の南からさらに進んでだ、その辺りが今で言う雲南省でありミャンマーの方にあたるのであろうか。
「そうしてっちゃ」
「猛獣や様々な部族と戦いな」
「孟獲を何度も捕らえて放ってっちゃ」
「その中でだな」
「そうした泉の話もあったっちゃ」
「そして川もだったな」
英雄はそちらの話をした。
「桃の葉が川の底に積もってな」
「毒になったとあったっちゃな」
「それは物語だが」
三国志演義でのことだ、羅貫中が書いたとされるこの書は実は史実とはかなり違っている。
「しかしな」
「お水が危険なことはっちゃな」
「事実だ」
そうだというのだ。
「だからだ」
「一旦殺菌が必要っちゃ」
「そういうことだ」
こう愛実に話した。
「やはりな」
「子供の頃ひい祖母ちゃんに生水は飲むなって言われてきたよ」
桜子が笑って言ってきた。
「そのひい祖母ちゃん今もピンピンしているけれどね」
「いいひいお祖母さんか」
「色々知ってて優しくてね、そしてね」
「そのひいお祖母さんにか」
「そう言われてきたけれどね」
「そうした事情からだ」
「川とか井戸のお水はね」
即ち生水はというのだ・。
「お腹を壊すから」
「湧き水でも湖でもな」
「迂闊に飲むものじゃないね」
「今話している様にな」
「そうね」
「起きた世界の日本ではもう水道がない場所の方が珍しいが」
「そうでない国もまだ多いし」
このことが重要だ、そうした国では生水は飲まないでいいどころか欧州でも水道水の質がよくないので水をわざわざ買って飲んでいる程だ。
「こっちの世界だとね」
「水道なぞな」
「ないしね」
「街を区画して上水道を整備することは出来るが」
それでもというのだ。
「やはりな」
「今の消毒した水道じゃないし」
「飲み水は確保出来るが」
「衛生的にはね」
「現代には至らない、だからな」
それ故にというのだ。
「民にもそうする方がいいと告げてな」
「軍勢になると」
「生水を飲むことを禁じている」
「そしてあたし達もね」
「そうしている、あらかじめ沸騰させた水を冷やしておき」
殺菌した後でというのだ。
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